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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年8月22日
  • 読了時間: 3分

 うちの親は、家庭教師や予備校ではなく受験必勝の御守を買ってやったとか、病院や医薬品ではなく厄除け無病息災の札を買ってやったとか、そんなことを恩着せがましく言う人だった。

 これは貧乏人だからだ。そのほうが安上りである。その程度のことなのに、そうするしかないので惨めな気持ちになる。だから気を紛らわすための残された手段は、本気で信じ込んでしまうことだけなので、実際にそうなってしまう。そして深刻な事態となるが、あくまで自分は正しいと言って譲らない。



 これはうちの親だけが貧しく愚かなのではなく、日本の国が全体的にそうであることの反映である。

 例えば、靖国神社や護国神社も同じことである。アメリカのような大国と違い兵士への補償が貧弱なので、宗教を利用して安くあげるしかないのだ。

 かつて中曾根康弘首相は、靖国神社に参拝して戦争美化だと国内外から批判を受けたさい、強硬になったり妥協したり様々な対応だったが、そこで戦争の英雄を讃える必要性を説き、そうしないと「誰が国に命を捧げるか」と言ったことがある。


 そんなことを言うけど、東大出の官僚から将校というエリートコースだった中曾根氏は、戦争で大勢の部下が犠牲になった責任をとって切腹するべき立場なのに-実際にそうした将校たちが何人もいたけれど-中曾根氏は責任とらず出世街道を歩み続けたじゃないか。そう言われたことがある。


 まあ、中曾根氏はあの「殖産住宅事件」で、自己保身のため学生時代からの親友を見捨てた人であり、その刑務所に入れられた親友に「中曾根くん、卑怯じゃないか。東大生の時から無二の親友だったのに。問題になった会社の金は、中曾根くんが自民党総裁選に出る資金にするためだったじゃないか」などと罵られても平気でいた。

 そんな人だから、親友が刑務所で病気になって受刑に耐えられないほど深刻になり釈放されるなど悲惨なことになっているのを尻目に首相に上り詰め、その後は百歳を超えて老衰で死去するまで心身ともに健康そのものだったほどで、そんな人にとっては自分だけ戦争で生き残ることなど当たり前なのかもしれない。


 しかし、戦争で国民に国に命を捧げさせるのに必要なことが、なぜ宗教なのか。

 これがアメリカなら、最近では軍隊に入れば永住権が得られるということで「グリーンカード兵士」もいたりするけれど、前からアメリカは兵士への補償は大国らしく充実していて、これに比べると日本は貧弱である。

 それで宗教により紛らわせているのだ。だから、戦後も殉職自衛官を遺族の意思に反して護国神社に祀ったことで未亡人が訴訟を起こしたさい、最高裁は「寛容」になれと言って合憲とした。個人が国家に対して何か寛容なのかと批判されたが、それくらい日本は国の社会制度が脆弱で御粗末ということだ。


 こんなふうに国ぐるみで貧乏臭いから国民も染まり、統一協会は世界各地に展開しているのに霊感商法は日本ばかりということになるのだ。

 あのとき中曾根元首相は統一協会の合同結婚式に堂々と祝電を送っていたが、その七光りで議員なった孫が、安倍元首相殺害事件に絡んで統一協会との関わりを問題にされると、前よりマシな団体になったと思っていたという珍解答だった。ということは、祖父のころは酷かったとの認識なのだろうか。

 いずれにせよ、こんなに日本は貧しいのだ。努力が足りなかったのだろう。 

更新日:2022年8月14日

 キリスト教の三大異端といわれるのが「エホバの証人」「モルモン教」「統一協会」である。

 これらは他の多くのキリスト教宗派と違いすぎて、キリスト教ではないとまで言われている。エホバの証人(『ものみの塔』とも言う)は、開祖が聖書を独自に解釈して、モルモン教は開祖が神の啓示を受けたと主張して、そこから起こった宗教団体であり、統一協会は韓国人の開祖が救世主(すなわちキリスト)だと説いている。


 エホバの証人がマスコミで騒がれたのは輸血拒否の騒動であった。

 交通事故で重傷を負った子供の親がエホバの証人の信者で、その戒律により輸血に同意せず、輸血をしないで手術をして結果は子供が死亡する。ただ、手術とは別に輸血に同意が要るのはリスクが相当にあるからで、それを同意しないから悪いとは簡単には言えず、この場合は輸血しても助からなかったと考えられ、なのにマスコミが騒ぎすぎだったという指摘もあった。

