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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年3月25日
  • 読了時間: 2分

 免許の更新の時。

 運転技術や心得の筆記試験で「隠れてする取り締まりは腹立たしいか?」という問いに「〇(はい)」とチェックしたら満点になれなかったという人の話から思い出したこと。


 このさい、その人だけが○付けたそうだ。

 つまり「バカ正直」ということだった。他に30人くらいいた人達は全員が×にして「正解」となっていた。

 終了後に指導員が「この質問にチェックいれた人はいるか」と問われ言われて、また正直に手を挙げたら一人だけ。「気をつけて運転してね」と嫌味を言われたそうだ。


 この人は自分がした唯一の違反を、ふと思い出したそうだ。

 あの時、道に迷って慌てていたうえU禁止の道とは知らなかった。もちろん自分に落ち度がある。咎められても悪いのは100%自分だ。ただ、道路わきの物陰に隠れて、突然車のまん前に飛び出してきたら驚いたどころか、もうちょっとで轢きそうだったので怖かった。

 それで「腹が立」った。そんな思い出だったとのこと。



 それだけの問題ではない。

 ほんとうは、制服の警官には居ることを見せて違法行為を抑止する目的があるのだから、隠れて取り締まりをしてはならないのだ。

 違反が駄目なのは当たり前だから、違反しなければいい、ということにはならない。道に迷って慌てたなら運転手も慎重になるべきだけど、警官は違反する前に注意するほうがいいし、他にも例えば、急いでいて、つい、となりがちな場所もある。でも駄目だぞということで制服警官が抑止の役をするべきなのだ。

 たまたま運転手が警官に気づかずにいただけで、隠れて違法行為をやらせてから捕えるなんて陰険なことはしていないと言っても、どんな事件も一件は一件だという警官が昔から問題になっていて(もちろんそんなお巡りさんばかりじゃないけれど)実は隠れて取り締まりしているという疑惑が生じるのだ。


 その実例として防衛医大病院の前にある通りのことがある。

 ここは再開発地なので道が一直線であり、そこへ身内などが急病や事故の怪我で駆け付ける人のクルマが来るから、つい、速くなってしまう。そこへ突然に警官が出てきて停止させ、違反だ、罰金だ、と言う。この病院だから割合が多いため自衛官もやられている。家族などを心配する気持ちを利用しての取り締まりだと怒っていた。

 もちろん、これも、そんなお巡りさんばかりではなく、場所が埼玉県だからだと言っている人がいて、それは当たっていると思う。よく当地の後進性として警察の体質が昔から言われていたから。

 
 
 

アメリカ映画『ハリケーン』は実話に基づいたボクサー冤罪事件だった。

 あれは人種差別が原因だった。日本の場合、ボクサーだから乱暴に決まっているという偏見だった。これだけでもボクサーとしては不愉快なのに、強盗殺人事件で証拠が変なのに有罪で死刑とは酷いと、輪島もと選手も憤って人権擁護運動団体に応援にきたと、その団体の人に聞いた。

 「ダンゴさしいれに持って来たりして」と冗談を言ったら、本当に持ってきてくれたし美味しかったそうだ。


 とくに酷いのが検察の対応である。

 あれでは袴田さんが高齢だから死ぬのを待っての引き伸ばしだと非難轟々であるが、そうまでしてでも検察は間違いを認めたくないのだ。

 かつて大学の法学部で刑法・刑訴・犯罪学を習った教授は、弁護士でもあり元検察官だった。授業は面白いし優秀なのも判るが、検察は絶対に間違わないと固く信じていた。これを弁護士や法学者に訊いたら、検察に勤めれば大体そうなる、という。周防監督の映画で加瀬亮に検事が「俺は騙されないぞ」といきなり言うのも、それ。



 袴田事件を描いた映画『BOX』で無茶な有罪に反対する裁判官は法の精神を説くが、もう一方の陪席判事に反発される。

 「国立出に言われなくても解ってる」と。そんなこと関係ないと言って怒る。たしかに関係ない。何でそんなことを言うのか。その裁判官は出世亡者で人命など無視している。それが同窓会では、偉くなったと称賛されている。そこで皆が唄うのは「♪都の西北~」である。

 ここは国立にコンプレックス&上昇志向かと現役の早大生に訊いたら、そうだと認めた。そんな感覚で司法に携わっている者は少なくないらしいが、たまったものではない。だから袴田さんだけの問題ではないし、ボクサーだけの問題でもない。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2023年2月20日
  • 読了時間: 3分

 いま、きっかけがあって公害に関する書籍を読んでいる。

 それら公害訴訟では、原告が健康を害しているため被告企業側が訴訟の引き延ばしを謀っていた。被害者が死ねば良いということだ。

 このため、あの手この手を駆使するから無用で卑劣な引き延ばしだと批判される。ところが、この意味をきちんと知らない法曹人がいる。引き延ばすなら何のためか。それが無いと無意味なのに、いたずらに「引き延ばし」だと言ってデタラメな非難を相手方に浴びせる。


 例えば医療裁判である。

 これも公害と同様に患者は健康を害しているのだから、引き延ばしを謀るのは医師の側である。

 ところが、あの、元高裁判事で退官してから政府関係の仕事をしている田中清弁護士(東京弁護士会・銀座ファースト法律事務所長)は、第三者の立場からの客観的な専門医の鑑定を無用だとし、なぜなら鑑定なんて患者の敗訴が確実なので引き延ばしているのだと言っていた。堂々と文書にまでしていた。何種類もの文書で、中には侮辱的な文言のものを患者にファックスを送り付けもしていた。

 つまり常識とは逆なのだ。


 しかし、むしろ滑稽なのは、なぜ患者の敗訴が確実なんて言うかの訳である。

 それは、被告の医師が日本の第一人者であると自称しており、そんな人が言えば総て正しいという主張だったことだ。

 もちろん「第一人者」というのは当医師の年齢やキャリアからして普通の常識を持っている者からすれば虚偽であると判る。仮に第一人者でも自分の誤りだと問題にされたら、自分で抗弁するだけでは信用できるわけなく、中立的な第三者の専門的な意見を訊くのは当たり前である。

 それなのに、ということは拙書『防衛医大…』(ホームページ参照)に記述したとおり。


 ところが、である。

 最初は、医師が妄想虚言のようなことを語っていると思った。だが、医師たちからすれば違うと言う。

 弁護士が手抜きというべきか、いい加減というべきか、そんな訴訟活動をしてデタラメを言っていたのであり、医師は大迷惑のはずだと言う。そういう医師による指摘があることを、後に知った。


 それら引き延ばしの手口の一つとして裁判官忌避がある。

 これも公害訴訟で加害企業側の弁護士にとって常套手段だった。なんと、これを逆に援用して、自分の身内をかばうためデタラメ判決をすると堂々と法廷で宣言し、それで裁判官忌避をされると、引き延ばしだと言って他の裁判官に回さず、自らにされた忌避の申立を自ら却下してしまった裁判官がいた。

 こんなことはザラあることだが、代表的なのは鬼頭季郎という、後に内閣府へ「渡り」をした判事である。その実兄がロッキード事件や宮本顕治身分帳事件で有名な判事補であった。「悪鬼兄弟」と言われていた。


 こうした悪辣な法曹人が跋扈するのは、公害訴訟などで過去に身体を張って努力してきた庶民の闘いを知らない人が多いからだろう。自分もいちおう関心がある方だと自認していたが、まだまだ知らないことが多いと反省している。



 
 
 
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