ナチスは「左翼政党」
- 井上靜

- 6月4日
- 読了時間: 2分
ナチスは左翼政党だと言う人たちがいる。
これが匿名アカウントのネトウヨによる妄想だけではなく、これに便乗して本間奈々という選挙に立候補する予定らしい元自治官僚が言ってるので、驚き呆れられていた。
なんでもいいから左翼が悪いということにしたいのだろう。

ナチスは「国家社会主義ドイツ労働者党」の略称である。
それで「社会主義」「労働者」が付くから左翼だと言うわけだ。ここで、標榜していることと実際にやっていることの違いを言っている人達がいるけれど、そういう問題ではない。
この党名に付いているのは「社会主義」ではなく「国家社会主義」であり、「労働者」ではなく「ドイツ労働者」である。
そももそ社会主義も色々で、どんな社会主義かの違いがある。
例えば、かつて赤尾敏という右翼活動家がいた。東条内閣の当時に代議士だったが、しばしば東条内閣と対立したという。戦後は、親戚が金持ちなので資金はあったから何度も選挙に立候補したが、当選できるほどの組織力が無くて、いつも泡沫候補だった。
そんな彼の政治活動の原点は『新しき村』」を読み共感し社会主義運動を始めたことで、社会主義というだけで弾圧された時代だったので検挙され、そこで獄中転向して国粋主義者になった。その後、天皇中心の社会主義を標榜していた。それで自分は「ファッショ」だと自認する発言もしていた。
これと同じことで、「国家社会主義」は全体主義・ファシズムである。
労働運動は国際主義である。
だからスローガンは「万国の労働者よ団結せよ」であるし、労働歌で最も有名なのは『インターナショナル』である。
ところがナチスがいうのは「ドイツ労働者」である。世界各地の社会階層としての労働者ではない。優れた国の秀でた国民の労働者ということ。これは民族主義である。そしてナチスは資本家と癒着していたから、社会主義者や共産党を左翼だと言って迫害していた。
つまり、ナチスは極右政党である。
もともと政党名からして極右である。屋号と実質が違うというのではない。後から入ってきたヒットラーが乗っ取って変えたこともあるが、それでも最初は左翼だったのではなく、もとから極右であり、極右の政党名なのだ。
こんなのは常識のはずだが、低能ネトウヨだけでなく高学歴で官僚やっていた本間奈々という人までネトウヨと同じことを言うから、驚き呆れられたのだ。



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