自衛隊の教育機関が差別主義者を教員にしている件。
ある人が、次のように指摘した。
防衛大学校のみならず自衛隊の幹部教育機関でも櫻井・高橋・門田・竹田などを呼んで講演させた。
この中には差別主義者だと批判されて名誉毀損で訴えたものの実際そう評されても不当ではない発言をした事実があることから敗訴した人までいる。
税金を使ってネトウヨ養成する程度の低さに驚愕すると同時に、ここで教わる人間が防衛の中枢を担うのだから悪寒を覚える。
これは自衛隊の劣化という最近のことだと、その人は認識していたが、前々からである。
例えば、防衛医科大学校での講演者である。
そもそも防衛医科大学校は防衛庁長官時の中曾根康弘が作ったものだった。そして中曾根内閣の当時、中曾根シンパの最たる渡部昇一上智大学教授はテレビの「総理と語る」という番組でも共演していて、両者は統一協会と密接だったことでも共通していた。だから当然のことだろうが、防衛医大で渡部が講演していた。
当時、渡部は週刊文春に「神聖なる義務」と題する随筆を発表していた。人気SF小説『銀河英雄伝説』で、独裁権力者が劣悪遺伝子排除を説き大虐殺した挿話のモデルである。社会の発展のためにその妨げとなる身体障害者などを排除することは我々に課せられた「神聖なる義務」であると、題と同じセリフを言う。
渡部昇一はヨーロッパ留学をしたさいドイツ人の医学生から聴いたそうだ。
敗戦後にドイツが復興と繁栄をしたのは、その邪魔になる身体障害者や少数民族をナチスが抹殺しておいてくれた御陰だと医学生が言い、これは今でいうヘイトスピーチだが、それを渡部昇一は成程と共感し、日本でも遺伝病を持つ家系の者たちは劣悪遺伝子をもっているのだから子孫をつくるべきではないと説いたのだった。
「それなら、渡部さん先ず自分の両親を批判しろ」と言われた。この人はマザコンで有名だった。防衛医大の講演でも母親の自慢話をしていたし、講演後も送り迎え係の学生に母親自慢をしていたと学生が言っていたほど。しかし本人は虚弱体質だし勉強を頑張っても中くらいの成績が精一杯だったことは自ら認めていた。
しかし本当の問題は、こんな人に医療機関で講演させることである。
自衛隊は政治的に中立であるべき行政機関である。
なのに、特定の政治的・宗教的な思想で染め上げ、反する者への憎悪を植え付ける。同じ日本国民なのに。前にアメリカで、異なる意見も許容する社会を守るのが軍隊の責務の一つであり、少なくとも我が国ではそうだと言う軍人たちの言葉が紹介されていたが、少なくとも日本の自衛隊は違う。
現に、昔から「自衛隊は政治的に中立であるべき」と主張する人たちを隊内から追放してきた。その延長線上にあるのが差別主義者たちの講演であり、その意味では一貫性があるのだ。