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  • 執筆者の写真井上靜

野球の好きな女性の話


 前にテレビで取り上げられていたが、野球の好きな女の子が中学に入って部活は野球がやりたいのだけど野球部は男子部しかなく、女子はソフトボールだから「なんで男の子に産んでくれなかったの」と親に文句を言っていた、という話題があった。

 なんで、どこの学校でもだいたい、野球部は男子だけでソフトボール部は女子だけなのだろうか。


 スポーツするのに男女混合だと体力の差があるけれど、別々なら問題ないはずだ。

 かつて日本には「女相撲」があったけれど、アメリカには女性野球があって、この実話に基づいた『プリティーリーグ』という映画が作られた。歌手のマドンナなども出ていて話題だったが、映画も傑作と評価されていた。

 『ドカベン』など野球漫画で知られる水島新司の作品に、女性が男性ばかりのプロ野球に入る『野球狂の詩』という漫画があって、テレビのアニメになったのち斉藤由貴の主演で実写ドラマ化もされたが、ここでは体力差が問題になって、それをどう克服するかという話だった。



 しかし少年野球なら未だ大した体力差ではないから、監督の娘である女子が男子に混ざって投手をする『がんばれベアーズ』というハリウッド映画がヒットしたものだ。

 この役を演じたのがライアン-オニールの娘のテイタム-オニールで、その前に子役として『ペーパームーン』で親子共演していたが、この『がんばれベアーズ』と、続いてエリザベステイラー主演『緑園の天使』続編『インターナショナルベルベット』に主演すると、特に日本ではアイドルとして人気爆発となり映画雑誌のミーハー投票で長く一位を獲得し続ける。

 そして後にテニスのジョン-マッケンロー選手と結婚し「かかあ天下」で夫婦円満といわれ、もともと日本で人気だったからテレビの歯磨き粉CМに夫婦で出演し、微笑む妻の横で夫は「歯槽膿漏には負けんろー」と駄洒落を言っていた。


 『がんばれベアーズ』では、少年野球チームが試合に勇んで臨む場面を闘牛に喩えて、音楽にはビゼー作曲『カルメン序曲』が流れていた。

 これがヒットしたので続編『がんばれベアーズ特訓中』が作られ、ベアーズがドーム球場に遠征して試合をするが、ここでチャイコフスキー作曲『大序曲1812年』が流れてベアーズ逆転勝ちとなる。

 さらに三作目『がんばれベアーズ大旋風』では、ベアーズが日本に来る。このタイトルでは歌舞伎などをあしらった日本風のアニメとともにサリバン作曲『喜歌劇ミカド序曲』が流れる。パリ万博がきっかけのエキゾチシズムブームで作られた日本を舞台にした話の序曲だから和風の旋律なのだ。そしてベアーズは日本の少年野球チームと一緒に「♪野球をしよう~」と合唱する。元の歌は「野球をしよう」という詞ではなく、女性が男性にデートなら「野球の観戦に連れていって」という詩である。


 野球の好きな女性が少年野球チームを率いる『それいけレッドビッキーズ』と『がんばれレッドビッキーズ』という石ノ森章太郎が原案のテレビドラマもあって人気だった。『がんばれベアーズ』を意識しているが、それまでのドラマでは野球の好きな女性は野球部のマネージャーをしているものだったけれど、少年野球チームとはいえ指導者という設定がユニークであった。


 まだまだ色々あるが、とにかく、女性で野球が好きな人には、まず選手のファンとかで観戦したいという人がいて、それでチケット購入のさい「○○投手が登板する試合の」と言って売り場の人から「それは当日にならないとわかりません。たまに予告登板はありますが」と言われる女性が昔からいるそうだけれど、そうではなく野球の駆け引きが楽しいという女性が自分で野球をやりたいとかチームの経営をしたいとか言っていることも、決して珍しくないのだ。


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