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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 9月26日
  • 読了時間: 3分

 韓国で、統一協会の頂点にいる者が逮捕された。

 ところが日本では、統一協会が相変わらず堂々としている。自民党を中心とした政治家たちとの癒着があるからだ。言うまでもない周知の事実である。参政党の急伸にも統一協会の影響が指摘されている。

 そうなるのは何故か。それはなにより、統一協会が宗教団体の形をとって「労務屋」の商売をしていたからだ。もともと労務屋とは総会屋の親戚であり、企業に寄生するヤクザだった。やはり反共をネタにしてのことだ。

 もともと宗教団体は、暴力団の正式な構成員でなくてもヤクザ者であることは同じという人が、商売で始めることがあるから、統一協会のような宗教団体はむしろ普通と言っていい。


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 政治と司法の問題で「なぜ韓国にできることを日本はできないのか」と嘆く人たちがいる。

 上記の統一協会に対する検察の対応にしても、その他の件にしても、韓国には韓国の難が今もあるとはいえ、日本の体たらくとは大違いではある。やはり、かつて韓国は労働者も学生も民衆が立ち上がり犠牲者を出しながら民主化を実現してきたからだろう。その影響が司法にも当然に出る。

 これについて、韓国の民衆が闘っていた当時、日本では「韓国は遅れているなあ。まだデモとか学生運動とかやっている」と言って見下していたのだ。特に、かつて日本で学生運動が盛んだった当時の世代が。


 かつての学生運動世代は不真面目な人の方が多かったことは明白である。

 そして、今では「後期高齢者」となった人達によるかつての学生運動は保守性に根ざしたもので、反権力ふうの言葉づかいをしていても内容は今のヘイトスピーチと同じだったと、当時その世代だった人たちは言う。

 だから、学生運動世代の多くは、こう考える。大企業が好き勝手にしていれば国は豊かになるから、社会運動なんて不要であるし、社会に不正があっても、それ以上の豊かさがあれば多少の不正など物の数ではない。

 そして「私だって若い頃にはデモに参加したけれど、それは間違っていた」と、学生運動世代の人たちは口をそろえて言い、それより下の世代が、社会の問題に関心を持ったり不正に憤ったりすると「若いねえ」と小馬鹿にして言うものだった。


 マスメディアでも、そんな世代が嫌らしい調子で嘯いてきた。

 これは統一協会と関係している人もいれば、関係なくても影響されている人たちもいた。それが自民党の統一協会と癒着した部分に、意識的または無意識に擦り寄り、有望な若い世代の芽を潰そうと躍起になり、社会の進歩を妨害していた。

 これと同時に、そんなマスメディアは、韓国の若い世代の中から特に抽出した人たちを利用して、日本の態度を問題にする大人たちにはウンザリだと言わせて、これをことさらに日本国内で流布して世論操作してきた。

 ここから必然的に、今の日本の惨状となったのだ。

 

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 9月24日
  • 読了時間: 3分

 岡口基一もと裁判官が雑誌に寄稿していた。

 そこで、裁判官の御粗末について述べていた。裁判所がいい加減だから、専門分野の違う裁判官が担当し、民事をやっていた裁判官が刑事をやってさっぱり解らないものだから、被告がどんな人であるかによって先入観を持ち、嫌疑の内容や証拠などは無関係に決めつけてしまうことがある、という。

 これは偏見が影響するどころの話ではなく、判断の放棄である。


 そもそも日本には「法の下の平等」が無い。

 「職業に貴賤は無い」という綺麗事があるけれど、現実には序列がある。そう指摘していたのは名作漫画『ナニワ金融道』の作者だが、お金の取引で、その現実は露骨に出てくるということだった。

 それでも、商取引の現実などやむを得ないものだから、まだ許せるところがある。


 ところが司法の場で堂々と言われている。

 よく、女性への性暴力で犯人が医学生だと司法が異様に甘いという実態が話題になるが、これが医療訴訟では露骨に医師および代理人の弁護士が口にしたり書面に記したりしている。

 そもそも医師の側から言うから、それを受けて雇われた弁護士も言うのだが、それにしても凄まじい実態である。


 誤って筋肉や神経を切ったことで手が動かなくなった場合の実例。

 それで楽器の演奏ができなくなって、音楽大学に入れなくなったとか退学せざるを得くなったとしたら。

 加害医師は言う。「どうせ大した才能じゃなかったんでしょう」と。そして他の医療機関の無関係の医師が言う「もしもモーツァルトみたいな才能ががあったとして、それをメスでチョンってわけだ。医者って凄いなあ。ウッヒャッヒャッヒャッ」と嘲り笑う。

