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  • 執筆者の写真井上靜

アントニオ猪木の訃報で思い出したこと

 アントニオ猪木が享年79歳とは、格闘家にしては長生き。

 だいたい格闘家は無理しているので短命である。前田日明というプロレスラーが講演をしたさい録音の起こしをしたことがあり、これが雑誌に掲載されたのを読んでくれた方は憶えているだろうが、そこで彼は、年齢的に遅く子供ができたので、それが大人になるまでに父親が存命か不安で、なぜなら格闘家は屈強で健康そのものだったのが六十歳代にあっさりと死ぬことがザラだから、と言っていた。

 それで、政治の話をするようになった。子供が将来を生きる社会について今のうちに語りたいからとのことだった。


 アントニオ猪木は政治にどこまで本気で関心があったのか。

 もともと「茶番劇」とは本来は悪い意味ではないそうだが、アントニオ猪木が都知事選に立候補し、小沢一郎らが推す磯村候補に対抗すると言い出したのは、NHKにいた当時の磯村にテレビで、対モハメドアリ戦を悪い意味で「茶番劇」と言われて怒っていたからだった。

 ちなみに、アントニオ猪木はモハメドアリから「ペリカン」と言われたが、元妻の倍賞美津子は、寝ている時に上顎と下顎の歯の間がやけに空いているので指を差し込んでみたら奥まで楽に入ったと言って笑っていた。



 モハメドアリは猪木と他流試合するさい制限つけてきた。

 まったく異なった格闘では力が発揮できず不利だと考えたらしい。アントニオ猪木はハルクホーガンの技を食らって失神させられたことがあるけれど、ハルクホーガンといえばタレントとしての活躍も目立つレスラーで、CМやハリウッド映画に色々と出演しているが、そのうち『ロッキー3』では他流試合する場面があり、ここでハルクホーガンの傍若無人に怒ったロッキーがグラブを外して殴りに行く。

 だからモハメドアリがプロレスラーと闘うなら条件をつけるのも理解できる。


 高校の時にあった喧嘩の話。

 それは、ボクシングやっていて腕っぷしに自信のある奴が決闘を言い出したさい、こちらの仲間が勝手に受けて立つと言い出し、その代わり、そっちのリングに上がるのだからハンデがないと不公平だから条件があると付け加えた。ボクシング部の連中が「じゃあ、お前らだけヘッドギアつけていいぜ」と自信ありげに薄ら笑い浮かべるのに対し「いや、こっちだけグラブつけないでいいことに」と条件を出したら「じゃあ、やめよう」だった。

 とにかく、「相手の土俵に上がる」のは基本的に避けるべきことだ。

 これを訃報で思い出したのだった。

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