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  • 執筆者の写真井上靜

寄付して自分が金に困る人が役員だと…

 『男はつらいよ』で、主人公の車寅次郎が時々やらかす失敗がある。

 気前よく「これで美味しい物をたべなさい」と万券を渡し、あとで財布を見たら千円札が一枚だけ。「しまった、つい大きい方を渡しちゃった。困ったな」とボヤく。

 この、寅さんと同じ失敗をやらかす人は時々いるが、個人では済まないことがある。


 都内のある集合住宅でのこと。

 東日本大震災の義援金を、住民の会から五十万円寄付したそうだが、ここの規模は五十世帯も無いので額が多すぎる。これは不適切であると住民から苦情が相次いだが、その当時の会代表は相当であると言い張って譲らなかった。

 そして費用が足りなくなり、必要な経費を臨時で徴収することになった。代表者の自己満足のツケを住民が払わされたのだ。その後も慢性的な財政難で、清掃などで必要な管理費が足りず、もともと高いと評判が悪かった会費を払わされていたうえ更に徴収があって住民は困っていた。それでいて、節約しようと工夫する役員には、ケチケチするなという意味のことを言って文句を垂れるという。

 こうなるとバカとしか言いようがない。



 こういう問題は各地でよく起きている。

 例えば、地元の高校野球部が甲子園大会に出場するというので、普通なら寄付金を募るものだが、それを自治会長が勝手に自治会費から寄付してしまったとか、他にも地元の神宮の祭りに寄付してしまったとか。それで足りなくなると大問題だが、そうならなくても本来は好きな人が寄付するべきなのに公費を出してしまい、苦情があると地元のことだから公的だと居直り、文句を言うのは非国民だと罵る。

 これも「民度」が原因だろう。あるいは自民党的というべきか。


 役所も困っているそうだ。

 前からよくあることだが、自治会に委託して、役所の定期的な広報や選挙の広報を地元に配布してもらっているが、自治会の役員の中には自分と喧嘩するなどして自治会から脱会したり、最初から自治会を嫌って加入しなかったり、という世帯には配布しないので「これは会報ではない。地元の総ての住民に配布するべきもの。自治会は役所から配布を依頼されたに過ぎないのだから、総ての世帯に配布してもらわないと困る。それが嫌なら配布の委託を断って欲しい」と役所が言っているのに、この意味が解らない人が少なくない。

 先日は、役所から「自治会に入りましょう」という呼びかけをした広報を、自治会に加入していない世帯だからと配布しなかった自治会役員がいたので、役所の人も呆れたと言う。


 前に、知的障害のある住民が自殺に追い込まれた。

 自治会の役員は無理だと言って断ったところ、文書で「お金の計算ができません」など色々と書かされて傷つき自殺し、遺族が訴訟を起こして報道されていた。

 これは弱いもの虐めだが、その一方では役所が呆れる純粋に頭が悪い自治会の役員がいる。こちらのほうが余程、困った存在ではないか。

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