top of page

​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年11月18日
  • 読了時間: 2分

更新日:2023年11月19日

 森村誠一の小説に「棟居刑事シリーズ」がある。

 これは先日90歳で亡くなった森村誠一の大ヒット作『人間の証明』の主人公である警察官=棟居弘一良が担当した別の事件の数々を描く一連の刑事物・推理物の小説で、『人間の証明』から派生した「スピンオフ」といわれるものだ。


 その中に『棟居刑事の悪の器』がある。

 東京都で起きた殺人事件の話だ。複数の事件が同時に発生し、場所は別だが近く、被害者に共通点があるから、関係があるのではないかと捜査陣は考える。場所は世田谷の喜多見と狛江市の岩戸という隣り合わせ。同一犯が別の事件と見せかけようとして死体の一つを他へ運んだとも考えたが、それにしては近すぎる。もう少し先の神奈川県に運べば管轄が異なるので二つの警察署が一緒に捜査することはないのに、同じ東京の隣では離す意味が無い。

 ここで、世田谷署と「狛江署」が連携している。もちろん「狛江署」は存在しない。狛江市の交番にいる警官は調布署に所属している。作者の間違いか、架空の警察署を近くに設定したほうがわかりやすいという故意だったのか。

 



 ところで、狛江市役所が安倍晋三国葬に半旗を掲げさせた件。

 これについて、政治的に中立であるべき行政に介入したことを問題にした市民が問い糺すと、市長広報室は「政治的ではなく前例に沿ったこと」と回答したが、前例というのは中曾根康弘もと首相の自民党・内閣合同葬を指し、国葬に準じたものだから前例であるという屁理屈で、しかもその屁理屈すら虚偽であり、情報公開で判明した事実は、狛江市の松原市長が岸田首相の個人的見解(安倍美化・統一協会問題隠蔽)に迎合することを議会で公然と表明したことによる実に政治的なものであった。

 このため秘書広報課が虚偽の回答をしたことを糺したが、その回答は今のところない。


 森村誠一の小説で、死体発見の現場が狛江市の宗教団体施設跡だった。

 空き家だと思ってホームレスが入ったら若い女性の死体があり、驚いて警察に通報する。

 狛江市に蔓延る宗教として統一協会も根強いという。創価学会ほど目立っていないだけである。

 それにしても、市長の秘書広報課が市民に虚偽の説明をするとは、狛江市政も腐敗したものである。

 

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年11月16日
  • 読了時間: 2分

 「♪シルエ~ット!」

 『シルエット-ロマンス』が大ヒットした歌手の大橋純子が死去との報。

 この人と年齢が近い歌手たちの訃報が相次いで、すこし早いのではないかと言われてもいる。みんな病死である。


 ところで、大橋純子の歌はみんな知っている。

 なぜなら従姉がみんな録音を持っていて、それを聴いたからだった。そこには、テレビの宣伝に使用されていたことで知られる歌も複数あった。

 その一つが代表作といわれる大ヒット曲の『シルエットロマンス』だった。これは「ハーレイクインロマンス」に対抗したアメリカの「シルエットロマンス」の宣伝に流れていた。


 「ハーレイクインロマンス」はカナダの出版社がやっている。

 このことは後で知った。通俗メロドラマ風の小説を量産していて、そのため原稿の公募をしている。そして趣味で小説を書いているアメリカの主婦が採用されたと喜んでいるのをCBSがとり上げているのを見たことがある。

 松本清張の小説に、地方の主婦が文芸サークルで書いていた小説が東京の出版社が主催する文学賞に決まり注目され、サークルのみんなから祝福されるけれど、みんな内心では嫉妬で一杯だった、という話がある。



 しかしハーレイクインロマンスはローカルというかカナダの出版社。

 しかも気取って文学というのではないから、売れて副収入になるなら結構なことであるが僻まれるというほどではないみたいだ。

 あと、結局シルエットロマンスはハーレイクインに併合ということだったらしい。


 そんなことを思い出したのだった。

 しかし邦訳はあるけれど、読んだことがない。読んだ人によると、読むたびに「またかよ~」と言いたくなるワンパターンの内容だが、それに慣れると、また読みたくなるのだそうだ。

 個人的にはCМで流れていた『カナディアンララバイ』が最も印象的だった。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年11月5日
  • 読了時間: 2分

更新日:2023年11月5日


 かつて日本会議を告発して有名になった人がいる。

 ちょうど今、統一協会を告発したことで時の人となった人と同じである。この人については、自民党支持者などから「山上容疑者の方に足を向けて寝られない」と皮肉を言われていたが、それはともかく、日本会議を告発して有名になった人の方は、右翼のテロリストという話題のさい山口二矢も知らないで右翼やっている者がいることを嘲っていた。

 ところが「左翼が知らないなら当たり前だが、右翼が知らないなんて滑稽だ」と言っていたけれど、これは逆だろう。



 大江健三郎が『セブンティーン』という小説を書いていた。

 これは右翼テロの実行犯となった17歳の山口が主人公のモデルだった。これを読んでいるから左翼がむしろ右翼より知っていて、一方、右翼はだいたい大江健三郎の小説など読まないから(三島由紀夫も読まないし、小説一般も、小説に限らず本全体も、新聞や雑誌も、もしかすると文字を全く、読まない人が右翼には大勢いるはずで)山口二矢といえば赤尾敏に鉄砲玉やらされた17歳のガキという認識だろう。赤尾敏も、一円玉などを作るアルミニウム加工会社が親戚で、それに活動資金を頼って「愛国」と運動していた「永遠の政治青年」であった。それら一連の言動により田中清玄から小物だと切って捨てられたのだ。


 しかし右翼塾のようなものを主催している人には山口が評価されている。

 これは操られる十代を重宝がるからだろう。煽てていることが実は利用されているのだと知られては困る。それに、十代だから未熟で見境がつかないというのを早熟で信念を持っているのだと評価したとしても、それはテロリズムと殺人を公然と賛美することであり、そんな人に十代の人を近づけるべきでないことは、誰でも容易に解かることである。



 『ゴールデンボーイ』という映画があった。

 この原作になったスチーブンキングの小説『転落の夏』は、ナチス残党の老人に興味本位で接近した少年が次第に影響されて無差別殺人に走るという怖い話だが、危なすぎるということでアメリカの出版社はオムニバス集への収録を最初は躊躇ったという。

 これは大江健三郎の『セブンティーン』とは異相の小説だが、どちらも極右の老人に影響された少年という共通点があって、この種の信念とは果たして自ら会得したものかとなると実に疑問ということである。

 
 
 
  • twitter

©2020 by 井上靜。Wix.com で作成されました。

bottom of page