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​炬火 Die Fackel 

執筆者の写真井上靜

更新日:9月24日

 SF映画『猿の惑星』で、文明を持つ猿が英語を使っている。

 ただ英語を話しているだけでなく読み書きもしている。これについて、降り立った宇宙飛行士(チャールトン=ヘストン)が疑問を持たないのは変だと言う人たちがいた。そんなことを、まだ言っているのかと言う人もいて、そう言う人たちは、ドラマのご都合主義にツッコミ入れてもしょうがないと思っているそうだ。

 むしろ、ご都合主義だと、まだ言っている人がいる方に驚かされる。


 昔と違って、今は大体の映画を公開当時に近い形で鑑賞できる。

 だから、ビデオさらにDVDとなったら、ノーカットで画面のサイズもほぼ同じ、テレビも大画面で、音響だってステレオはもちろん立体音響も昔は別売だったドルビーシステムなど普通に内臓されている。

 もちろん不適切な翻訳もあるが、その程度なら映画館でもよくあった。また、テレビで放送されるのに比べればデタラメな訳は少ない。テレビで放送されるとCМなどのためカットされ、それを補うため翻訳でつじつま合わせしてセリフの訳を改竄してしまうから、それで奇妙なことにもなる。

 それなのに、昔テレビで見たときの印象のまま今も語る人がいる。


 『猿の惑星』の英語は、きちんと見れば次の通りである。

 猿の政治指導者は、英語について、昔から猿の社会で使われていた言葉であると言うが、これに対して宇宙飛行士は、自分のような者が持込み、猿が真似たはずだと言う。

 そして立ち入り禁止の場所に行くと文明の痕跡があり、どう見ても人間の文明であった。そこには動かすと音が出る女の子の人形があって「マミー」と言う。こんなものを猿が作るわけがない。英語を使う人間の文明が、かつてここに在った。地球から来た人間が、この星でも文明を築いたけれど、この様子では戦争で自滅したのだろう。その後、猿が人間の残した文明を真似して進化した。これを隠ぺいするため、この一帯は立ち入り禁止になっていた。


 猿の政治指導者は軍隊に命じて遺跡を爆破させる。

 猿の若い学者は「真実を葬ってしまったら、未来はどうなります」と抗議するが、政治指導者は跳ね除ける。「未来を安泰にするためだ」

 爆破のあと、去って行く宇宙飛行士を猿の兵士たちが追撃しようとするが、追うなと猿の政治指導者は言う。遺跡を爆破したから、他所から来た人間が一人では何もできまいということだ。

 そして、あてもなくさまよう宇宙飛行士の前に、傾き埋もれた自由の女神。彼は地団太を踏んで嘆く。

 「帰っていたんだ。人間なんて、みんな地獄で苦しめ」



 『猿の惑星』に限ったことではない。

 他の映画でも、テレビで放送されたさいのデタラメや改竄がオリジナルだと思い込んでいる人たちがいる。そんないい加減に作られた映画など、むしろ珍しい。かつて映画が斜陽化する前に優秀な人材が集まって作られていた時代だったのだから。

  

  

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更新日:9月23日

 朝日新聞がスクープ写真を掲載した。

 安倍首相が統一協会の幹部たちと一緒に写真撮影している。選挙に向けて協力を確認するための集まりだったらしい。この写真は統一協会の施設で額縁に入れて飾られていたから、そこに行ったことのある人なら見たことがあるものだそうだ。

 また、何かのついでだったのではなく、わざわざ出向いたときの写真であることが、安倍首相の服装から明らかという指摘もある。



 NHKは安倍元首相と統一協会とが親密だと「思い込んだ」犯人に銃撃されたと報じた。

 その当時から、NHKは自民党に媚びて嘘の報道をしていると批判されていた。安倍晋三は「安倍壺三」と皮肉られるほど統一協会と懇意であることは有名だったはずだ。それなのにNHKは犯人の元自衛官が誤解したかのように報じたのだ。

