1月の1日は、だいたい各家庭で過ごし、2日に集まる習慣がある。
だから銭湯が2日は例外的に午前中の営業である。そして午後から年始の挨拶に行くというわけだ。
これには色々な関係がある。親戚とか子弟とか。同級生のこともある。かつて同級生の自宅に集まることがあった。この人が自分の住んでいるアパートの部屋に集合と言っておいて、行ったらすぐに解散となった。実家に行くそうだ。
そこは遠かった。
それで交通費も結構な額だったし、移動の時間も要した。それなのに、ということだ。それについて彼は、実家の方が優先だからだと笑って言った。それを勝手に来られた相手に言ったのならともかく、自分から招いておいて。
それは、直接の言葉にしたのではないが、その内容と態度から、あんたたちより実家の方が優先だよ、ということだった。
それなら他所でやればよかった。そう皆が言いたそうだった。自宅が近い人は大した被害ではないけれど、遠いと時間と交通費とで有害と言ってよい。
これは彼の宣言だったのだろう。
つまり、もう同級生との付き合いは自分にとって重要ではなくなったということだ。恋人が出来たとか結婚したとかいう宣言なら、ノロケは迷惑でも結構なことだが、そうではなかった。
ということは、同級生たちと付き合い続けることに飽きたか疲れたか、だろう。
そんな迷惑な宣言などしなくても、誘われたら断ればいいのに。
しかし、彼なりの自己主張だったのだろう。その気持ちは解らないではない。