 かつて北米でホームステイした先がエホバの証人の信者だったので信仰に付き合っていたが、独自に編纂した聖書を使い、「血の滴るようなステーキ」は血抜きして食べていた。これを輸血にも当てはめていたわけだ。だからキリスト教界で「聖書の曲解」と批判されるのだ。そんなことしないで仏教徒のように不殺生の菜食主義になればいいのにと言ったけれど、それはできないらしい。


 モルモン教も熱心に布教活動している。

 中学生の時にアメリカ人の青年から声をかけられて話したが、英検のため練習に英語で話したものだった。それで興味があるふりをしていたのだった。

 モルモン教徒が開拓した街ソルトレークシティーは、浸食作用で海が陸に取り囲まれた塩水の湖がある土地だが、異端者として迫害されて荒野を彷徨っていたら死海と同じような場所に来たので「我々はモーゼと同じだ」「神から導かれた」と思ったそうだ。どうせ偶然だろうけど、気持ちはよーく解る。

 斉藤由貴が不倫で騒がれた時、無知な芸能レポーターが、斉藤由貴は信仰で知り合った男性と結婚したほどの敬虔なクリスチャンなのに何故かと言っていたが、彼女の信仰しているのはモルモン教で、ここが異端とされるのは一夫多妻だからで、単に開祖のジョセフ-スミスが女ったらしだっただけという説もあるけど、とにかく敬虔なクリスチャンなのに不倫というのは的外れである。だから昔テレビで観ていて笑った。


 今話題の統一協会は「世界基督教統一神霊協会」の略である。

 よく統一教会と誤記されるが、教会ではないのに外国でUnification Churchと訳していても違和感がないのは、外国だと霊感商法をやってないからだろう。霊感商法の被害者は、ほとんど日本人だ。壺だの霊能者だのはキリスト教会がやることではない。だから日本では基督教ではなく神霊にかかるから、正式名称の略称の「統一協会」が適切である。

 オウム真理教の教祖が「私はキリストである」と言って、仏教とヒンズー教に基づく宗教団体なのに変だと言う人もいたが、これは本来の意味の「救世主」のことである。そう教団も説明していた。これと同じで韓国人の教祖が救世主を自称していて基督教ということで、実態は神霊つまりスピリチュアリズムやオカルティズムの団体なのだ。


 こうした事実を経験から知っているので逆に、どんな勧誘されても冷淡でいるのだ。

 ところが、こういう話をするので誤解され。神秘主義や心霊現象に傾倒していると思われることがある。



  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年8月13日
  • 読了時間: 2分

 統一協会は自民党と密接だが、他には旧民社党の一部議員と懇意だった。

 だから、今でも自民党以外の政党に触手を伸ばして当然であり、民社党のように自民党より強い反共性であるか、少なくとも同程度なら、擦り寄るだろう。それで立憲党などにも目を付けていたわけだ。


 ところが、仲良し政党の選挙支援だけではなかった。

 あまり目立たないが、たまに統一協会の信者が自ら選挙に立候補することがある。かつて中曾根内閣の当時、うちの近所の主婦たちが応援を依頼されて、その中には政策も確認しないで自宅の前にポスターを貼った人があった。

 この統一協会の信者の女性は、選挙に立候補したさい中曾根首相を絶賛して「心の底から尊敬している」と言っていた。

 

 「へんなオバサンが出てきた」

 そう言ったのは知人の大学生で、民青同に入り共産党を応援していた。それで「あの人は統一協会でしょう」と言ったら「よく知ってますね」と驚かれた。少年が何故かと思ったらしい。母親が統一協会に寄付をしていたから知っていた。

 もちろん、うちの母親は統一教会が如何わしい団体だとは思っていた。ところが、そんな団体に利用されて寄付集めをしている若い女性それも女の子という感じの人に同情して、手ぶらで帰ったら叱られるから可哀想だと言う。



 そんなことしたら、同情を惹けば良いと思われてしまう。

 そして、もっとやろうと考える。助けることにならない。それどころか同じことをやらされる女の子も増えてしまう。だから、それはダメだと言っても理解できない人であった。ほんとうに困ったものだった。


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