 そして決定的な写真が朝日新聞に掲載された。これでもNHKに受信料を払うのか。



 安倍晋三と統一協会の嘘といえば東京都狛江市の松原市長である。

 これは前に取り上げたとおり。今また、安倍晋三は国葬に値する人だったかと言われているが、その国葬に、役所が半旗を掲げたり、学校に追悼を強要したり、などの行為が市民から抗議を受けていた。これは統一協会の問題を糊塗するための岸田首相によるプロハガンダであり、元首相の弔いなんかではなかった。

 その中で、東京都狛江市では半旗が掲げられたので、市民から「政治的であり中立である行政に相応しくない」と指摘があった。これに対して狛江市長の秘書広報課は「政治的ではなく、中曾根もと首相の葬式を国葬に準じたものと見做し、それを前例として、行政として前例に沿った対応をした」という、アクロバティックな屁理屈で応じた。




 しかし松原市長の側の説明は虚偽だった。

 そこで市民が狛江市の行政文書を確認したところ、前例に沿ったものではなく、松原市長が議会で岸田首相のプロパガンダに協力するという趣旨の発言をしたから、半旗を掲げたということだった。これは議事録にも記載があった。

 つまり実に政治的である。ところが秘書広報課の役人は、なんと言われようと自分が勝手にそういうことにしたのだから正しいと言う。

 あまりにも無茶苦茶である。自民公明とその周囲にいる以外の市議会議員たちに話すと、松原市長は選挙で自公の協力を受けたいからだろうと言う。また、同市にも統一協会の信者がいて警戒しているということだった。



 とにかく、岸田首相のプロパガンダに協力して政治的中立を破る狛江市役所は、それだけでも悪いが、しかも市民に嘘をついて抗議されると居直るのだから、二重に犯罪である。しかし、市民運動している人の中にも、面倒なことに関わり合いになりたくないと言う人がいて、情けない限りである。

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 日本は植民地なのか。

 国会で山本太郎議員が質問したところ、政府側の高市早苗議員は主権国であると答弁した。

 しかし現実の日本は従属国だから、日本人が反対しても米軍基地を作る。それで領土問題も解決しない。非武装地帯にすると日本が約束してもアメリカは勝手に軍事基地を作る。これだからロシアは領土問題の交渉などできないと言った。

 これを山本太郎議員が指摘したが、政府には馬耳東風だったようだ。


 『スノーデン』という映画があった。

 これは亡命したアメリカの諜報部員の告発に基づいたオリバーストーン監督の映画で、日本がアメリカの従属国であることを止めたら日本のライフラインを麻痺させて機能不全に陥れる準備をしているという挿話がある。

 それくらいのことをしそうではあるが、現実には如何だろうか。なぜなら、そんな洗練されたことをする必要がないからだ。


 オリバーストーン監督ではなくコスタカブラス監督の映画のようにするはずだ。

 つまり暴力によって傀儡政権を維持する。実際に南米であったことを映画化した『戒厳令』や『ミッシング』のように。ここではアメリカの傀儡である軍事独裁政権の下での、弾圧による拷問や虐殺の残忍な場面が再現されていた。

 日本の映画で小林久三の原作で監督は山本薩夫の『皇帝のいない八月』は、自衛隊の極右過激分子が反乱を起こして失敗し鎮圧される話だが、裏で糸を引いていたのがアメリカの中にいる一部の勢力で、日本もチリや韓国のように軍事クーデターによって作った傀儡政権に支配させようとしていた。



 自衛隊にはチリのピノチェト将軍のような人ばかり。

 そんなことダメだと言う自衛官は、追放されてきた。また、建前でナショナリズムを説きながらアメリカの植民地であることを正当とする自民党の体質は、先の山本太郎議員の国会質問のさい露呈している。また、政府は国民を拷問してはならないという憲法の規定を、拷問しても良いことに変えると自民党は公言している。

 これでは、スノーデンが言うようなことをしなくても、自衛隊を使って国民を虐殺する方が簡単である。

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