貧乏なうちの子供でも一流大学に行ける場合が稀にある
- 井上靜

- 7月28日
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プーチン大統領はレニングラード大学(当時。ペトログラード大学・ペテルブルグ大学とも言う)法学部卒。
ここは定員が100人。東京大学法学部は定員600人。人口比は1対2くらいだったから、単純に計算すると、レニングラード大学法学部は東京大学法学部の12倍になる。
こんな難関に入るのはよほど成績優秀ということだが、しかも彼の親は低所得者で、二間のアパートに住んでいたから、勉強部屋など無かった。そんな劣悪な条件から、よく一流大学に入れたものだと言われている。
ただ、彼の両親は共に小学校しか出てなかったけれど、その後、父親は働きながら中学校へ通った。事情あって中学校に通えなかった人のための夜間部に。そして41歳で卒業している。
ゴルバチョフ大統領はモスクワ大学。
このモスクワとペテルブルグは、首都と旧首都、その前は新首都と古都。そこの国立大学で名門の双璧ということだから、日本なら東京大学と京都大学に相当するだろう。
さて、ゴルバチョフのうちも富裕ではなく、地方だった。学校に入る年齢になったけど靴が買えなかった。当時は大量生産の安価なものは無かったから。それで母親が、軍隊に行っている夫に手紙で相談したところ、うちにあるもので売れるものを全部売って靴を買い学校に行かせなさいという返信だった。その通りにして、なるべく丈夫なものをということで兵隊靴にした。これを履いて学校まで遠かったけれど歩いて通学し、そうまでしてくれた親に報いるため頑張り、高校は二番で卒業してモスクワ大学に。
つまり所得は低いけれど意識は高い親は、子供が高学歴になる。
東京大学でも似たような人はいる。地方から来た東大生は、三鷹にある寮から通学しているけれど、やはり親が低所得者であるから寮にいる場合がある。
一方、富裕な親を持つ学生は、はっきり言って「あんな寮」という所ではなく、場所も建物も良く、それ故に金もかかる所から、通学している。それくらいの出費なんともない富裕な人が、東大生の親のほとんどである。
しかし例外がいて、金が儲からない分野の研究を熱心にしている貧乏学者の親などはもちろんのこと、そういう金がないインテリでなくても、子供のためになんとかしてやるべきだと考える親であれば、当然のこと意識が高くなるもので、すると家庭教師や受験予備校など無用で成績優秀になることが普通にあるのだ。

家庭教師や受験予備校の効果がない場合もある。
これは、いくら親が子供に勉強させようとしても、既に親が子供を絶望させているから駄目なのだ。これを描いた『家族ゲーム』という小説があった。何度もテレビと映画になっているけれど、どれも原作を改変していて、子供の教育に熱心な親の姿勢が子供を絶望させているから無駄だ、という根幹の部分が欠落している。これは脚本家や監督が理解できなかったからなのか、それとも視聴者や観客の多くが受け容れてくれないと考えてのことなのか。
なんであれ、教育熱心ではあっても意識が低いので親が子供から共感されない、ということには気づいていない人が多いのではないか。近所に小学生の進学塾があって、そこに通っている子供たちと親たちを見ていて、このことを思い出した。



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