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​炬火 Die Fackel 

 学問の自由が危機に瀕している。

 これはもちろん周知のとおり学術会議のことであるが、学問に対する攻撃の発端は1892年の久米武彦筆禍事件と言われる。日本の神道は宗教ではなく古俗の一つと論じた久米武彦教授の論文に怒った神道界と国粋主義者たちが、久米教授を猛攻撃した。

 これで久米教授は東京大学を辞任に追い込まれ、論文が掲載された雑誌は発禁処分にされた。


 それでいて、戦後は神道の側から宗教ではないことにするようになった。

 これは、国家神道が否定された後も神道を国教として扱われるようにするためだ。国教なら公的機関が儀式などを実施するけれど、そうすると憲法で定めた政教分離原則に違反するので、神道は宗教ではなく俗習であると言い逃れるのだ。

 つまり御都合主義だが、それで権力に擦り寄るというのは卑劣なやり方である。それなら神社という神社から宗教法人格を剥奪すべきだ。そして規定通りの税金を納めさせないといけない。


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 神道が、堂々と、あくまで古俗・俗習と表明したら相手にされないだろう。それで宗教のようにふるまう。

 例えば、建設のさい「地鎮祭」と称した儀式をしても、そんな御まじない効果があるわけない。事故は起きている。原始古来の儀式を原子力発電所の起工式で実施しているなんて滑稽だと昔から言われてきた。それで事故がなければ結構だが、そんなことはもともとあり得なかったし、効果が無いことは現実によって証明されている。

 それでも個人でやるのは自由だけど、公的機関が実施して料金を公費から払うので問題になる。すると途端に、これは宗教ではなく習慣だから違憲ではないと言い出す。だったら最初から宗教を偽装することないはずだ。

 これは要するに、金が欲しいだけのようだ。


 ところが、権力が市民の自由を奪うのに協力するという目的が、実は神道にあるのだ。

 だから、前にも取り上げたとおり、警察署には神棚が設置されていて、神道は国教だと擦り込み、靖国神社などで閣僚の参拝を戦争美化と政教分離違反だと批判する国民を警察は暴力で弾圧する。

 警察署として安全を祈願するためというが、これでは特定の宗教である。しかも政治的である。それで警官が安全になるなら結構だが、そんなことはない。もっとやるべきことがあるのに。警官たちが気の毒だ。

 これは柔道の指導と似ている。神棚は安全祈願のためだと言って、宗教が違うというと「生意気」と言って弾圧し、それでいて指導者がなってないので事故で深刻なことになってばかり。日本の柔道が衰退して外国の方が盛んになってしまったのも当然のことだ。


 どこの国でもあることだが、特に日本では宗教が権力と暴力に関与して罪深いことばかりしているのだ。

 学術会議の迫害に賛成した公明党の支持母体である創価学会は、神道では戦争に勝てないと指摘したため弾圧されて開祖が死んだのに、この迫害といい、その前から自民党を通じて神道との癒着といい、これだから、他の日蓮宗から、大上人の教えに背いたので必ず滅びると言わるのだ。  

 

 
 
 

 日本の公務員は労働者の権利が制限されている。

 労働三件すなわち「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」のうち、日本の公務員には団体行動権が無い。

 特に、消防官・警察官・自衛官となると、三権の総てが認められていない。

 昔から、公務員から労働者としての権利を剥奪している制度は批判されてきたが、公益性が高いので認めないという理屈だった。ほんとうだろうか。


 実は、世界的には特殊である。

 そして、国連から是正の勧告を繰り返し受けている。それを日本が無視し続けるのはなぜか。公務員は「聖職者」だと自称して威張っていたいからだ。

 この一方で、聖職者だからサービス残業などさせられても文句を言うなということにもなる。

 こうして、腐敗堕落する。


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 とくに警察が、昔から言われてきた。

 例えば、警察官は聖職者だからと、驕った態度で権力を乱用し、市民に対して暴虐をふるう警官がいる。これでは職場の綱紀が保てない。だから職場で上司が引率して風俗店に行ったり、勤務時間中に男性の警官と婦人警官が同伴喫茶店に入ったり、これでは「生殖者」だと皮肉されることが、昔から今で繰り返されている。

 この一方で、残業しても正当な給与が支払われず、警官が抗議すると、聖職者だから金の話をするなと言われる。


 警察の裏金づくりも、労働組合が無いことが原因だ。

 職場で団結できないから、不正な領収書に署名を拒否できない。個人で抵抗すると、昇進や昇給で報復される。あの、仕事熱心な警官が話題だった。仕事ぶりが良いのに、昇進試験に合格していても、裏金のための不正に協力を拒んだため上役から「いくら頑張っても無駄だよ、君はカラ領収書を書いてないから」と言われた話は有名である。

 これでは、警察組織の上層部が私腹を肥し、末端の警官はやる気を無くしてしまう。税金が盗まれて、治安が悪くなる。最悪だが、これで得をしている人たちが、公務員の権利を剥奪している。公益性とか聖職者とかいうのは嘘である。騙されてはいけない。

 

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 5月15日
  • 読了時間: 2分

 米を外国に輸出すると首相は言った。

 美味しい米を世界に供給する義務があると思っているそうだ。さんざん減反しておいて何を言っているのか。その前に日本国民の食べる米が不足していることに、もっと真面目に対策するべきではないか。

 国民の米が足りないのに外国に輸出するのでは、カンボジアの悪名高いポルポト政権と同じである。外貨のために米をみんな中国に輸出してしまい、国内は飢餓状態に陥れられた。これが、今の日本政府がしている行き着く先である。


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 しかしカンボジアは宝石が掘れば出るので、そちらに資金が変わった。

 これに対して、日本の場合、前は工業製品を輸出していたけれど、それが駄目になったので、米を輸出しないといけなくなくってしまったのだろう。

 だから、あとは武器輸出である。戦争で儲けることはすまいという方針だったのに、それを否定するため、色々な根回しがされている。

 

 その最たるが学術会議の破壊である。

 ポルポト政権は、ナチスと同様に、邪魔な知識人を抹殺していた。これと同じことである。学術を人道的に利用するための機関があると、戦争に協力しないから邪魔ということだ。

 だから、日本の工業界は軍事産業へ急速な展開をはじめている。もう日本の工業は衰退して外国の製品とまともに競争できなくなってしまった。それで軍需産業を志向している。これとて一時しのぎである。

 だから売り込み先は政府である。どうやって金を払うのか。もちろん税金だが、そのために増税と、福祉や医療の削減である。腐敗した政治家を献金という賄賂で操って、言い値で買わせる。


 こうして、毎日の食べるものにも、病気や怪我をした場合にも、日本国民は困るようになる。

 いくら落ちぶれたとはいえ、ここまで無様になると予想できたか。将来、そうなる可能性が指摘されてはいた。

 ただし、もしもの未来ということであった。その「もしも」が現実として到来したのだ。 

 

 
 
 
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