「見~て~る~だ~け~」
という流行語が90年代にあった。
これはカタログ通販のテレビ宣伝のこと。石田えりや田嶋陽子らが店の商品を興味津々で見ていると、店員が声をかけてきて「それはですね」とか「何かお探しですか」とか言って説明しようとするのだが「ん~ん~、見~て~る~だ~け~」と言う。
何を言われても「見~て~る~だ~け~」と繰り返す。
そして、店で調べて家で買うという説明がされる。
まったく、店に喧嘩を売るようなCМであった。これは当時テレビの人気アニメ例えば『セーラームーン』の劇中でも「見~て~る~だ~け~」というセリフが出てきたりで、あちこちパロディになったり流用されたりしたものだった。
あの当時は笑い話で済んだ。
しかし、今ではカタログ通販の他にもネット通販でアマゾンや楽天が派手な展開を しているから、小売店が潰れたりする一方で配達業者が負担に耐えられず従業員が辞めてしまい人手不足の所もあるという。
すでに数年前、指定の時間から一時間以上経過しても届かず、すっかり交通渋滞に巻き込まれたと思い、それをやっと来たので言うと、そうではないと配達業者のオジサンが泣きっ面で言った。とうてい不可解な量を押し付けられてしまい、これでは指定時間より遅れてしまう。遅れてすみませんとは遂に言わなかった。あんまり買わないでくれと言いたそうだった。
あと、ガスメーターのある扉を開けると手前に空間がある場合がある。
うちがそうなっているので、そこに宅配ボックスの代わりに入れておいてと指定したのだが、連絡が届いてなくて再配達となってしまった。そして来た配達員は、このところの酷い暑さのため汗だくであった。連絡の不届きは配達業者の営業所の不手際だから、お客さんが謝ることではないと言ってはくれたが、それにしても気の毒で、冷蔵庫にあるペットボトルのミネラルウォーターを一つあげると言ったけれど固持された。
まさにケンローチ監督の映画の原題「アイムソーリー、アイミスユー」であった。この映画を観てから配達員に同情的になってしまった。
この先、どうなるのだろうか。