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  • 執筆者の写真井上靜

「とんでもない」はトンデモの有無じゃない


 ある作家が指摘していた。

 「とんでもありません」と言う人が時々いるけれど、これは「とんでもない」の末尾を「無い」であると誤解しているから、丁寧に言うつもりで「ない」を「御座いません」にしているのだ、と。



 かつて山本富士子も言い間違えていた。

 それで、山本嘉次郎監督に注意されていた。その美女さを褒められた山本富士子は謙遜して「とんでもございません」と言ったため、山本嘉次郎に「とんでもございません」という言い方は間違いだと言われたのだ。


 「とんでもな」に「い」が付いているのだ。

 これを、間違える人は「ごぞんじなかった」のだと、その作家は言った。そこで気になったことは「ごぞんじなかった」という言い方も、もとは無かった。「ぞんじています」などは謙譲語である。だから、相手のことで丁寧に言うつもりで「ご存知ですか」は本来なら間違いである。

 だから「とんでもありません」の間違いを指摘しながら、その間違いは正しい言葉を「ごぞんじなかった」と言っているので、その点では少し滑稽であった。


 けれど、「ごぞんじ」は定着してしまった。

 あまりにもよく使われるので、容認されてしまったらしい。しかし言葉の意味をよく考えたら明らかに間違いだから、自分としては使わないようにしている。


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