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​炬火 Die Fackel 

執筆者の写真井上靜

 上丸洋一氏が読売新聞を批判していた。

 枝野幸男議員について、朝日新聞と毎日新聞は「リベラル系」としているのに対して、読売新聞は「左派」としている。それでいて、高市早苗議員のことは「右派」ではなく「保守系」としている。これは不公正であり印象操作の偏向報道ではないか、というわけだ。

 まあ、なんとなく一貫性に欠けるような記述ではある。しかし「リベラル」と「左派」はイコールではないし、「保守」と「右派」もイコールではないから、これらの言葉について読売新聞がどのような認識なのか不明である以上、間違いとも不公正とも断定はできない。 


 また、朝日新聞と毎日新聞の記述の方こそ不適切である。

 そもそも枝野幸男議員は「左派」でないことはもちろん、「リベラル系」でもない。昔から枝野幸男議員は、その政治的な立ち位置を客観的に見れば「右派」である。前にここで、知り合いの元地方議員で社民党の所属だった女性が、現職だった当時、枝野幸男議員は右に寄りすぎていると言って否定的だった話を紹介したうえで、それは具体的な発言から的確な評価であった、という話題を取り上げた。読んで憶えている人もいるはずだ。

 ただし、高市早苗議員は違う。


 高市早苗議員は「保守系」でも「右派」でもなく「極右」である。

 だから、枝野幸男議員は「右派」なのに対し高市早苗議員は「極右」である。なのに、社民党や共産党など本当の「左派」を無視するから、相対的に、枝野幸男議員のような「右派」が「左派」や「リベラル系」になり、高市早苗議員のような「極右」が「右派」や「保守系」になってしまう。

 つまり、読売新聞だけでなく朝日新聞と毎日新聞も印象操作の偏向報道をしている。



 上丸洋一氏は朝日新聞の記者だった。

 この人に限らず、朝日新聞の記者だった人は、もともと新聞が全体的に権力にすり寄っている中で朝日新聞は読売新聞より少しはマシという発想で語る。それでも、事実として朝日新聞が読売新聞よりほんの少しは権力と距離をおいているならともかく、そんなことはこれっぽちもない。だからその間隙をついて東京新聞が隙間産業的に権力に盾突いたかのような姿勢を見せて売りにしているのだ。

 そういう視点を持ち得ないのが、新聞社仕えをしていた人の致命的な欠点である。

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執筆者の写真井上靜

更新日:9月30日

 袴田事件は再審で死刑から無罪になった。

 これに法務大臣は、死刑廃止は無用だと言った。裁判の間違いで最も深刻なのが死刑だから、死刑廃止の数多い理由の一つであるが、法務大臣として言うべきことは他にある。死刑は最も取り返しのつかないことだから、法務大臣の執行命令書が必要である。その点が廃止論より重要である。法務大臣としてどう思うかという点では。

 

 まず警察が間違い、検察が間違い、裁判が間違う。

 それを国民から選ばれた法務大臣がチェックするという意味で執行命令が必要だ。かつての法務大臣は、明らかに間違った裁判だと陳情があれば、それを法務大臣は調べたうえで「では再審請求してください。私が法務大臣である限り執行命令はしません。交代の時は引継ぎの時に後任者に伝えます」と言うのが当たり前だった。

 その重責が嫌だと言ったのが鳩山邦夫法務大臣だった。執行命令の制度を廃止して欲しいと言い、それ無責任と批判されたら、勘違いして命令書に片っ端から署名してしまった。この人は他にも「友達の友達はアルカイダ」という迷言を吐いたうえ、日頃の不摂生が祟ったのか早死にした。


 この事件で、また証拠の捏造が指摘された。

 かの地は「名刑事」実は「拷問王」という紅林麻男が、捏造と拷問で数々の事件を解決したふりをした歴史がある。静岡県警の体質であるが、静岡県に住んでいる人が言うには、静岡県の土壌のためである。警察は腐敗堕落していて、威張っているのは稲川会、その組員が名士でさえある。

 他にも、郵便も宅配便もきちんと届かないなど、土地柄が悪いということだ。 

 



