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  • 執筆者の写真井上靜

カルト宗教が悪いのは非科学的だからでない

更新日:2022年8月10日

 安倍元首相殺害事件がきっかけで話題のカルト宗教には、色々と悪いことがある。

 しかし、ここで勘違いしている人たちがいて、統一協会とかオウム真理教とかカルト宗教と呼ばれる団体が反社会的なのは、非科学的だから悪いとか言っている。

 これが間違いなのは、まず科学的というのは客観的のようでいて主観的であり、正しくないと指摘されたから悪であるとは言えない、という当たり前のことを踏まえていないからだ。


 これは拙書『防衛医大…』(hp参照)でも述べたことだが、かつて防衛医大を受診したのは、現役の防衛医大の学生に紹介されたからだった。

 この防衛医大生とは、スピリチュアリズム団体で知り合った。前にも述べたとおり母親がシャーリー-マクレーンのファンだったので、その種の団体に出入りしていた。それで、だった。そうしたら、医療被害に遭うという最悪の事態になる。


 防衛医大は、統一協会のシンパであり『世界日報』を愛読していると公言する渡部昇一上智大学教授を招いて学内講演させている。

 その前から筑波大学では、福田信之学長の専制支配的な運営のため、統一協会の巣窟となっていた。物理学者だったが研究より政治力の人で、それがカルト宗教にのめり込んでいた。もともと学界では「ヘアツ」と言われていた。エナジーではなくエネルギーというように、ハートではなくドイツ語でヘアツつまり心に問題があって人間性に難があるという意味で言われていたのだった。



 オウム真理教騒動のさい理科系の大学院まで行った人たちが信者なので驚く人たちがいた。

 けれど、決して不可解なことではなかった。その団体には、防衛医大生の他にも医科歯科大とか東大とか早大理工とか、偏差値の高い理科系の大学生が大勢いた。だいたい理科系ではない人たちは幻想を抱きがちだが、理科系の人たちは専門的に追究することで限界を知り、その先にある未知なものに憧憬を抱きがちなのだから、むしろ当たり前である。

 しかも、非科学的とされていたことが後に正しかったと判明し、科学的に正しいとされていたことがことの方が間違っていた、ということは過去にいくらでもある。そもそも、あくまで人間が認識することであり、社会的に認知されることだ。実は「科学的に正しい」の正体は「政治的に正しい」のことである、という既にある指摘の通りだ。


 これだけでも、カルト宗教は非科学的だから悪いと言うことはできない。

 ところが、有田芳生らカルト宗教の追及を売りにしている人たちには、この「アカデミックでオーソドックスな人たちこそ宗教に、それ以上にスピリチュアリズムやオカルティズムに傾倒しやすく、また傾倒していない人でも体質と発想が同じである」ということを理解できていない。

 だから象牙の塔の権威に弱く、公式見解とされるものを妄信する。オウム真理教騒動のさい映画監督でテレビドラマをよく撮っていた山際永三氏が「有田芳生とか江川紹子とかは虎の威を借りる狐だ」と言って批判していたけれど、この権勢に媚びる態度から当然にして、これ以外の問題でも常に権力にすりより、悪名高い御用学者と仲良くもする。


 こうして、カルト宗教の追及は大いにやればいいけれど、やっている人たちに共感はできない、ということになる。オウム事件のころから巷で言われていたとおりである。 

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