これは今だから言える話である。
かつて、中学と高校が同じで一緒に課外活動などもやっていた女子と、それで仲良くなって同じところに進学したと思っている同級生もいたくらいだった。また、彼女は真面目で成績も常にまあまあのうえ容姿端麗だった。
それで、うちの母親など息子と将来は結婚させたいとまで言っていたほどだった。美少年と美少女で真面目な優等生であるから、とてもお似合いだと本気で言っていた。
しかし彼女は、その外見だけに接した男子から一時はモテるが、すぐにみんな退いてしまう。
それに、男女問わず嫌われて孤立していた。そういうと、彼女は性格がよほど悪いのだろうと思われるが、そんなことはなかった。ただ彼女は、今でいうところの杉田水脈議員と同じだったのだ。
そんな彼女は、まったく同類の人を見つけるしかないだろう。もし見つけられれば、他のみんなから嫌われていても、出世したりはできるということだ。
だから次第に避けるようになったのだった。
その後の詳しいことは知らないが、大学では典型的な「勉強よりオシャレ」という学生となったらしい。あと、高校の当時うちの父親がPTAの会合で彼女の母親に会って「綺麗な人」と言っていた。確かに、彼女の母親は他の同級生の母親たちより華があって上品でもあった。
そして、娘の話を聞いていると、どうやら彼女は父親の影響を受けているようだった。一般論でも、権力志向で差別的な言動をしている人は父親が原因である。
かつてテレビで大江健三郎がそれを言っていた。
そして「そんな父親にだけはなるまいと思ってきた」と。彼の発言に珍しく完全に共感できた例外的な話であった。