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『夏への扉』と文庫本の装丁

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年9月21日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年9月22日


 『夏への扉』が映画化されて、新装版が書店に並んだ。

 そのさい、ハヤカワ文庫は寸法が少し大きくなり文字も大きく読みやすくなっただけでなく、カヴァーにビニールコーティングしていたかなあと今さら思った。こうしておくと、破れにくいし、湿気にも強い。ただ文庫本にとって必要なのかは疑問だ。

 

 実は、中学の同級生に、なぜかいつも緊張していて手に汗握っている人がいた。

 この人に本を貸すと、表紙がよれよれになる。この人にとってはビニールコーティングがあったら良いかもしれない。

 題名は忘れたが、堤清二が筆名で書いた短編小説に、本を貸すと湿った感じになって気持ちが悪いと言われる女性の話があった。これはあまりに陰湿な雰囲気の人ということだが、それと違って同級生は無意味に緊張していたのだ。その後、彼は精神科に通っていた。多汗症ではなく、精神的な原因で手に汗握っていたということだ。


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 ところで、かつて卒業した高校の文化祭へ行ったら、文芸部がアーサーCクラークの特集という変わった趣向であった。

 これは、ある部員が個人的にアーサーCクラークだけのファンだったからで、SFファンということではなかった。だから、アイザックアジモフもロバートAハインラインも読んだことが無いと言う。それがかえって面白かった。そして彼が熱心に書いた「アーサーCクラークの研究」という小冊子を買って帰った。


 また、知り合いの女性で『夏への扉』を読んだら何が面白いのか解らないと言った人がいる。

 この人はマルチーズなど小型犬が好きで、猫はまったく興味がなかった。だいたい、猫が好きでないと『夏への扉』は面白くないというものだ。


 そんなことも、ちょっと思い出した。


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