木村防衛相が「誤解を生じたなら撤回する」と言った。
これは誤解なんかではなく、自衛隊の政治利用を防衛相が公言したのは事実で、自衛隊も行政機関として政治的に中立であるべきだから、それを否定するなんてとんでないことだと批判されたのである。
つまり自分の違法な発言を悪いと思っていない木村防衛相は、違法であると指摘されて、その指摘は誤解によるものだというでたらめ発言をしたのだ。
しかし自衛隊の建前と本音は別であることも事実だ。
だから、それを念頭に置いていたので、防衛相は自衛隊の政治利用を当たり前だと思って露骨に発言したのだろう。自衛隊は政治的な弾圧の機関として作られ、それが是正されたことは無い。
これについては自衛隊の機関紙『朝雲』などが、堂々と自衛隊は中立であってはならず、対米従属の政権を守るのが仕事だと宣言していた。政権交代があって、それが対米従属でなくて別の政策をとったとしても、中立の行政機関として政府に従うものだという当たり前の指摘に対し、そんなことでは駄目で、自衛隊は武力を行使して政権を潰し、逆らう日本国民も武力で徹底弾圧するものだと、つまり軍事クーデターで皆殺しだいう意味を何十年も昔から公然と言っていた。
つまりチリのピノチェト将軍と自衛隊は同じということだ。
なので、いまさらという感じである。木村防衛相の発言は酷すぎるのでテレビに出ている人でさえ批判するコメントをし、そのさい、特に自衛隊は実力行使する機関でもあるから、中立でなくなり政治利用されると如何に危ないかと指摘していたけれど、そのとおりではあるが元々から自衛隊はそうでない危ない機関なのであるから、木村防衛相を批判するだけでなく自衛隊そのものを批判しなければならないのだ。
また、昔から自衛隊の中からも批判はあった。
このため自衛隊を追われた自衛官が何人もいたし、そんな組織の体質が嫌で自衛隊を辞めてしまった自衛官も大勢いる。
そうした内部の良心的な声も圧殺しつづけた結果、自浄能力が無くなった自衛隊は政治的中立どころか規律も保てないという情けない状態が何十年も前から続いているのだ。それで飲酒とかセクハラとかの深刻な問題まで起きているわけである。