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  • 執筆者の写真井上靜

話して楽しかった老人

 かなりの高齢と見える男性に話しかけられた。

 それは自宅近くの路上でのこと。そこに車椅子や介護用品の貸し出しをする会社の事務所ができたから、これについての話題を、その人は誰でもいいから通りかかった人と語らいたかったようだ。

 この人は歩き回ることはできるが、片眼がほとんど見えないだろうというほど黒目が白濁していた。その人と他愛ない世間話という程度のことだった。しかし楽しかった。雰囲気が陽気な人で、また温和だったからだ。



 こういう人と違い、険悪な老人から不愉快な目に遭ったことが、先日あった。

 それは公共の場で座っていたところ、正職員ではないシルバー人材で手伝いに来ている老人が、突然に老人特有のブチキレかたをして言いがかりをつけてきたことだった。なんと、その爺さんが鼻の下を伸ばしている婆さんに、席を譲れと言うのだ。席ならまだ空いているのに、何を言っているかと不可解だった。

 このようなシルバー人材が、仕事で使えないうえ無茶苦茶な言動をするため、そんな老人は雇わないでくれという苦情は全国でよく聞く話である。


 こうしてみると、老人であるかは関係ない。

 あくまで人柄の問題である。ただ、高齢になると判断力の低下により上辺を取り繕うことができなくなる。それで地の性格がもろに出るのだろう。

 それで、今年に入ってから両極端な高齢者と接し、楽しい人もいれば、嫌な人もいる、ということになったのだろう。正直に言うと、楽しかった人は先が短いのが一目瞭然の老人だけどなるべく長生きして欲しいし、まだまだ生きられそうでも嫌な人の老人には今すぐにでも死んでほしい、というように本気で思った。

 それくらい人柄が違うのである。この差はどこに原因があるのだろうか。

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