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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年5月24日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年8月6日


 先日、テレビでディズニーの映画『アラジン』が放送されたが、これについて「アニメ」と書きかけて、厳密には不正確な表現であることを思い出した。

 そもそも「アニメーション」とは絵を動画化する技術のことだから、それによって製作された映画なら「アニメーション=ムービー」などと表記すべきで、省略して「アニメ」というのは日本で作られた言葉だから、外国で「アニメ」というと日本製の作品という意味になるらしい。


 これを英会話教室で聞いて思い出した。

 あの高畑勲監督が昔、確定申告のさい職業欄に「アニメーター」と書き込んだら、税務署の職員からどんな仕事なのかと問われ、映画関係と言わずに絵の仕事と言ったら「絵描きの先生ですか」と言われてしまった。

 それだと日本画家や洋画家のことになるし、絵を描くだけなら相棒の宮崎駿作画監督に任せている。当時はアニメーションという言葉が知られていなかったので、それを駆使した映画を作る仕事というアニメーターでは解らない人がいて当然だった、という話。


 そういうことなので、「ディズニーのアニメ」という表現は日本語ワープロには候補として入っているが、実は不正確ということだ。


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 ところで、結婚披露宴の「お色直し」でコスプレ衣装を着る人たちが時々いる。時代劇の恰好をしたり、映画の真似をしたり。

 それで知り合いが『アラジン』の衣装を着て主題歌を流して悦に入っていた。新婦が、この映画の大ファンだったからだ。

 ただ、その新婦はかなり小柄な女性であった。新郎は特に大柄ではないけれど、花嫁と花婿は身長差がかなりある。しかも新郎は相当太っている。そんな二人がアラビア風の衣装を着て並んでいるから、招待客たちがヒソヒソと言っていた。

 「これじゃ、アラジンじゃない。ハクション大魔王とアクビちゃんだ」


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年4月30日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年5月1日

 かつて『空想科学読本』という本が話題になった。

 これは、SF映画に登場する物事について科学に詳しいと自認する柳田理科雄(本名らしい)という人が解説するのだが、間違いだらけであるという指摘もたくさん出ていた。

 ちょっと読んでみたら、たしかに酷い内容だった。


 そのうち印象的だったためか記憶に残っているのが古典的人気SFテレビドラマ『ウルトラセブン』の武器「アイスラッガー」についての滅茶苦茶な解説だった。

 これは周知のとおり刃物の一種で、手に持って斧のように使う場合と、飛び道具にする場合と、二種類の使用方法が主である。

 このうち飛び道具とする場合をブーメランのように投げていることにしてしまい、それであの威力ということはアイスラッガーとは大変な質量であるという数値と計算式を書いて「私は数学や物理が得意だ」と自慢をしながら、そんな重たいものを常に頭に乗せているのだから、ウルトラセブンは首と背骨が余程丈夫なのだろうと皮肉っぽく説いていた。


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 しかし、設定では「ウルトラ念力」だそうだけど、とにかく映像を見ただけでも、ウルトラセブンはアイスラッガーを投げておらず、飛ぶ向きや動きを意思の力で自在に操っている。

 また、飛ぶと発光しているということはエネルギーを帯びていて電熱メスのような威力があるはずで、だから手に持つより飛んでいる方が常に威力は大きい。

 しかも、その力には強弱がつけられ、怪獣の巨体を切り刻むこともあれば、人質を離させようとしたり殺したくない相手だったりの場合は斬るのではなくぶつけている。


 つまり、観ていれば明らかに全然違うのに、もっともらしく解説して、そこから誤った結論を導き出している、ということなのだ。

 これを思い出したのは、この柳田理科雄という人が、あるサイトで、また昔のドラマの内容について述べていたからだ。相変わらず、普通に観ていれば解る筋とか主題とかを理解できていなかった。

 まあ、あまり深刻な問題ではないから、それでもいいのかもしれないけれど。


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年12月8日
  • 読了時間: 3分

 ボディビルダーで「大男俳優」と言われたデビットブラウズ氏が85歳で死去したとの報道。

 彼が来日したのは十年以上前だった。懐かしい思い出だ。2メートル近い身長であった。


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 『スターウォーズ』のダースベイダー役が有名だが、フランケンシュタインの人造人間でも知られている。

 『スターウォーズ』は英国のスタジオで撮影される一方、米国で特撮の場面を作っていた。これは英ポンドと米ドルの価格差のため、英国で撮影すると安上がりだったからだ。英語も通じるし、英国の俳優も出ているし。それで音楽も英国で演奏録音することにしたとジョンウィリアムズが言っていた。ロンドン交響楽団なのは、仲良しのアンドレプレビンがいて頼み易かったから。

 カメラは、当時のプログラムに「撮影は『オーメン』のギルバートテイラー」と載っていて、これは英国を主舞台にしたスリラー映画『オーメン』の撮影が見事だったので、観たジョージルーカスが依頼したということ。

 騎士ケノービ役のアレックギネスは英国の巨匠デビットリーン監督の映画にいつも出ていて、悪役はハマープロの怪奇映画に出ている役者たちだった。ダースベイダーの上司の総督にはフランケンシュタイン博士やヴァンヘルシング教授の役で知られるピーターカッシングであった。

 ジョージルーカスは怪奇映画ファンだったのだ。


 英国のテレビSFドラマで『サンダーバード』と同じ製作の『スペース1999』にも、これらハマープロ怪奇映画の役者たちがゲストの宇宙人役で出ていて、デビットブラウズも宇宙怪物正体ロボットという役で出ていた。

 あとアメコミのヒーローだがイギリスで映画化された『スーパーマン』では、主役のクリストファーリープがクラークケントの時はいいがスーパーマンのタイツ姿だと痩せ過ぎなのでガッチリした体形にするためボディビルをしたさいトレーナーがデビットブラウズだった。それで「スーパーマンを鍛えたのはダースベイダー」と言われた。


 顔がはっきり出ているのは英国が舞台の『時計じかけのオレンジ』で、バーベルで鍛えているマッチョマン役だった。

 どれもセリフらしいセリフの無い体格が買われて出演の役だが、ダースベイダーはセリフがある。しかし、マスク被って喋ると不明瞭になるから後で録音となったさい、別の俳優でアフレコとなってしまった。吹き替えたジェームズアールジョーンズの喋繰りは、もともと迫力があるので有名である。デビットブラウズとしては自分でアフレコするつもりだったが「英国の農夫の訛りがあるからダメだということだったのか」と言っていた。これはレイア姫役のキャリーフィッシャーも、撮影の時に滑稽だったと言っていた。「あの訛りではダースベイダーではなくダースファーマーだ」と。


 アレックギネスは「キングスイングリッシュ」を話していて、ピーターカッシングも英語で、主人公らの話す米語と違うことは聞いていて一応は解る。

 最近ではパソコンなどで「モバイル」というけどこれは英語で、米語だと「モーボ―」みたいに発音すると米国人が言っていたのには驚いたものだった。

 こうした外国語の訛りを意識させられた『スターウォーズ』であったが、訛りでセリフを吹き替えられてしまったデビットブラウズの死去という報であった。


 
 
 
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