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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年9月23日
  • 読了時間: 2分

 先日、宮沢賢治の命日だった。

 この宮沢賢治は、子どもの頃に伝記を読んで、そのストイックな生き方に感動したが、その後に作品を読んで一見感動的だが実はファシズムにつながる危険を感じた。実際に宮沢賢治はその種のファッショ的で国粋主義的な政治運動団体にも関わっていた。


 また、反原発で知られる高木任三郎が宮沢賢治に関する著書を出していたが、ここで何かにつけて「科学者としての宮沢賢治」ということに、たいへんな違和感を覚えたものだ。

 もともと高木任三郎という人は、ただ反原発にこだわっただけで、多くの無見識と不道徳が指摘されているから、決して美化してはならないと言われたものだ。けれど、それより宮沢賢治は本当に自然科学でも社会科学でも学者と言える働きと思考をしていたのか疑問であり、そこの部分で高木任三郎の言説には説得力が無かった。


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 もともと、宮沢賢治は女性に差別的とか、彼が説いた理想郷イーハトーブが満州国に影響したとか、色々な問題が指摘されていた。

 しかし、中でも『雨ニモ負ケズ』は、克己と忍耐にかこつけて奴隷根性を養成する内容で、これほど日本に悪影響を及ぼしたものは無いだろう。この宮沢賢治が説く生き方であれば、コロナウイルスにも消費税にも負けず粗末な食べ物で我慢して質素な生活しながら怒らずヘラヘラ笑っているということになって、政府自民党が大喜びである。

 

 いつも学校で宮沢賢治は成績優秀だった。

 ところが、一度、学校の管理体制を批判したため、修身で不可とされた。そうなると他の全教科が優秀でも駄目ということが当時の学校だった。これが宮沢賢治の原点となったかと思ったら大間違いだった。結局、この人は何も解っていないということだ。それが宮沢賢治の著作を総て読んだ結論である。

 もう日本人は、宮沢賢治を全否定しなければならないところまで来ている。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年9月21日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年9月22日


 『夏への扉』が映画化されて、新装版が書店に並んだ。

 そのさい、ハヤカワ文庫は寸法が少し大きくなり文字も大きく読みやすくなっただけでなく、カヴァーにビニールコーティングしていたかなあと今さら思った。こうしておくと、破れにくいし、湿気にも強い。ただ文庫本にとって必要なのかは疑問だ。

 

 実は、中学の同級生に、なぜかいつも緊張していて手に汗握っている人がいた。

 この人に本を貸すと、表紙がよれよれになる。この人にとってはビニールコーティングがあったら良いかもしれない。

 題名は忘れたが、堤清二が筆名で書いた短編小説に、本を貸すと湿った感じになって気持ちが悪いと言われる女性の話があった。これはあまりに陰湿な雰囲気の人ということだが、それと違って同級生は無意味に緊張していたのだ。その後、彼は精神科に通っていた。多汗症ではなく、精神的な原因で手に汗握っていたということだ。


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 ところで、かつて卒業した高校の文化祭へ行ったら、文芸部がアーサーCクラークの特集という変わった趣向であった。

 これは、ある部員が個人的にアーサーCクラークだけのファンだったからで、SFファンということではなかった。だから、アイザックアジモフもロバートAハインラインも読んだことが無いと言う。それがかえって面白かった。そして彼が熱心に書いた「アーサーCクラークの研究」という小冊子を買って帰った。


 また、知り合いの女性で『夏への扉』を読んだら何が面白いのか解らないと言った人がいる。

 この人はマルチーズなど小型犬が好きで、猫はまったく興味がなかった。だいたい、猫が好きでないと『夏への扉』は面白くないというものだ。


 そんなことも、ちょっと思い出した。


 
 
 
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