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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2025年8月24日
  • 読了時間: 3分

 「元自衛隊」と名乗る男が、災害のさい左翼らには給水など拒否すべきと言った。

 左翼らは反自衛隊だからということだ。それが当たり前だと非常識な思い込みをしていた。これが子供なら世間知らずの無知なので許してやれるが、大人では困る。大人になっても解らない自衛官の子供たちを直接に知っているが、まだ若かったので許せるかもしれない。

 これについて知り合いの現役ベテラン自衛官は、親の躾けが悪いからそんな非常識なことを言うのだと指摘した。まだ若いどころか年齢から未成年者の子供でも、親の躾けがよければ、そんなことは言わないはずだ、と言う。


 自衛隊のしていることは政府が決めたことだ。

 これは他のどんな公的機関のすることでも同じことだ。そして、政府を批判するのは国民の権利である。たとえ自衛隊の存在を全否定するとしても、それは民主主義社会における政治への批判であり、その国民の権利を守るのが総ての公的機関にとって責務だから、自衛隊にとっても当然の使命である。

 また、政治が決めたことに当然のことながら自衛隊は従っているのだから、その政治に批判があったからといって自衛隊が気にするのは筋違いで、時には自衛隊の中にいてもその政治への批判に共感することだってある。一緒に声を挙げることは許されないというだけ。



 こんな当たり前のことが解らない人たちがいる。

 もちろん一般的にもいるし、自衛官にもいる。しかし、そんな狭量な自衛官は多くないはずだ。特に難しいことではない常識なのだから。

 なにより自衛隊に批判的な国民だって税金は納めているし、しかもそれなりの理屈をこねる能力がある人は意識や学歴が高くて収入も多い人がいるから、そんな人たちは政治に対して何も批判できない人たちよりは高い税金を納めている。そこから自衛隊も含めた公務員は給料をもらっている。それを考えたら自衛隊を批判する国民は気に食わんとかいう発想するなんて恥ずかしい。自衛隊の世話にはならないので自衛隊の予算分だけ税金を減らすという制度でもあればともかく、そんなことはないのだから。


 逆に、政治の側からのことで、例えば公務員の給与について。

 前に、今ではもう安すぎるから増やそうという提案に対して「公務員が恵まれすぎている」と言って庶民の劣情を刺激し人気取してきた維新の会は、自衛隊員の給与を増やすことにも反対していたけれど、これに対して共産党は、自衛隊員だって公務員なのだから同じように給料を増やすべきだと主張して、その主張が通って自衛隊の給料は増えた、ということがある。

 つまり「それとこれとは別」というわけだ。 

 

 そして、その現役ベテラン自衛官が、なにより重要なことであるとして言った。

 そもそも自衛隊は、災害に付け込んで国民を迫害してやれなんて発想をするような卑怯者の集団ではない、と。

 つまり「反自衛隊の国民を災害のさい対象外にすべき」と言う元自衛隊のオッサンこそ、自衛隊を侮辱しているのだ。しかも自分がいた自衛隊について誇りも気位も持っていない。だから自分が言っていることがどんなに恥ずかしいことかに気づかないのだ。

 

   

 

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2025年8月23日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年8月24日

 映画化で話題の南京大虐殺で思い出した国会議員がいる。

 それは『朝まで生テレビ』という番組の初期。松田九郎という自民党の国会議員が、複数回出ていた。それをたまたま見たことがある。

 その時、アンケートで若い人たちの多くに、戦争になったら逃げると言った人が多かったという話題が出た。これに対して松田九郎は「情けない」と言った。「最近の若い者は」という調子だった。あとは学校教育が悪いというお決まりの話だった。

 こんな話しかできないのか。なんで、政治家として政治の責任を痛感していると言わないのか。政治家が汚職をやったりしていると不信感を持たれて、誰も国のために尽くそうとは思わなくなってしまう。これは昔から言われてきたことだ。それを社交辞令としてさえ言う発想がない松田九郎。


 このあと続けて、辻元清美(後に国会議員)が南京大虐殺を口にした。

 これに松田九郎は、なんで話題に出たのかを無視し、そのときの話題から逸脱して「南京大虐殺」という言葉に反応して「そんなものは無かったのお。何の本で読みましたかあ」と下品な調子で言った。

 これに辻元清美が「南京に行って、生き残った人たちの話を聞きました」と答えたところ、松田九郎は沈黙してしまった。

 これでは、松田九郎こそ何の本で読んだのかと逆に質問されそうだが、そうならなかったのは、松田九郎が本も読んでないことが明らかだったからだ。なんだか「南京大虐殺は無かった」と言っている人がいるという風説を聴いて安易に受け売りしただけだったのだ。

 これは櫻井よしこが産経新聞に書いたというのとは違い、政権与党の国会議員の公言である。場合によっては外交や貿易など経済に悪影響して国益を損なう。そういう自分の立場と責任を松田九郎は全く考えてない。