 証拠捏造の認定に文句を言う元最高検の爺さんがいた。

 それで一部メディアに出ていた。これと同じ世代の元検察官の話題を前回ここで紹介した。大学で聴講したが、その教授の授業はデタラメばかり。前回に遡って参照して欲しい。

 そのデタラメ教授のおかげで、元検察の言いたい気持ちは解る。日本の刑事訴訟法は検察の権限が強すぎ、今では不健康に老化した男性の前立腺のように肥大しすぎている。それで検察官はエリート意識どころか選民思想を持っている。自分らを神様のように錯覚しているから、証拠の捏造も神の創造だと本気で思っている。

 これはタレント弁護士としてテレビなどに出る元検察官の言動からも判るはずだ。そういうところなのだ。

 

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執筆者の写真井上靜

 袴田事件で再審無罪の判決が言い渡された。

 事件の詳細は調べれば誰でも簡単に知ることができるので、ここで改めて説明する必要はない。また、有罪判決に反対した裁判官の苦悩を描いた映画と、被疑者を追ったドキュメンタリー映画が作られているので、これを見た人もいるだろう。

 被告人はボクサーだった。これでアメリカで実際にあった事件を基にした映画『ハリケーン』を思い出す人もいるはずだ。あれは事件を知ったカナダ人がアメリカに来て調査し、妨害を受けながらも証拠を発見してゆくという内容だった。



 もとプロボクサーの輪島氏が袴田事件の支援者を訪ねてきたそうだ。

 その活動をしている人から話を聞いた。ボクサーだから暴力的で犯人に違いないという偏見が、この事件にあったと指摘されている。これに輪島氏は怒っていたそうだ。

 それで「差し入れに団子もって来たりして」と冗談のつもりで言ったら「本当に持って来てご馳走になった」とのこと。輪島氏がボクサーを引退してから団子屋の経営を始めたことは有名である。『だんご三兄弟』という歌が大ヒットした影響でよく売れたから、歌を作った人に感謝していると言っていた。それはともかく、証拠を無視して偏見で死刑判決とは無茶苦茶であるが、そのような事件は沢山ある。


 「拷問王」と呼ばれた紅林麻男刑事の影響も指摘されている。

 数々の事件を解決して「名刑事」と言われたが、実は適当に目星をつけたら証拠の捏造と拷問による自白で犯人に仕立て上げていた。

 そして、このようなことが起きる取り調べの在り方への批判から慎重になるとともに、不起訴が増えている。証拠が無いから訴えを起こせない件が増加したということは、それまでいかに拷問で自白させてきたかということだ。しかも、その不自然な内容の自白だけによって、日本の刑事裁判は八割が有罪となっている。しばしば無罪の証拠があっても無視される。


 國學院大法学部の白井駿教授(もと検察官)には怒りがおさまらない。

 かつて聴講していたさい、前近代的な警察の取り調べの実態と、数々の冤罪の現実を無視し、日本で有罪率が高いのは証拠が乏しいと検察が不起訴にするからで、裁判官の不公正など存在せず、一般社会人の良識を取り入れる陪審員制度など反対で、なぜなら自分のように司法試験に受かった頭の良いエリートだけが裁判をするべきなのだと繰り返し言っては、学生たちから失笑を買っていた。

 もちろん、検察官だった当時は権力に庇護されていたから、このような戯言を吐いても大丈夫だっただろうが、それに慣れきって大学でやらかしてしまった。連続強姦殺人事件で死刑になった小平義男と同じである。兵士として中国に行って強姦殺人をくり返し、この感覚を戦後に帰国してからも維持していたから同じことをしたと取り調べで言ったそうだ。これと酷似していた。

 また、白井駿センセイの自画自賛は、アメリカのゲーリースペンス弁護士の言葉がピッタリである。シルクウッド事件などで活躍し名弁護士と言われたスペンス弁護士は、エリート意識まるだしの公然とした自画自賛を「社交場のオナニー」と言っていた。まさにそれである。


 もちろん庶民にも庶民なりに無知と偏見がある。

 その一方で「エリート」にも偏見はもちろん無知もある。それが徳島ラジオ商殺し事件や八海事件と同様に袴田事件も反映している。ここを忘れてはならない。

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