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​炬火 Die Fackel 

更新日:2021年6月24日

 アカデミー賞ハリウッド映画で、『グッドウィルハンティング』と『ビューティフルマインド』は、どちらも心を病んだ数学の天才が主人公だった。

 ここで違うのは、『ビューティフルマインド』は冷戦時代の話だから数学は花形の学問だったけれど、『グッドウィルハンティング』はずっと後の時代だから数学では教師がせいぜい。


 『ビューティフルマインド』の主人公にはモデルがいて、軍の諜報部に暗号解読を依頼されて頑張ったつもりだったが、それは統合失調症による幻覚であった。後に彼は経済学に応用する理論でノーベル賞に選ばれる。その様子がDVDの特典に付いていて、授賞式で大江健三郎も一緒に映っている。

 『グッドウィルハンティング』では、主人公の才能を見出す数学者が大学で教鞭をとりながら、自分を「栄えあるフィールズ賞を受けて、しがない大学教員」と言っていた。そして主人公は、本当に軍の諜報部から暗号解読などの仕事をしないかとスカウトされるが、戦争の片棒担ぎなんてまっぴらごめんだと拒否する。彼は病気ではなく、里親に虐待されたトラウマから喧嘩などしては警察の世話になっていたが、そのさい社会に懐疑的となって権力にも批判的だったのだ。


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 この、数学やっても教師くらいしか仕事が無いというのは、宇宙論のホーキング博士も学校の先生から言われたことがあるそうだ。

 

 そして、自分の出た高校の若い数学教師は、田舎の国立大学を出て高校教師になり、自己保身のことばかりの最低男だった。自分の数学担当ではなかったが、生徒会の顧問だったので、自分は生徒会役員だったから、ついでに数学のことを質問したことが何度もあるけれど、まったく教えてくれなかった。なぜなら、自分の数学担当は学年主任でもある年配の教師で、その授業で解らなかったから他の数学の先生に教わって解ったとなると、先輩教師の顔を潰したことになってしまうと勝手に配慮していたからだ。その年配の数学担当教師は、そんなことで顔を潰されたと思うような狭量な人ではなかったし、他の数学の教師は、訊けば教えてくれた。

 この調子だから、生徒会活動でも、何から何まで頭ごなしにダメだと弾圧し「軽率にやっては一時的に盛り上がるだけで後に禍根を残す」と言うが、これは「お前らは卒業すれば関係ないが、こちとら教師稼業を続けて行かないといけない立場なんだ」の意味であった。


 今思うと、あの時、退学届を書いておいて、生徒会室で糞数学教師を殴ってから校長室に行って届を出して出ていけばよかったが、なんでその覇気が無かったのか、情けない限りである。

 できることなら、タイムマシンで戻って『バックトゥザフューチャー』というより『ターミネーター』みたいに教師を殺しに行きたい。そう思って悔やむより、あの時に啖呵きっておくべきだった。青春は二度と帰らない。



 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年11月29日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年6月24日

 犯罪への対応で、警察や政府を批判すると「被害者のことも考えろ」と怒る人たちがいるものだ。前にTwitterで、悪ふざけではなく善意で言っていた顕名で顔写真付きアカウントがあった。

 このような人には、犯罪への対応をすること、被害者を救済すること、やり方が適切であるか否か、これらは別の問題であることが理解できないのだ。


 例えば映画『時計じかけのオレンジ』に描かれている図式。

 犯罪に遭った作家は、妻が死んで、自らは車椅子生活となったが、しかし犯罪対策で支持を集める政府に批判的である。その対策とは、薬物で洗脳したり暴力警官を増やしたりと、どれも危ない手法なので。また内務大臣は「犯罪者の更生に予算を増やせない。刑務所を満員にするのは政治犯であるべきだから」と嘯く。上品そうな爺さんだがファシストそのもの。こんな人が犯罪対策の総責任者なのだ。


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 こんな政権に反対している小説家の自宅は、庭付き一戸建と立派で、室内も上品な感じだ。広い部屋には書棚が整列していて本がたくさん並んでいる。彼が仕事に専念できるように、妻は身の回りのことをすべてこなしていたとも言う。

 これに対して、加害者は「団地の不良」である。富裕そうな家に押し入る一方で、自分たちより下層にいるホームレスに暴行して面白がる。公営の集合住宅に両親と住んでいて、その地域はゴミが散乱しているし、建物の中も共有部分は散らかって落書きもあり、エレベーター故障も放置されている。家賃は安そうだが、それでも夫妻は共稼ぎで、不真面目な息子を心配していたら遂に事件を起こして刑務所に入れられるけれど、すると息子の部屋を間貸しして家賃を取っている。室内は整頓されているが、調度品など上品とは言えず、書棚も無い。いかにも蒙昧そうな低所得者に見える。

 おそらく、この両親のような人たちが、政府を短絡的に支持しているのだろう。その後の展開で両親が政府に従順な対応をしていることから明らかだ。


 これは昔から今まで同じである。よく政府に苦しめられている人たちが、その蒙昧さから政府を支持し、むしろ政府の犠牲者にならずにいる人たちが、その才覚から政府を批判している。

 これを解らない人がいるのを、よくTwitterで見かける。「こんな内閣なのに何故この高支持率なのか。庶民は馬鹿か」と言うけれど、何故かというと馬鹿だからなのだ。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年11月16日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年6月24日

 アーノルド­­=シュワルツェネッガーが二度目の心臓手術を受け、これで弁を二つ形成したという。励ましの言葉がシルベスター­=スタローンから寄せられたそうだ。

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 シュワルツェネッガーのライバルといえば、スタローンと共に、スタローンと同じイタリア系アメリカ人のルー=フェリーノがいる。かつてボディビルコンテストで対決していて、フェリーノもシュワルツェネッガーと同じように映画でヘラクレスの役を演じていた。

 また、フェリーノの代表作はマーベルコミックで『スパイダーマン』などと共に人気の『超人ハルク』テレビドラマ化であった。全身を緑色に塗ってハルクにふんしていた。このずっと後に映画化されたらハルクはCGで作っていた。この映画にはフェリーノもカメオ出演していた。

 この映画化で主人公の同僚で恋人の女性にふんしているジェニファー=コネリーは、あまり筋肉質な男性は好きではないと言っていた。それで、後にアカデミー賞を受ける『ビューティフルマインド』で共演したことがきっかけで結婚した夫には、たるまない程度に鍛えるだけにしておくように言っているそうだ。

 あまりに筋肉隆々は気持ち悪いと言う女性がいるけれど、あと筋肉質すぎると不健康である。筋肉質な人は、よく心臓が悪いものだと昔から言われていた。

 かつて、高校の時に仲が悪かった体育の教師は、日体大時代から鍛えているので筋肉は凄かったが、狭心症でニトログリセリンを使っていると言っていて「殺そうと思ったら殴ったり蹴ったりするより後からソッと近づいてワッと脅かした方が成功する確率が高いぞ」とうそぶいていた。

 これは冗談ではなかったと、後で知った。風邪で気分が悪くなり学校の保健室で寝ていたら、その教師も心臓の不調で気分が悪いと言って寝に来て、見るからに深刻そうだった。だから「なんだ、屈強そうで弱いのか」と可笑しかった。

 これについて、筋肉は脂肪より血管が遥かに多いので、血流を送る心臓の負担が大きいのではないかと思い、これは素人考えかと知り合いの内科医に訊ねたら「おそらく、そうだと思う」との答えだった。

 ということなので、筋トレは、ほどほどにした方がいいだろう。

 
 
 
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