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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 10月30日
  • 読了時間: 2分

更新日:10月31日

 高市首相の態度が恥ずかしい、という人たちがいる。

 あの、トランプ大統領に対しての卑屈な乗りのことである。これは高市早苗という人の資質によるものではなく、男社会で媚び諂いのし上がっていく過程で染み付いた習性のためだということだ。



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 これは韓国人も言っていた。

 もしも、韓国の女性保守政治家で例えば羅卿瑗が大統領になっていたら、高市首相と同じような場面を演じたかもしれない、と言うのだ。

 もちろん、高市首相の不見識もあるだろうが、あの態度は、男性優位の保守界隈で出世するため女性が身につけたことではないか。そう演ずることを求められてきた一種の役割のようなものではないか。


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 一方、トランプ大統領の馴れ馴れしすぎる態度を軽くいなしたメローニ首相。

 イタリアは家父長制の強い国柄である。その代わり、父親や兄弟ら家族が女性を守る。その点が東アジアの男尊女卑とは違うとは言え、やはり高市早苗という人の軽薄さが、あの威厳の無い態度の原因であろう。

 この、高市首相がトランプ大統領にへつらう姿に嫌悪感という話題に対し「女性初の首相なのに左翼じゃないから駄目と言う奴らがいる」とか「女性の進出を邪魔しているのは左翼」とか言ってる連中がいる。なら、なぜイタリア首相のトランプに対する態度が高市と大違いだと話題になるのか。彼女も同様に極右だ。


 高市首相が国会の演説で野次られたのも、そうだ。

 少数与党だから野党の声が大きくなったと言われているけれど、それ以前に高市首相に威厳が無かったことが大きい。あの人は首相として立っている姿が貧相である。

 だから、この先が心配である。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 9月26日
  • 読了時間: 3分

 韓国で、統一協会の頂点にいる者が逮捕された。

 ところが日本では、統一協会が相変わらず堂々としている。自民党を中心とした政治家たちとの癒着があるからだ。言うまでもない周知の事実である。参政党の急伸にも統一協会の影響が指摘されている。

 そうなるのは何故か。それはなにより、統一協会が宗教団体の形をとって「労務屋」の商売をしていたからだ。もともと労務屋とは総会屋の親戚であり、企業に寄生するヤクザだった。やはり反共をネタにしてのことだ。

 もともと宗教団体は、暴力団の正式な構成員でなくてもヤクザ者であることは同じという人が、商売で始めることがあるから、統一協会のような宗教団体はむしろ普通と言っていい。


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 政治と司法の問題で「なぜ韓国にできることを日本はできないのか」と嘆く人たちがいる。

 上記の統一協会に対する検察の対応にしても、その他の件にしても、韓国には韓国の難が今もあるとはいえ、日本の体たらくとは大違いではある。やはり、かつて韓国は労働者も学生も民衆が立ち上がり犠牲者を出しながら民主化を実現してきたからだろう。その影響が司法にも当然に出る。

 これについて、韓国の民衆が闘っていた当時、日本では「韓国は遅れているなあ。まだデモとか学生運動とかやっている」と言って見下していたのだ。特に、かつて日本で学生運動が盛んだった当時の世代が。


 かつての学生運動世代は不真面目な人の方が多かったことは明白である。

 そして、今では「後期高齢者」となった人達によるかつての学生運動は保守性に根ざしたもので、反権力ふうの言葉づかいをしていても内容は今のヘイトスピーチと同じだったと、当時その世代だった人たちは言う。

 だから、学生運動世代の多くは、こう考える。大企業が好き勝手にしていれば国は豊かになるから、社会運動なんて不要であるし、社会に不正があっても、それ以上の豊かさがあれば多少の不正など物の数ではない。

 そして「私だって若い頃にはデモに参加したけれど、それは間違っていた」と、学生運動世代の人たちは口をそろえて言い、それより下の世代が、社会の問題に関心を持ったり不正に憤ったりすると「若いねえ」と小馬鹿にして言うものだった。