 だから雇われた弁護士は裁判で堂々と主張する。「人生が狂ったとしても、しょせん芸人すなわち河原乞食になれなかった程度のこと。これは三味線を弾く芸者であろうと、クラシックのピアニストであろうと、同じことである。それに比べたら医師の社会的地位は高い。その程度のことで非難されるのは不当である」

 こういう実例を挙げていたらきりがない。


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 社会的地位が高い者は、その地位に相応しい責任があるはずだ。

 ところが、この考えは日本では通用しない。社会的地位が高い者は、失敗しても、それを社会的地位が低い者から追及されてはならないのだ。  

 これを下層の庶民が積極的に受け容れている。だから追及する者を庶民が迫害する。偉い人に対して盾突くなんて生意気な奴だと言って。戦争に非協力的だと憲兵が弾圧しなくても庶民が非国民と言って迫害していたのが、今もずっと続いているのだ。


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 9月23日
  • 読了時間: 3分

更新日:9月27日

 国勢調査員がうろついている。

 それで変な人が居ると怪しまれたりしている。これは老人の小遣い稼ぎにもなっている。そこで心臓に持病がある80歳の男性が従事していて仕事している最中に死亡していたと報じられていた。

 この国勢調査は昔から苦情が多かった。家族構成から収入に関することまでプライバシー情報の最も重要なことを調査票に記入するので、不適切な扱いがあれば深刻であるし、そうでなくても不愉快になる。

 ところが、調査員が記入漏れなどを確認すると言って見てはいけないものを見てしまうことがある。これはかなり酷いようで、あちこちで起きているから新聞の記事にもなっていた。


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 そこでお節介な大家さんが、とんでもないことをする。

 このことも雑誌の記事になっていた。住んでいるアパートの大家さんが、落語に出てくる長屋の家主と同じ感覚でいるものだが、その一環として、国勢調査を回収に来るさい不在にしていてもいいように大家で預かり調査員に渡してあげるという余計なお世話をしている。実は親切ではなく、他人のプライバシーを見て楽しむためだ。だからプライバシー保護のため封をしているのに開封してしまう。

 だから、自分で渡すから預かってくれなくてもいいと言っても、どうしても預かると言ってきかない。それで無記入で封して渡すと「何も記入してないとは何事だ」と怒鳴り込んでくる。だから「封をしているのに開けたんですか。そんなことしてはいけません」と言うけれど、その意味が大家には解らない。そして大家の奥さんが優しく「難しかったかな。他の人の見ますか」と言ったそうだ。

 こんな人たちは、自分のやっていることがノゾキであるとは気づいていない。覗き趣味なんて悪趣味の最たるものだが、その当人は自覚してない。


 そもそも国勢調査は必要なのか。

 かつて始めたころには意義があるとされていた。そして、あくまで統計のためにする調査であるから、回答するさい氏名は本当のことを書かずに偽名を記入するべきだと言う人や、それを実行している人が昔からいた。

 こんな調査は必要が無いという指摘もある。自分も最初はプライバシーの問題から匿名で記入するべきだと思っていたが、今はそうではなく国勢調査そのものが無用であり予算の無駄使いだと思うようになった。


 だから国勢調査はボイコットしている。

 国勢調査に応じるのは国民の義務だと調査票の封筒に謳われているが、なんのために調査するかを考えると、その調査結果に基いて色々とやることが政府にはあるのに、その義務はさっぱり果たされないのだから、まったく意味が無いのだ。

 だいたい、80歳の心臓疾患がある人が働いて死んでいる国で、何を調査するのか。

 

 うちの母親は国勢調査は危険だと昔から言っていた。

 もともと、社会的な意識が高い人ではないのだが、それでも容易に理解していた。国勢調査の類は内容からして権力による統制につながるものだと言っていた。

 ところがうちの父親はニタニタしながら「国民の義務だからな」と言って喜々と調査票に記入していた。そして封も糊付けしなかった。

 これについて、うちの母親は、言っても解らない人に言うだけ無駄だと諦めていた。確かに、鈍感その他の解らない人たちに説いて聴かせるほうが野暮というものである。

 だから国勢調査についての問題はこのへんで止めておく。解かる人はとっくに解かっているはずだから。

 ただ、調査票は手渡しすると指示されているのに、今回うちも近隣も郵便受けに入っていた。担当する人が、回収する気もなくやっているからではないだろうか。

 

 
 
 
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