ナチスでさえ作れなかった治安維持法を参政党は肯定
- 井上靜

- 7月17日
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更新日:7月17日
治安維持法は、よく、法学部の刑法の授業で取り上げられる。
それが法律の基本原則を根本から覆す立法であり、法律の存在それ自体を法律が否定するという矛盾したものだから。そもそも名称が滑稽である。法律とは治安を維持するためにあるのだから、名称からしてあり得ないはずだ。
ではなぜそんな名称かというと、治安を維持できなくしそうな者だと権力が勝手に決めて取り締まり、投獄したり殺害したりすると定めているから。
これでは法律と法秩序の完全否定である。そんなのは法律ではない。

さすがにナチスも治安維持法は作れなかった。
だいたい、権力が弾圧をするさいの常套手段は、不都合なことを違法行為にするため牽強付会するか、法律の方を曲解するものだ。
ところが治安維持法は、お上に都合が悪いと権力が弾圧すると定める法律である。何もしてなくても、しそうだと権力が勝手に認定したら殺すという内容だった。こんな非常識で異常な法律を作るなんてことはナチスでさえやらなかった。治安維持法のような弾圧をナチスはやっていたし殺された人たちもいるが、そんな弾圧を成文化するなんてことはしなかった。
つまり、ナチスでさえ日本のように堂々とやることは恥ずかしくて出来なかったのだ。
そうしたら参政党は治安維持法を正しいと言って有権者に訴えていた。
もちろん嘘を言っていた。治安維持法があると困るのは共産主義者だけだ、なんていう嘘は冗談にしてもひどいもので、実際は特定の思想信条を標的にしたものではなく片っ端からの弾圧だった、というのが戦前の歴史的事実である。
それに事実と違うだけでなく、思想信条によって権力が弾圧するべきだという発想を堂々と公然と言った。これはファシストでさえここまで堂々と言うか疑問な水準である。それもそのはずで、ナチスでさえ恥ずかして出来なかった治安維持法を正しいと言うのだから、参政党はファシスト党やナチス党を超えたのだ。
しかし、こういうことがサッパリ理解できない人達がいる。
そんな人達に訴えて支持を集めているのが参政党である。そういう戦略だから、よほどのことがないと、支持する人が気づいて考え直すことはありえない。
それに、マスコミは「参政党に勢い」というだけで、その実態を告発しない。そういうマスコミの姿勢を批判している人達がいる。けれど、そもそもその勢いを作ったのはマスコミである。特にテレビ。何かというと、ここぞというところで、肯定的に取り上げてきた。自民党への批判が既成の野党に行かないように作られた参政党に票を流し込むためだ。
だから背後関係が色々と指摘されている。そうでないと、あんな潤沢が活動資金はありえないし、マスコミが露骨な世論操作してはくれない。だから、参政党が破綻しても次の同類が出るだろう。



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