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​炬火 Die Fackel 

 朝日新聞の都議選特集が話題だ。

 主な政党の幹部が、政策についてどんな発言をしていたのか、その顔カラー写真と共に紹介しているが、都議会に議席が無い国民党と、やはり議席がない出たばかりの団体の石丸代表を掲載しておきながら、共産党だけ掲載されていない。共産党は、都議会で野党第一党であり、女性議員の割合がダントツということでも話題になることがある、というのに。

 

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 これには産経新聞もビックリだと言われている。

 産経新聞は反共が社是だから、共産党を排除するのは当然のことだけど、朝日新聞はいちおう「不偏不党」を正式に標榜しているのだから、ここまで露骨に、選挙にさいして、一定議席を持つ政党を排除し、この一方で議席のない政党を紹介する、というのは自社の方針に反しているし、読者を裏切る行為だ。


 水道基本料金の報道に続いてのことだ。

 あの報道でも、水道料金のことは共産党が提案していたことを、選挙が近づいたら小池都都知事が実施すると発表し、これに小池都政の与党が乗る形になったのだが、それを朝日新聞は、もとは共産党が提案していた事実を隠して、都知事と与党が一緒になって決めたと報道した。これでは偏向した報道どころか、報道に見せかけた世論操作だと、批判されていた。

 そのうえでのことだ。


 しかし水道料金のことはトリックだが、都議選のことは剥きだしである。

 これでは世論操作の効果よりも、朝日新聞の評判が悪くなるほうが大きいだろう。そんな判断力すら朝日新聞には無くなってしまったのだろうか。


 

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 5月25日
  • 読了時間: 2分

 昔から言われているとおり「食い物の恨み」は強い。

 これが革命で政府が転覆する原因にもなる。ブレヒトの代表作『三文オペラ』でも「清く正しく生きろったって、おまんま食えなきゃ聞く耳持たねえ。人の道を得より前に先ず飯だ」と謳われている。 これほど切実な問題は他にないだろう。


 マリーアントワネットの「パンがなければケーキを食べればいいでしょう」は、フランス革命で象徴的に言われたことで、実際には、少女漫画や宝塚歌劇のネタになったような何も知らないお嬢様だったから「悲劇の王妃」となったのではなく、政治的な役割を相当に担っていたことが、後から解ってきたと言われている。

 だけど、食い物の恨みで大衆がブチキレたという図式は解かり易い。


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 『戦艦ポチョムキン』では食料庫の肉にウジが湧いていたことで、その酷い待遇に兵士たちが怒って叛乱を起こすけれど、実際にロシア革命だって元は食い物の恨みである。

 万博でも虫が湧いているけれど、これは虫を食べる魚や鳥を万博のために蹴散らすようにしてしまったから大量発生したと指摘されているから、環境破壊で虫が湧いているという図式は『風の谷のナウシカ』と同じである。それはともかく、国民の生活状態が悪いのに何が万博なのだろうか。


 日本の民主化運動の原点は米騒動である。

 日本では農民一揆はあっても農民革命は無かった。生産者より消費者の立場からの運動が権利意識を高めたからだ。しかも、これは女性とくに主婦が中心だった。

 農水大臣のトンデモ発言により、おそらく今頃、自由国民社では今年の流行語大賞に「米を買ったことがない」「米は売るほどある」を有力候補にしていることだろうし、清水寺では今年の漢字で「米」と書くつもりではないだろうか。

 とにかく前向きに考えるなら、日本は再び民主化運動を盛り上げることができそうである。

 
 
 

 東京都が水道基本料金を四か月無料にすると発表。

 これは生活困窮者への配慮ということだが、それまで冷淡だったのに、また、これは共産党が数年前から口やかましく訴えていたのに聞く耳持たずだったのに、おそらく選挙が近づいたから人気取りをはじめたということらしい。

 それで、共産党は、提案したのはうちだと言っている。


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 ここで都政の与党は当然のこと、国政の与党も便乗した。

 そして都知事の功績と、それに協力する与党という宣伝がマスコミで報道を装い実施されている。朝日新聞の記事など共産党のことをシッカリ無視した記事で、さすが御用メディアだと感心されながら呆れられている。

 これは、小池都知事が一部の大企業へ利益誘導していることと、それが大手マスコミのスポンサーであることとが、絡みあっているからだろう。こうして国民・都民の財産が強奪され、都内は荒れ果ててしまう。


 そもそも水道に基本料金があるのが悪い。

 水は一般的な商品とは違い、必要不可欠かつ有限の資源であるから、たくさん買ってくれたので代金を安くするのではなく、逆に大量消費ほど料金を累進で高くし、最低の使用量は無料か無料に近い料金にするべきものだ。そうするためには基本料金を無くすべきなのだ。

 いまさら基本料金をたった四か月だけ無料にするということは、しないよりはマシという程度のことでしかない。

 

 

 
 
 
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