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  • 執筆者の写真井上靜

腕時計の話題その三

 スポーツ用の腕時計を年配の人が付けてよいかと疑問を持つ人がいる。

 これは、若者が付けるものではないかと考えるからだ。また、フォーマルな服装に不似合いではないかと考える人もいる。しかし、そんなこと関係ないと言う人もいて、若者でなくても、背広を着ていても、スポーツ用の腕時計が似合わないことは無いと考える。前に、どう思うかというネット上のキューアンドエーで議論になっていたが、結果は、一部で好まない人はいるけれど、一向に構わないということだった。


 ところが、スポーツ用腕時計を高校生が付けることを貶した人がいた。

 これは同じ高校だった男で、全体的に奇妙なセンスの持ち主であった。このためスポーツ用の腕時計を「玩具みたいな」「ちゃんとしたものではない」と言って、付けている人を貶した。この人は服装でもオッサン臭い(大人っぽいとかシックとかではない)のが好きだと自分で言って実践していたくらいだから、そこから変な感覚になっているのだろう。若い人がオッサン臭い服装をしてないと変な恰好だと言うくらいだから。

 仮に、安物であっても、高校生である。使えれば良い。高級腕時計を付けて通学することの方がよほど分不相応で不似合いである。金持ちばかりが通う私立校に、そんな制服を着て通学していたとしても、そうだろう。



 つまり二重に間違っているのだが、それ以前に他人の持ち物を貶すのは非常識だ。

 それも、自分の御粗末なセンスで誤解しておいて勝手に安物だと思い込んでのことだから、実はスポーツ用の腕時計の方が防水機能その他のため、その男の付けている「ちゃんとしたもの」と彼が思い込んでいるものより、値段は高い。実に滑稽なのだ。他の同級生が指摘していたのだが、その男は趣味でスキューバダイビングをやったことがあるのに、なんで時計のことを解らないのか不可解だと言っていた。


 ただ、彼は劣等コンプレックスの塊だった。

 勉強ができず、偏差値の低い私大に入り、親がいないので働きながら夜間部で苦学している人を、その夜間部だって彼でさえも入れた私大より偏差値は高いのだが、それを「やーい、夜間。貧乏人」などと貶したりしていたのだから、すべてに渡って同じ調子ということだった。

 こんな妙ちくりんな人も世の中にはいるのである。

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