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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 8月30日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月31日

 週刊新潮の連載コラムで、元産経新聞の記者が露骨な差別を書いた。

 ここで名指しされた一人の深沢潮さんらが抗議したところ、この連載は打ち切りとなったが、新潮社に本当の反省や改善の意思が見られなかったので深沢潮さんは新潮社との契約を解除することにした。

 新潮社は、前にも月刊誌が杉田水脈議員の差別発言を掲載し、厳しく指弾された。もともと売れ行きが悪かったから何でもいいという調子で差別まで利用したという事情もあり、この月刊誌は廃刊になった。


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 前に灰谷健次郎さんも、週刊新潮が原因で新潮社から著作の版権を引き上げた。

 これに対して幻冬舎の見城徹社長が、面白くないなら版権を引き上げるだけにして何も言うなと言った。世間にむけて抗議の意思表示をするなというわけだ。これはモノカキ風情が出版社を批判するな、こっちが売ってやってるんだ、ということ。

 この人は、その後も津原泰己さんにも同じように罵声を浴びせた。これは幻冬舎の出版物についてのことだったが、その手抜き編集を指摘されて面白くなかった見城徹社長は、前に津原泰己さんの小説を出版してやったのに売れ行きがよくなかったなどと、無関係な話をしたのだ。売ってやってると威張っていたのだから、売れ行きが良くなかったのは出版社の責任なのに。


 これは出版業界の体質だ。

 芸能人が、ジャニーズ事務所やバーニングプロダクションや吉本興業に逆らえないのと同じで、著者は大手出版社に逆らうと仕事ができなくなる。それで泣き寝入りする人たちばかりだった。

 今は亡き大江健三郎さんが、文藝春秋社の右翼体質に不快感をもっているのに我慢してばかりでいることを、当時朝日新聞の記者だった本多勝一さんに批判されていたけれど、これについて今は亡き森村誠一さんが言っていた。森村さんは731部隊を告発した『悪魔の飽食』を『赤旗』に連載ののちカッパブックスとして単行本にしたら、光文社は右翼の嫌がらせに屈して著者に無断で絶版にしてしまったので、光文社と絶縁した。光文社のカッパブックスは推理小説で付き合いが長かったから残念だと言って。そして文藝春秋社についても、その『悪魔の飽食』に関して嫌なことをされて右翼体質を思い知った。

 ただ、多くの著者は、そうした出版社の体質に無関心で、どれだけ読者との橋渡し役をしてくれるかに関心がある。その点でいうと、文藝春秋社は著者から見て魅力的だとは言える。

 そういうことだった。


 社員の問題もある。

 森村さんは、文藝春秋社内に権力へ擦り寄る社員がいて、それは一部だが「グリシャムの法則」が働いていると指摘していた。これと同じことを広瀬隆さんも言っていた。

 広瀬さんには、雑誌のインタビューで御自宅を伺ったことがあった。これは前に述べたとおり。そのさい、原発のことで文藝春秋社の雑誌から嫌がらせみたいなことを書かれたけれど、前に文藝春秋社から単行本を出したことがあるので社員たちに会って知っているから、「こういうことするのはアイツだな」と判ると言う。


 あと、自分の経験からハッキリ言えることがある。

 やはり大きな出版社の方が絶対に「払いが良い」ことだけはたしか。それでみんな我慢しているのだろう。  

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 8月30日
  • 読了時間: 3分

 野球部の暴力と隠蔽により中途で出場辞退した高校が今年の甲子園大会最大の話題だった。

 そして主催者の朝日新聞に、高校野球への批判が掲載された。異例のことだが、これまで散々に言われてきたのを無視してきたけれど、遂に無視は不可能となったのだろう。

 その批判は次のような趣旨だった。


 高校野球ビジネスはメディアが深く関わる結果、追及を免れてきた側面がある。猛暑下の開催、スポーツ医学を軽視した虐待的な投手の球数、不確定性の高い種目に不向きなトーナメント、強いストレスをかける一発勝負…それはスポーツとして時代遅れ、教育としてもデタラメだ。



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 過去の朝日新聞としては極めて稀な例外があった。

 それは80年代後半に掲載された本多勝一編集委員(編集委員とは当時あった役職で、この肩書が付いたら『スター記者』と言われた。今は編集委員制度もスター記者も無い)の署名記事で、スポーツ医学に詳しい医師へインタビューし、少年野球が未成年者に無理な投球をさせて身体を壊している実態を告発していた。よく載せてもらえたものだと思う内容だった。それくらいタブーだったのだ。


 甲子園球児はジャニーズのアイドルと同じようなものだ。

 もともと高校野球は、未成年の少年に、心身を蝕むまでの虐待といってもいいほどのことをしていた。そのうえで興行に利用し、これによって大人が商売するのだから。

 まったく、高野連および朝日新聞と毎日新聞のやってることはジャニーズ事務所と変わらない。

 

 日本の新聞が新聞ではない証拠でもある。

 『朝日』が夏の甲子園、『毎日』が春の選抜、『読売』はプロ野球の「巨人」、『産経』もかつてスワローズを、『赤旗』初代編集長で権力に弾圧され転んだ水野成夫により、経営していたから巨人で商売する『読売』の元共産党員の渡辺恒雄と同じ、というように全国紙はみんな愚民化政策の野球で売って記事や論説は二の次だった。 東京新聞は地方紙だけど、中日新聞社に買収されてからドラゴンズ贔屓の誌面である。

