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​炬火 Die Fackel 

 大学生のとき一緒に働いていた韓国人の留学生が言っていた。

 日本に来て、差別や偏見は明らかに感じたが、逆に好意的な日本人もいて、その中には統一協会の信者だからだと言う人がいたそうだ。韓国では、統一協会の評判はどうなのかと訊ねた。やはり、彼の通っていた大学にも統一教会系のサークルがあったけれど「正しい考えの学生たちに潰された」とのこと。韓国でも統一協会の評判は悪いが、日本に来たら信者は利用すればよく、しかし日本人に対しては、統一協会なんて近寄ってはいけないと言うのだった。

 これは留学生にとっての御都合主義であって、同じことを政治家がやってはいけないはずだ。


 統一協会が原因で殺された安倍もと首相は、どうだったか。

 安倍晋三という人は、NHKが戦争犯罪の取材をしていると知り、圧力をかけて番組を改変させたことがあったけれど、一方で、その戦争犯罪により日本は韓国に迷惑や苦痛を与えたのだから日本人は罪を償うため韓国の宗教団体に財産を没収されるべきだと言い寄付を強いる統一協会と仲良くしていた。

 これぞ似非右翼の所業というべき態度で、これに犯人は怒ってのことだった。


 自民党の人たちは、統一協会と関わることについて、よく平気だなと言われている。

 しかし、もともと自民党の多くの政治家たちは、日本国民は一部の特権階級の奴隷であると考えている。だから日本の憲法を、国民の自由や権利の無いものに変えようと公式に主張しているのだ。この発想は、親の七光りに多い。自分たちは為政者でも代表者でもなく支配者なのだと本気で思っている。

 そして、例えば「婚姻は両性の合意のみによって成立する」という憲法の規定を憎むのだ。自民党の人たちは封建主義者で、当人の意思に反した強制をする制度を否定して自由を尊重する憲法が許せないのだ。これは合同結婚式をして日本人を韓国人の人身御供にしている統一協会と利害が一致している。


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 これでは、統一協会と自民党が仲良くして当たり前である。

 だから、自民党の政治家たちは統一協会と相容れないわけではなく、ほんとうに望んでいる部分では利害と理想が一致しているのだ。

 
 
 

 共産党が「旧統一協会問題追及チーム」を立ち上げた。

 これは安倍元首相殺害事件に関連して、偽装のためとしか考えられない名称の変更が認可された疑惑などを問題にしているわけだが、そのさいの横断幕に対して「誤字」と突っ込んでしまった人たちがいた。「教会」なのに「協会」になっているというのだ。

 そんなことを言っても「世界基督教統一神霊協会」の略だから「統一協会」である。ワープロの候補も、そう出てくる。


 おそらく「基督教」と付くから「教会」と思ってしまうのだろう。

 しかし基督教会という意味は名称を見ての通り含まれておらず、「協会」は「神霊」に係っている。つまり宗教ではないのだ。

 これについて共産党も、本来の正式名称であるうえ宗教団体ではないという意味があると説明しおり、宗教を偽装した悪質な金集めをする団体という批判をこめているようだ。しかも、そのように外部から批判的に言うだけでなく、名称の意味からして宗教ではなくて、そんな名称にしていたということは、宗教ではない自覚があったのだ。


 「神霊」あるいは「心霊」と名称についた他にも団体はある。

 これらは、宗教のようだが宗教ではない。まず、宗教団体の形式をとっているけれど実質が厳密な宗教とは違う団体がある。統一協会が、そうだ。

 また、傍から見ると宗教としか思えない活動をしていても宗教法人ではなく財団法人など別の形式をとっている団体があり、こちらは何の活動をしているかというと、スピリチュアリズムやオカルティズムの研究をしていて、超常現象を究明する科学だと主張している。


 ちなみに、心霊現象や神秘主義を科学的に究明することは、よくハリウッド映画に出てくる。

 その中には日本でもヒットした映画があるから、知っている人も多い。例えば『ヘルハウス』『ポルターガイスト』といった怖い話から『ゴーストバスターズ』のように笑いをとる話まであって、幽霊を機械によって観測したり退治したりする。

 また、ハリウッドスターのシャーリー=マクレーンが凝っていたことでも有名である。神秘体験を綴った『アウト・オン・ア・リム』はベストセラーとなって邦訳も出ているし、自演の映画化もあって、昔いっぱいあったレンタルビデオ店は常備されていたものだ。それくらい話題だった。


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 そして宗教のようでいて違う団体が「霊感商法」をやらかす。

 その代表格が統一協会だし、オウム真理教も神秘主義を科学的に解明して再現できると偽装して営利を追及し、営利団体ではない宗教法人の形だから税制の優遇を受けていた。これと同じことをしている宗教団体が色々とある。

 ただ、統一協会は名称の意味から堂々とスピリチュアリズムやオカルティズムであると名乗っていた。ここで宗教じゃないのに宗教団体の形をとっているから怪しいと気づかないといけないのだが、気づかないで入信してしまった人がいることはもちろんのこと、批判している側の人たちでさえ多くは気づいていないのだ。

 それだけ、日本では宗教と心霊・神霊の区別があやふやで、今も日本人はオカルト好きということである。だから統一協会から金を取られる人たちの圧倒的多数は日本人なのだ。

 
 
 

更新日:2022年7月21日

 『ナニワ金融道』の青木雄二が、オウム事件があったさい指摘していた。

 こんなことが起きないように「正しい宗教を教えるべき」と言う人がいるけれど、そんなの甚だ牧歌的で、やるべきなのは義務教育で「神はいない」と教えるべきだと説いていた。

 もちろん宗教弾圧しろという意味ではなく、思想信条の自由は基本的人権だから尊重すべきだが、まず常識を教えるべきだ、と。

 だいたい、宗教の見地でも神や仏も良心の拠り所であるから実在するものとはしていないのが正確なところだ。さすがに神は居ないと宗教家が説くことはできないというだけのことだ。


 もともと日本人の信仰は宗教からかけ離れている。

 だから霊感商法は殆ど日本で行われている。それだけ引っかかる人が多いからだ。この原因が、日本人の好きな、宗教からかけ離れた滑稽な信仰である。霊感商法では、先祖の問題や悪い霊のために災難がふりかかるとか言って脅すけど、これに僧籍のある人が指摘していた。

 「自分は寺で生まれ、僧侶になるため宗教の大学に行き、仏教を専門に勉強するのと同時に、一般教養として世界中の宗教も学んだが、どの宗教も、そんなことは言ってない。墓石や仏壇や御札といった宗教グッズを売っている業者が言っているだけだ」


 たしかに、宗教施設内で何か売っても、おどろおどろしい話をして売ろうとはしない。

 ただ、もともと日本人は、信仰心が乏しいというより皆無で、ただ、その「宗教グッズ」が大好きで、これはちょうどスポーツはしないのにオリンピック関連グッズ売り場には行く人と同じだ。

 ここに付け込まれるから、インチキな壺を売りつけられるなどの形で金を巻き上げられるのは日本人ばかりということになる。


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 安倍元首相殺害事件の原因は宗教と政治との癒着であった。

 しかし元はと言えば日本が滑稽な信仰と行動をしているから、政治家と癒着している宗教が勝手なことをし放題になるのだ。

 
 
 
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