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南京大虐殺と薬害

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 8月11日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月27日

 南京大虐殺の映画が話題である。

 この映画は世界各国で上映され、既に知られた史実を改めて認識させているが、日本では上映の見込みがない。日本には今も事件を否定したがる人達がいて、狂信者の暴力と妨害が予想されるからだ。

 もう故人だが、石原慎太郎もたびたび否定する発言をしていた。その内容がずさんなものであることは既に指摘されてるので言うまでもないが、他のことでも石原慎太郎の発言は似たり寄ったりで、かつては水俣病について「偽患者」「知能指数が低い」などと暴言を吐き、結局は謝罪に追い込まれた。ただし、これは石原慎太郎だけの特徴ではない。


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 ワクチン接種の薬害を否定する人たちがいる。

 この人たちの論法は、まさに「南京大虐殺はなかった」と言っている人達の手口と実にそっくりである。ところが、南京大虐殺を否定する人たちに対して「歴史修正主義者」という批判をする側の人達でも「ワクチンの被害は無い」「狂言」「陰謀論」などと紋切型の非難をしている頭と性格が極めて悪い人達がいる。そして「参政党と同じだ」」と非難する。右翼が「共産党と同じだ」と言うのと同じことをリベラル左派を自認する人達がやっている。石原慎太郎のような一貫性が無いのだ。

 ここで疑問なのは、この人達はなぜ同じトリックが用いられていることに気づかないのか、という点である。これは物事をどちらの側に立って語るかの「ポジショントーク」をしているだけだから、自ら検証する力が無いのだ。

 だから、そんな人たちは一方で歴史修正主義者を批判していたり大企業や行政に批判的だったりしているのに、そもそも医療や製薬は戦争犯罪に手を染めて大きくなっていた事実や、大企業と行政が癒着して暴利を貪っているから薬害が悲惨な犠牲者を出していた事実に、まるで気づくことができないのだ。


 医療裁判で、医師・病院に雇われた弁護士の論法は「南京大虐殺は無かった」式である。

 これは拙書『防衛医大…』(ホームページ参照)の訴訟でのこと。医師の不適切により患者が高熱を出しているのに、それを医師が上司の医師から指摘されても認めず、適切な処置をしないで患者を苦しめたという事実があったけれど、それを医師に雇われた弁護士は法廷で、高熱の数値が患者の言ったのとカルテに記載されたのとが少し違うこともって、患者の言うことは不正確で信用できないと主張した。

 なにバカなことを言うのか。数値が違っても高熱には変わらないし、上司の医師が指摘もしているし、これに対して後に処置をしている。揚げ足取りにしても御粗末すぎるが、その弁護士としては、ちょうど南京虐殺についての議論でよくあること則ち犠牲者の数の違いをもって虐殺事件の否定をするという滑稽な論法をあくまで押し通した。


 そんな医師に雇われた弁護士の屁理屈は裁判で通用しないに決まっている。

 よほど狂った裁判官でもないと無理である。そんな裁判官もいるから、それを期待してやるのだろうが。

 だが、そういう期待をしていなくても、とにかく患者を貶めることに執心していた。いくらトリックが暴かれて破綻しても平気で同じ話を口汚さだけエスカレートさせて繰り返した。

 これが医療裁判における医師・病院に雇われた弁護士にとって通常のやり方である。たまたま、その質の悪い医師が、それに相応しい質の悪い弁護士を雇った、というだけではないのだ。

 こういう現実を知っている者がたくさんいるのに、医療の業界と行政を妄信する人がいて、そんな人が、リベラルっぽい発言をしているマスコミ人や、利権亡者の厚生族議員ではない野党の議員にすらいる。この人達は解ったふりして何も知らない考えてないということなのである。

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