食い物の恨みで革命
- 井上靜

- 5月25日
- 読了時間: 2分
昔から言われているとおり「食い物の恨み」は強い。
これが革命で政府が転覆する原因にもなる。ブレヒトの代表作『三文オペラ』でも「清く正しく生きろったって、おまんま食えなきゃ聞く耳持たねえ。人の道を得より前に先ず飯だ」と謳われている。 これほど切実な問題は他にないだろう。
マリーアントワネットの「パンがなければケーキを食べればいいでしょう」は、フランス革命で象徴的に言われたことで、実際には、少女漫画や宝塚歌劇のネタになったような何も知らないお嬢様だったから「悲劇の王妃」となったのではなく、政治的な役割を相当に担っていたことが、後から解ってきたと言われている。
だけど、食い物の恨みで大衆がブチキレたという図式は解かり易い。

『戦艦ポチョムキン』では食料庫の肉にウジが湧いていたことで、その酷い待遇に兵士たちが怒って叛乱を起こすけれど、実際にロシア革命だって元は食い物の恨みである。
万博でも虫が湧いているけれど、これは虫を食べる魚や鳥を万博のために蹴散らすようにしてしまったから大量発生したと指摘されているから、環境破壊で虫が湧いているという図式は『風の谷のナウシカ』と同じである。それはともかく、国民の生活状態が悪いのに何が万博なのだろうか。
日本の民主化運動の原点は米騒動である。
日本では農民一揆はあっても農民革命は無かった。生産者より消費者の立場からの運動が権利意識を高めたからだ。しかも、これは女性とくに主婦が中心だった。
農水大臣のトンデモ発言により、おそらく今頃、自由国民社では今年の流行語大賞に「米を買ったことがない」「米は売るほどある」を有力候補にしていることだろうし、清水寺では今年の漢字で「米」と書くつもりではないだろうか。
とにかく前向きに考えるなら、日本は再び民主化運動を盛り上げることができそうである。



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