国家賠償請求訴訟は民事訴訟の制度を援用している。
あくまで援用であるから、個人と個人の金銭に関わる争い揉め事とは全く違う。私人間での財産的な争いや調整で公を煩わせるのでは、それが市民の権利であるとしても、普段から納税している他に費用を支払わされるのは仕方ないと言い得る部分がある。
しかし国家賠償請求訴訟は先ず国が原因を作ったことであるから、民事訴訟の制度を援用しているとはいえ訴訟の費用が要るということから不道徳である。
しかも裁判所の誤りに異議申し立てするにもいちいち費用が要る。
それも高額である。選挙の供託金と同じで、日本では市民が権利を主張するだけで高額な費用を国に払わなければならない制度になっている。しかも公的機関が気を付けていれば最初から何も問題が無かったことを追及したり救済を求めたりすることに対してまで要る、ということであるから非常に図々しい。
そして国など公的機関の責任を裁判所が認めることは非常に少ない。特に日本では三権分立が無いからだ。
やはり法律の改正が必要である。
国家賠償請求訴訟は無料に。これに伴う抗告の費用も無料に。連絡の郵券はすべて国庫負担に。希望すれば弁護人も公費で雇える。ということにしなければならない。
こうして訴訟が増えれば、国のほうでも誤りが無いように気を付けるようになり、必然的に訴訟も減る。
なぜ法律が変わらないのか。
おそらく国会議員に意識が乏しいのだろう。そんなことをしても票にならないからではないかと思ったら大間違いで、いろいろと議員に質問しても、ほとんどの議員は関心がなく、基礎的な知識を持ち合わせていないから、実態を訴えられてもチンブンカンプンなのだ。
これは昔からの、日本人の法意識の弱さ、に由来しているのだろう。