- 井上靜

- 8月24日
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「元自衛隊」と名乗る男が、災害のさい左翼らには給水など拒否すべきと言った。
左翼らは反自衛隊だからということだ。それが当たり前だと非常識な思い込みをしていた。これが子供なら世間知らずの無知なので許してやれるが、大人では困る。大人になっても解らない自衛官の子供たちを直接に知っているが、まだ若かったので許せるかもしれない。
これについて知り合いの現役ベテラン自衛官は、親の躾けが悪いからそんな非常識なことを言うのだと指摘した。まだ若いどころか年齢から未成年者の子供でも、親の躾けがよければ、そんなことは言わないはずだ、と言う。
自衛隊のしていることは政府が決めたことだ。
これは他のどんな公的機関のすることでも同じことだ。そして、政府を批判するのは国民の権利である。たとえ自衛隊の存在を全否定するとしても、それは民主主義社会における政治への批判であり、その国民の権利を守るのが総ての公的機関にとって責務だから、自衛隊にとっても当然の使命である。
また、政治が決めたことに当然のことながら自衛隊は従っているのだから、その政治に批判があったからといって自衛隊が気にするのは筋違いで、時には自衛隊の中にいてもその政治への批判に共感することだってある。一緒に声を挙げることは許されないというだけ。

こんな当たり前のことが解らない人たちがいる。
もちろん一般的にもいるし、自衛官にもいる。しかし、そんな狭量な自衛官は多くないはずだ。特に難しいことではない常識なのだから。
なにより自衛隊に批判的な国民だって税金は納めているし、しかもそれなりの理屈をこねる能力がある人は意識や学歴が高くて収入も多い人がいるから、そんな人たちは政治に対して何も批判できない人たちよりは高い税金を納めている。そこから自衛隊も含めた公務員は給料をもらっている。それを考えたら自衛隊を批判する国民は気に食わんとかいう発想するなんて恥ずかしい。自衛隊の世話にはならないので自衛隊の予算分だけ税金を減らすという制度でもあればともかく、そんなことはないのだから。
逆に、政治の側からのことで、例えば公務員の給与について。
前に、今ではもう安すぎるから増やそうという提案に対して「公務員が恵まれすぎている」と言って庶民の劣情を刺激し人気取してきた維新の会は、自衛隊員の給与を増やすことにも反対していたけれど、これに対して共産党は、自衛隊員だって公務員なのだから同じように給料を増やすべきだと主張して、その主張が通って自衛隊の給料は増えた、ということがある。
つまり「それとこれとは別」というわけだ。
そして、その現役ベテラン自衛官が、なにより重要なことであるとして言った。
そもそも自衛隊は、災害に付け込んで国民を迫害してやれなんて発想をするような卑怯者の集団ではない、と。
つまり「反自衛隊の国民を災害のさい対象外にすべき」と言う元自衛隊のオッサンこそ、自衛隊を侮辱しているのだ。しかも自分がいた自衛隊について誇りも気位も持っていない。だから自分が言っていることがどんなに恥ずかしいことかに気づかないのだ。


