「エホバの証人」(ものみの塔)とは何か。
キリスト教の一種だが、キリスト教の数多い宗派とは違い「異端」と言われている。双璧のようなのが「モルモン教」で、こちらは開祖が神の啓示を受けたと言ってキリスト教の教義を独特な解釈をしているから「異端」と呼ばれるが、それに対しエホバの証人の場合は開祖がキリスト教の聖典の素になっている古文書を独自の研究で解釈している。
よくWikipediaで「独自研究」と注釈があるけれど、それと同じ扱われ方だ。
エホバの証人は信者が他の宗教より熱心な傾向にある。
それで自分の子どもへ信仰の押し付けをして、その程度が甚だしく虐待の水準ではないかと疑われる事例が指摘されている。
これについて教団は、個々の信者がどうするかまでは関知していないが、教団としては児童虐待を容認していないことを周知したそうだ。
また、輸血を含めて、どんな治療を受けるかについては、一人一人が自分で決めるべきであることも周知したという。
エホバの証人は家族円満を説いているし、非暴力主義を標榜している。
だから子供に体罰など以ての外である。ただ、信者の中には本末転倒の人も当然いるということだろう。
この非暴力主義は、武道を強要する体育教師のマッチョ願望に抵抗する高校生を生んで話題になったし、戦争反対にも貢献した。死んでも信仰が大事だということで権力者に弾圧されることも恐れない人がいるからだ。
また、輸血の拒否は教義の曲解だと宗教学者たちから一様に批判されてきたが、しかし信者が騒いだおかげで、リスクなど無視して勝手な輸血をしては被害を出していた医療の現場が説明と同意を重んじるようになった。それまでは悲惨な被害者が何人出ようと、訴訟で倍賞金を何度も払おうと、マスコミに叩かれようと、医学界は「鮭の面に水」「馬の耳に念仏」だった。
このように、社会に良い影響もある。
つまり自己決定権の周知があればいい。
それを超えて、変な考えの団体は取り締まれというのは、もっと危ない。そんなことを叫んでいる人たちの中には業界の利権のために叫んでいる人たちがいる。
それに、宗教より医師を信じるべきと言う発想も滑稽で、そんなことは正しいと言い得ないし、なにより医師で宗教や心霊に傾倒している人の割合は、おそらく世間一般より高い。このことは拙書『防衛医大…』でも触れたとおりである。