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  • 執筆者の写真井上靜

「庶民は市民であってはならない」

 新型肺炎対策のためではなく、日本の防衛に役に立たない武器をアメリカから買うため莫大な税金を使っていて、政府は間違っていると言う人がいる。

 これに類することは昔からあり、自分が高校生の時にも、そういう話になったことがあった。そうしたら同じクラスの同級生が「でもアメリカのご機嫌とれば日本は大丈夫なんでしょう、ねっ、ねっ!ねーっ!!」と言った。

 「アメリカのご機嫌をとっていれば日本は大丈夫」なんて発想おかしいよと指摘したら、その同級生は「俺、政治には全然関心ないの」と言って、話題そのものを拒否したのだった。

 つまり、彼は上から言われることを鵜呑みにして従い一切考えないんだと、そういうことだった。これを担任の教師は絶賛していた。

 その担任教師は、この同級生のように従順で素直であることが最高で、そうじゃない奴は最悪だと何度も言った。市民であってはいけないんだ、庶民なんだから、と。文句がある生徒は退学して他の学校に行って欲しいということも言っていた。これは他の組の担任教師も同様で、ただ、それを直接は言わなかった。そして生徒の方で意を汲んで去って行った場合もあった。

 この去って行った生徒は、もっと偏差値の高い学校に入れたが、自宅から近いほうがいいという事情だった。それと違い「君はどうして自宅から遠いのに、ここに入ったのか。入試の成績を見たら他にいくらでも入れる高校があったはずの成績だった」と言われた。事情あって、決して近くないところにある高校に、親の指示で入ったからだった。

 それで、退学して定時制か通信制を出て大学に行くと親に言ったが、また教師も面談で退学して欲しいと説得したが、蒙昧な親なので賛否以前に意味がサッパリ理解できないから相談にならなかった。

 だから卒業したら同窓会など行かないが、行った同級生に会って話を聴いたら、みんな生活苦に喘ぎながら「そのご指導があったおかげさまで私達は平凡で幸せなんだ」と言っていたそうで、今はおそらく新型肺炎でさらに困窮していることだろう。

 しかし幸せなのだ。これを壊したくないから、そのため邪魔な生徒は排除したかったのが教師たちの本音だったはずだ。


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