 よく、たんに発行部数が多いだけで日本を新聞大国といっていたが、これは日本に新聞が無い証拠である。こんなに部数が多くては八方美人になって独自の報道や論調は不可能である。実際に外国人の記者から、発行部数が多すぎる日本の新聞は新聞じゃないと言われてきた。だから渡辺恒雄は、自分が経営する『読売』は世界最大の一千万部であると自慢したところ、外国人の報道関係者から笑われていた。

 

 ただ、新聞と雑誌は、発行部数が多いと広告料金を高くできる。

 そして新聞社の収益の大半は広告料金である。だから新聞社の宣伝に野球を利用している。記事と論説なんか、どうでもいいくらいだ。

 今では新聞の発行部数が激減してどこも経営難だが、発行部数が少なくなったほうが新聞らしくなるから結構なことなのだ。その方が新聞が生き残れる。新聞の危機なんかじゃなく、新聞社が肥大しすぎた社屋の維持にくだらない苦労をしているだけである。

 そういうことなので、ジャニーズ事務所が無くなれは芸能が少しは健全になるように、新聞社が関与しなければ高校野球も少しは健全になるはずである。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 8月28日
  • 読了時間: 4分

更新日:9月26日

 8月26日の東京高等裁判所。

 この国家賠償請求訴訟は、東京地方裁判所の飛澤知行裁判官が、判決文に虚偽を記載した問題である。

 ここでは名を伏せる(裁判書面には実名が記載されている)女性の弁護士が言った「五十代のハゲオヤジの制服警官が、拳銃と権力で脅し、スマートフォンを調べると称し、親の前で未成年者の女の子を羽交い締めにして胸と腰のポケットに手を入れまさぐっているなんて、想像するだけで身の毛がよだつ」ということ。

 この弁護士が言ったことの基になっている警官の暴虐、これらが裁判で問題になったら、上記の裁判官が勝手に「裁判所の許可を得て着衣を調べた」と判決文に記載してしまったのだった。そんなことは警察の関係者でさえ言ってなかったし、そもそも現場の警察官が裁判所の許可を得たとは、どういうことなのか。裁判所が着衣を調べる令状を発行するものなのか。そんな話は誰も聞いたことがない。それに、スマートフォンを出して見せろというならともかく、力づくでポケットに手を入れるなんて、あってはならない。


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 それで国家賠償請求訴訟で追及することになった。

 ちなみに、その女性の弁護士は、怖がって訴訟に参加することは拒否した。

 さて、そんな「裁判所の許可を得た」なんてありえないが、この確認のため、暴虐をふるった田中という平凡な姓の警官の勤め先である兵庫県警東灘警察署(警官による告発本『交番のウラは闇』第三書館刊の舞台として悪名高い)に対して裁判長から調査嘱託をするよう申し立てたが、大須賀寛之裁判長らは「必要がない」とした。

 では、もっと具体的な「文書送付嘱託」の申し立てをしたが、それは拒否したうえ、異議の記録も拒絶した。先の調査嘱託申し立てでは異議を記録したのに、なぜかと質問したところ、大須賀寛之裁判長は原告に対して退廷を命じ、あらかじめ法廷内に控えていた裁判所職員たちが強制排除のうえ書面のPDFファイルを見るために原告が持ち込んでいたタブレットを破損させた(これは別に損害賠償請求訴訟とする予定)。

 

 また、大須賀寛之裁判長の両側にいる陪席裁判官はどちらも女性であった。

 この近藤紗世裁判官と北岡憧子裁判官は、問題になっている女性に対しての性暴力が問題になっているというのに、その話のさい裁判官席から見下ろしながら笑っていたのだ。

 まったく、杉田水脈みたいな女性ということである。どちらも杉田水脈よりずっと若い女性だが、権力志向ということだ。


 この間に、大須賀寛之裁判長は勝手に裁判を終結させてしまった。

 そして判決文に、訴えの内容だけ記載して、この訴えには理由がないから棄却するとだけ書き加えていた。事実の認定と法的な判断は一切なかった。これでは判決文ではない。

 それで控訴していたが、出てきた法務省の官僚たちは、とにかく一審の判決を維持するように求めるだけで、まったく具体的な抗弁などをしなかった。それを今度の裁判長も聞き入れ、この26日の初回だけで打ち切り判決にすると言い、「では判決文を受け取るから判決の言い渡しのさい法廷に来る」と言ったところ、裁判長が嫌そうな顔をして「そうですか」と言った。当事者と傍聴人たちの前で言いたくないくらい、それだけやましいということだろう。


 ただ、大須賀寛之裁判長が提出された証拠を調べてなかった事実は認めた。

 それくらい、ずさんな一審だったということだ。それでいて、話に踏み込むことは絶対に避ける。避けているのに「今日までに再び調査嘱託と文書送付嘱託の申し立てをしていたら考えても良かった」と空々しいことを言った。強引に打ち切って異常な一審を維持しようとしながら。警察の記録を裁判所が調べたら確実に判明するが、それを絶対に避けたいのが見え見えなのに。

 すぐ法廷で感情的になることで呆れられている飛澤知行裁判官や大須賀寛之裁判官も最低だが、空々しい嘘をつくのも最低である。

 

 この判決は10月16日の木曜日に、東京高等裁判所の825号法廷で、午前11時45分から言い渡しがある。

 みんなで睨み付けに行くが、これでストレスによる眼底出血などになり倒れた裁判官は結構いる。裁判官は自分のやましさを誰よりも感じているからだ。

 もちろん内容はひどいものであると容易に予想できるが、具体的にはその後に報告するので、乞うご期待である。

  

 
 
 
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