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​炬火 Die Fackel 

 プーチン大統領はレニングラード大学(当時。ペトログラード大学・ペテルブルグ大学とも言う)法学部卒。

 ここは定員が100人。東京大学法学部は定員600人。人口比は1対2くらいだったから、単純に計算すると、レニングラード大学法学部は東京大学法学部の12倍になる。

 こんな難関に入るのはよほど成績優秀ということだが、しかも彼の親は低所得者で、二間のアパートに住んでいたから、勉強部屋など無かった。そんな劣悪な条件から、よく一流大学に入れたものだと言われている。

 ただ、彼の両親は共に小学校しか出てなかったけれど、その後、父親は働きながら中学校へ通った。事情あって中学校に通えなかった人のための夜間部に。そして41歳で卒業している。


 ゴルバチョフ大統領はモスクワ大学。

 このモスクワとペテルブルグは、首都と旧首都、その前は新首都と古都。そこの国立大学で名門の双璧ということだから、日本なら東京大学と京都大学に相当するだろう。

 さて、ゴルバチョフのうちも富裕ではなく、地方だった。学校に入る年齢になったけど靴が買えなかった。当時は大量生産の安価なものは無かったから。それで母親が、軍隊に行っている夫に手紙で相談したところ、うちにあるもので売れるものを全部売って靴を買い学校に行かせなさいという返信だった。その通りにして、なるべく丈夫なものをということで兵隊靴にした。これを履いて学校まで遠かったけれど歩いて通学し、そうまでしてくれた親に報いるため頑張り、高校は二番で卒業してモスクワ大学に。


 つまり所得は低いけれど意識は高い親は、子供が高学歴になる。

 東京大学でも似たような人はいる。地方から来た東大生は、三鷹にある寮から通学しているけれど、やはり親が低所得者であるから寮にいる場合がある。

 一方、富裕な親を持つ学生は、はっきり言って「あんな寮」という所ではなく、場所も建物も良く、それ故に金もかかる所から、通学している。それくらいの出費なんともない富裕な人が、東大生の親のほとんどである。

 しかし例外がいて、金が儲からない分野の研究を熱心にしている貧乏学者の親などはもちろんのこと、そういう金がないインテリでなくても、子供のためになんとかしてやるべきだと考える親であれば、当然のこと意識が高くなるもので、すると家庭教師や受験予備校など無用で成績優秀になることが普通にあるのだ。


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 家庭教師や受験予備校の効果がない場合もある。

 これは、いくら親が子供に勉強させようとしても、既に親が子供を絶望させているから駄目なのだ。これを描いた『家族ゲーム』という小説があった。何度もテレビと映画になっているけれど、どれも原作を改変していて、子供の教育に熱心な親の姿勢が子供を絶望させているから無駄だ、という根幹の部分が欠落している。これは脚本家や監督が理解できなかったからなのか、それとも視聴者や観客の多くが受け容れてくれないと考えてのことなのか。

 なんであれ、教育熱心ではあっても意識が低いので親が子供から共感されない、ということには気づいていない人が多いのではないか。近所に小学生の進学塾があって、そこに通っている子供たちと親たちを見ていて、このことを思い出した。

 

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 7月25日
  • 読了時間: 2分

 石破首相が辞任するという号外を読売新聞が発行した。

 これは石破首相が選挙で不振だったことから辞意を固めたというものなのに当の石破首相はそんなこと言って無かった。号外まで出しておいて違ったというのは、前に産経新聞が中国の江沢民が死去というのがあったけれど、これに続く世紀の大誤報である。

 おそらく自民党の中で石破首相を引きずり下ろしたい勢力の願望を記事にしてしまったか、あるいは故意に偽の情報を流したのだろう。


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 そもそも石破首相が選挙の責任をとるのがおかしい。

 このところの選挙で自民党が振るわないのは、裏金などが問題になって顰蹙を買ったからであり、これは安倍派のレガシー(負の遺産)なのだから、その責任をとって石破首相が辞任することはないし、そんなこと不当でさえある。

 ところが、その責任のある勢力が、それを石破首相に押し付けたいということだろう。


 だから野党も石破首相が辞めて責任をとるべきではないと言っている。

 また、石破首相が辞めたら代わりに出てくるのがまた統一協会と関わる人とか、ろくでもない人になりそうだという危惧がある。

 それで高市早苗になったら、参政党が態度を擦り寄りそうで、この両者がくっついたらヤバいことになる。だから野党の側から「石破やめるな」コールが起きているのだ。


 共産党の場合は石破首相なら議論になると思っているのだろう。

 そういう指摘があるれど、おそらくそうだろう。これは不破委員長(当時)が、かつて中曾根康弘首相について、厳しく批判してはいたが、議論の相手としては手応えがあると言って評価していたのと同じことだろう。石破首相なら手応えのある議論が出来るから、それがどちらの党のためではなく民主主義のためになるということでもある。

 この点、言うまでもなく安倍首相などは話にならなかった。


 かつてマスコミは石破氏を「新世代の論客」と持ち上げた。

 なぜなら石破氏は政治や経済の本を読むのが好きだから。これを『赤旗』は持ち上げすぎだと批判していた。

 しかし今は共産党が、石破首相は安倍首相などよりマシだという態度である。意見は違っても政治や経済の本を読むのが好きな石破首相のほうが、本も読まない安倍首相より、論戦し甲斐があるということだろう。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 7月24日
  • 読了時間: 2分

更新日:7月25日

 世良公則は約25万票を得て落選した。

 これについて、同じ芸能人の候補者ラサール石井が約17万票を得て当選したことと比較して、不当だと言った人たちがいる。これはネットサイトのトピックスとして掲載されていた。

 そして、そんなことを言った人たちは愚かだと呆れられた。なんで、違う選挙区を比較するのか。選挙の当落は、得票の絶対数ではない。定数と有権者数からの相対的な数字である。そんなことも解らない人がいるわけだ。


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 ラサール石井は個人で17万票を得た。

 これに加えて公認した社民党として約74万票があった。これは比例代表制である。また、ラサール石井が立候補したから社民党に投票した人だって少なくないだろう。

 そして、ラサール石井は社民党が政党としての要件を維持できなくなりそうだから助けに入った、という事実もある。得票が2%以上ないと、ただの政治団体で政党ではなくなる。それだから、とにかく集票する必要があった。大椿副党首が当選できなかったが、今回の選挙は政党要件確保が最優先だったから仕方ない。そして社民党は得票率が2.05%と、なんとか政党要件確保ができた。


 大坂の選挙区で世良公則は7位だった。

 そこの定数は4だ。有権者数が多い所である。そこで25万票を得たとしても、当選には及ばない数である。

 それなりの知名度がある芸能人であっても、無所属で立候補していたから組織的な応援が無かった。それが敗因のようにマスコミから言われていたが、仮に組織的な選挙運動を展開したとしても、世良公則は当選できるほど注目されることは無かっただろう。


 世良公則はコロナ禍をきっかけに社会的な問題を意識したと言う。

 あのときエンターテイメント業界は大打撃だった。そこに身を置いていたから、世良公則は政治に関心を持ったそうだ。それなら、そのことを芸人として素直に言うべきだ。

 ところが、やっていることは専ら排外主義を煽ること。俄かな関心だけであることが丸解りである。だから当選できなくて当然のことだ。 

 
 
 
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