物を作るより動かす方が儲かる
- 井上靜

- 2023年3月30日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年3月31日
年度末なので拙書の売上報告書が届いた。
これが何かの間違いで行方不明になっていて、後から無事に届いたという結末であった。
さて、ここで取次店の取り分が話題に出た。これは出版社と書店との間に入る問屋のような業者だが、結構な割合で手数料を取る。
今は亡き井上ひさし氏が書いていた。
彼が子供のころ、彼の母親は業務に関わることで次のように説いたそうだ。紀伊国屋文左衛門に代表されるように、物を売ったり買ったりする人たちの所に物を運ぶほうが、物を作るより儲かる。物を作るより運ぶほうが儲かるなんて不当だと思うなら、そうなる昔からの仕組みに文句を言うべきだ。
前に某宅配業者が預かった荷物を真面目に配達しなかったことが報道された。
こんなことなら、昔からの郵便局が信頼できるかと思っては間違いで、地元の人たちが言うには、郵便局も同じで昔から真面目にやらないそうだ。報道では取り上げられてなかったが、その界隈の人たちはみんな知っていて、土地柄が不真面目で当たり前なのだそうだ。
こういう問題を解決しないといけないから、物を運ぶのは苦労する。だからこそ上手く運ぶことは利益になるのだろう。
それでも日本は、最近また怪しくなったものの、諸外国に比べてきちんとしている方だ。
今より昔のほうがきちんとしていたと言われるのはロシアで、ソビエト時代は貨物列車が立ち往生したまま放置なんて土地があったら、そこへ兵士が来て怠けていた責任者を見せしめで銃殺したからだ。これはジェルジンスキーという後にKGBを作った人がやったことだった。

ちょうど『ドクトルジバゴ』の、偶然に軍用列車と出くわしてラーラの夫と再会する場面、みたいに感じだったらしい。
とにかく、物を作るより運ぶほうが儲かるのである。



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