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高市高支持率で判る日本は昭和のまま

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 1 時間前
  • 読了時間: 3分

 かつて井上ひさしが『文芸春秋』に書いていた。

 戦争になった当時、時局に便乗して「アメリカをやっつけろ」と息まく庶民がいた。それに対して彼の母親は「アメリカと戦争するなら太平洋を挟んでのことになり軍艦や軍用機が肝心なのに、それを作る鉄も動かす石油も日本はアメリカから輸入している。これでは勝てるわけがない」と指摘した。そしたら「非国民」と非難されてしまった。

 彼の母親と同様に気づいている人は大勢いた。しかし井上ひさしに言わせると、彼の母親はおしゃべりで、言っても解らない人に対しても口に出してしまうから困ったことになる。これに懲りた彼の母親は、後に田舎の街に有名人が来て公演すると聞きに行き、そこで周囲の人達に聞こえよがしに「いい話だ。この街の人達には解らないだろう。もったいたい」と言うから、息子としてはハラハラさせられたそうだ。


 かつて美輪明宏も言っていた。

 中曾根康弘もと首相が、自分は東大を出てエリート官僚になり海軍にもいたことを以て「海軍魂というものを君は知らないだろう」と言うので、美輪明宏は「もちろん知りません。その当時、私は少年でしたから」と答えた。そして、


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 「しかし学校で軍事教練はやらされました。でも原爆でやられたりして日本は戦争に惨敗しましたね。私も長崎にいて被爆し、その後遺症で今も苦しんでますよ。なんで、こんなことになったのでしょう。自慢するほど立派な海軍魂があったのに。それに、偉い人は敗北の責任をとって切腹するかと思ったら、それもしない。部下を大勢犠牲にして自分は生き延びる。それが海軍魂というものなのですか」

 これに中曾根康弘は怒って席を立ってしまったそうだが、美輪明宏は「あんなエリートの人が、こんな芸人風情に、なんであんなことを言うのか」と疑問を呈していた。

 そして、戦争に必須の軍艦や軍用機を作る技術も資源も満足でなかったのに、根性でなんとかなると言うのが当時の日本で言われていたことだったから「それだけ日本人が野蛮だったということ」と美輪明宏は指摘していた。


 それから日本人は、どうも進歩してないようだ。

 あの高市首相の国会答弁のさいの失言、しかも今どき「戦艦」なんて言ったりするのに対して、マスメディアがあからさまな嘘によって首相を擁護し、当時者のアメリカからも高市首相の態度は迷惑がられているということを隠蔽して、高支持率の演出で日本人は耳目を塞がれた状態である。

 そして、アメリカも日本も、中国とは経済的に密接だから戦争なんてとうてい出来ないという現実を認識できていない。経済的に大打撃を被ってもお構いなし。反中国を訴えて選挙に出た人が、中国製品の不買を呼びかけているさいのマイクが中国の有名なメーカーのもので、演説しているさいロゴがハッキリ判ったから笑われていた、なんてことまで起きている。

 こうした軽はずみな精神論だけで深く考えないのは昭和の価値観と言われるようになったのは良かったが、それは残念ながら部活が改まった程度のことで、もっともシリアスな政治経済では昭和のままということなのだろう。

 

  

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