 マスメディアでも、そんな世代が嫌らしい調子で嘯いてきた。

 これは統一協会と関係している人もいれば、関係なくても影響されている人たちもいた。それが自民党の統一協会と癒着した部分に、意識的または無意識に擦り寄り、有望な若い世代の芽を潰そうと躍起になり、社会の進歩を妨害していた。

 これと同時に、そんなマスメディアは、韓国の若い世代の中から特に抽出した人たちを利用して、日本の態度を問題にする大人たちにはウンザリだと言わせて、これをことさらに日本国内で流布して世論操作してきた。

 ここから必然的に、今の日本の惨状となったのだ。

 

 
 
 

 南京大虐殺の映画が世界的に話題となっている。

 これを観て衝撃を受けたという人がいる一方で、描写が甘いと言う人もいる。残酷な描写は抑制し、史的な事実の調査に基づいたものにしているからだろう。

 ところが、産経新聞紙上に、この映画は日本を貶めるための宣伝であり、南京虐殺が無かったことは研究で明らかになっていると、櫻井よしこが書いた。その研究とは何か。誰によるのか。まったく根拠が挙げられていない。櫻井よしこは他の記事でも問題を起こしていて、薬害では裁判沙汰となり、あの有名な弘中弁護士にとっちめられ、記事は根拠薄弱どころか捏造だと言われるなど、もともとその程度の「ジャーナリスト」である。

 この南京大虐殺について。日本の政府は、詳細には所説あるけれど、事件そのものの存在は明らかであると国会の答弁で認めている。


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 南京大虐殺を全否定する風説は、昔、一部で流行った。

 その中心は文藝春秋社の発行雑誌とそれに基づいた単行本である。その後、文藝春秋社は不利になってきたら「知らん顔」しているというべき状態である。全否定したわけではなかったと弁解できる余地を最初から残していたからだろう。

 昔は、これら否定論を受け売りする政治家がいた。そのため中国政府は、戦争のことで日本に怒る国民に、悪いのは当時の日本の権力者であるから日本人全体を憎んではいけないとなだめてきたけれど、対応を変えて、南京大虐殺など日本軍の蛮行の周知に積極的となった。だから、日本人の中には「中国や韓国は昔のことを何時までも言っている」と、お門違いの非難をする者がいるけれど、文句を言うなら自分の国の政治家に対して先ず言うべきである。


 学生の時に、中国人と韓国人の留学生と一緒にバイトしていた。

 その時、勤め先の社長が、やはり「過去のことを言わないで前向きになって仲良くすべきなのに。だから韓国は駄目なんだ」と、と軽々しく言ったら、韓国人の留学生はちょっと気色ばんで「僕もそう思って日本に来ました。なのに、日本に来たら、韓国で年配の人がよく言っていた戦争の時の話とまったく同じように韓国人を悪く言う日本人ばかりでした。仲良くする気が無いのは日本人の方でしょう」と言った。

 このやり取りを見ていて、自分の国の政治家が原因を作っているのに、それを批判しないで外国の悪口を言うのはみっともないと思った。それと同時に、こういう日本人は多いなとも思った。


 社長は、中国人の留学生には共産党の悪口を言っていた。

 当時、中国が経済に力を入れて発展が加速していることについて、それでも共産党が政権に就いている限りは経済的発展に限界があると説いていた。これは、よく言う人がいたけれど、その安易な受け売りだった。

 このとき、その中国人の留学生は大人しい人だったから反論するのではなく、いずれ結果は判るから、その時に同じことをもう一度言えるかどうかだ、と言っただけだった。

 そして今その結果が判っている。中国が日本を追い越しただけでなく、日本が衰弱して再起不能と言っておいたほうがいいくらいだ。その後、雑誌の仕事をするようになったさい縁あって週刊文春の記者をしている同世代の人に質問をした。ナチスの虐殺を否定する記事で文藝春秋社は雑誌をユダヤ系資本の圧力で潰され、その張本人である花田という編集長は追われるように退社したが、そんなふうに中国が経済力をつけてユダヤ系と同じように出来るほどになっても、前と同じように「南京大虐殺は無かった」なんて出来るかと。

 「できるわけないでしょう」という返事だった。   

 
 
 
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