 そして決定的だったのが農産物輸入の問題。

 松田九郎は「みずほの国」と付け焼刃で安直に言い、日本の農業を保護するべきだから外国から輸入なんてとんでもないと説いた。そこで、農民を失業させてはいけないと言い、農民はスキルが無いから転職できないと事実に反したことまで言ったうえ「農民は筋肉労働しか能がない」と言い放ったのだ。

 まったく、単純作業だと思い込んでいて農業に失礼であり、農民のことも侮辱している。これで松田九郎は票欲しさで農家の人気取りをしているけれど実は日本の農業のことなどまったく考えてないし農業に携わる人達を内心で見下していたことが露呈してしまった。

 こうして松田九郎は次の選挙で落選する。



 松田九郎が死んだら彼と親しい人が言った。

 彼は「酒より色を好んだ」と。いい歳した男が、しかも社会的地位がある人なら、家庭を持って妻子を大事にしているものである。それを酒と同列の欲望としていたということになる。

 そして遊び人という柄ではないし、なによりはっきり言ってブ男でガマガエルを思わせる顔だった。ルッキズムではなく、あれでは地位と金にものを言わせないと無理だということである。

 ほんらいなら、良識ある社会人として健全な家庭生活を営んでいるはずの立場でありながら乱れたことをしていたのだろう。それがしたいだけで国会議員をやっていて、国会議員になっても社会のため国のため国民のために働く気が無く、ただ自分の欲望を満たすため、という人だった。だから国会では野次が専門。せいぜいその程度の能力。

 他にも同じような人はいるだろうが、松田九郎は言動が駄目すぎてバレたということでは稀有な例である。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2025年8月23日
  • 読了時間: 3分

 南京大虐殺の映画が世界的に話題となっている。

 これを観て衝撃を受けたという人がいる一方で、描写が甘いと言う人もいる。残酷な描写は抑制し、史的な事実の調査に基づいたものにしているからだろう。

 ところが、産経新聞紙上に、この映画は日本を貶めるための宣伝であり、南京虐殺が無かったことは研究で明らかになっていると、櫻井よしこが書いた。その研究とは何か。誰によるのか。まったく根拠が挙げられていない。櫻井よしこは他の記事でも問題を起こしていて、薬害では裁判沙汰となり、あの有名な弘中弁護士にとっちめられ、記事は根拠薄弱どころか捏造だと言われるなど、もともとその程度の「ジャーナリスト」である。

 この南京大虐殺について。日本の政府は、詳細には所説あるけれど、事件そのものの存在は明らかであると国会の答弁で認めている。



 南京大虐殺を全否定する風説は、昔、一部で流行った。

 その中心は文藝春秋社の発行雑誌とそれに基づいた単行本である。その後、文藝春秋社は不利になってきたら「知らん顔」しているというべき状態である。全否定したわけではなかったと弁解できる余地を最初から残していたからだろう。

 昔は、これら否定論を受け売りする政治家がいた。そのため中国政府は、戦争のことで日本に怒る国民に、悪いのは当時の日本の権力者であるから日本人全体を憎んではいけないとなだめてきたけれど、対応を変えて、南京大虐殺など日本軍の蛮行の周知に積極的となった。だから、日本人の中には「中国や韓国は昔のことを何時までも言っている」と、お門違いの非難をする者がいるけれど、文句を言うなら自分の国の政治家に対して先ず言うべきである。


 学生の時に、中国人と韓国人の留学生と一緒にバイトしていた。

 その時、勤め先の社長が、やはり「過去のことを言わないで前向きになって仲良くすべきなのに。だから韓国は駄目なんだ」と、と軽々しく言ったら、韓国人の留学生はちょっと気色ばんで「僕もそう思って日本に来ました。なのに、日本に来たら、韓国で年配の人がよく言っていた戦争の時の話とまったく同じように韓国人を悪く言う日本人ばかりでした。仲良くする気が無いのは日本人の方でしょう」と言った。

 このやり取りを見ていて、自分の国の政治家が原因を作っているのに、それを批判しないで外国の悪口を言うのはみっともないと思った。それと同時に、こういう日本人は多いなとも思った。


 社長は、中国人の留学生には共産党の悪口を言っていた。

 当時、中国が経済に力を入れて発展が加速していることについて、それでも共産党が政権に就いている限りは経済的発展に限界があると説いていた。これは、よく言う人がいたけれど、その安易な受け売りだった。

 このとき、その中国人の留学生は大人しい人だったから反論するのではなく、いずれ結果は判るから、その時に同じことをもう一度言えるかどうかだ、と言っただけだった。

 そして今その結果が判っている。中国が日本を追い越しただけでなく、日本が衰弱して再起不能と言っておいたほうがいいくらいだ。その後、雑誌の仕事をするようになったさい縁あって週刊文春の記者をしている同世代の人に質問をした。ナチスの虐殺を否定する記事で文藝春秋社は雑誌をユダヤ系資本の圧力で潰され、その張本人である花田という編集長は追われるように退社したが、そんなふうに中国が経済力をつけてユダヤ系と同じように出来るほどになっても、前と同じように「南京大虐殺は無かった」なんて出来るかと。

 「できるわけないでしょう」という返事だった。   

 
 
 
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