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​炬火 Die Fackel 

更新日:2021年8月6日

 かつて勤務していた会社で、倉庫の作業をしていた韓国人留学生が伝票を間違えてしまい、違う送付先に届けられて問題になってしまったことがあった。

 この留学生とは仲良しだった。彼は日本語がよくできるから働いていたけれど、違うが似ている地名に気がつかなかったのだった。


 しかし、問題は誤発送それ自体ではなかった。

 それが届いた店の主は、荷物の箱を開けてから注文していない商品だと気づき、納品書を読んで別の店と間違えて送られたと知ったわけだが、このさい同じ商品を自分の店で注文した時とは大違いの安い仕入れ値だったので驚いてしまい、怒って文句を言って来たのだった。

 なぜ違う値段なのかというと、本来なら届くべきだった店は同じ会社が複数の店を経営していて、それら総ての店が発注した合計を元締めの会社が一括して買った形にしているから、大量に購入する見返りに値引きしているというわけだ。


 それで、誤発送を詫びたうえで値引きのわけも説明したが、その店の主は納得しない。

 この時、入社したばかりの二十代前半の男性が「たくさん買ってくれる代わりに値引きするなんて当たり前だから、説明するまでもないでしょう」と呆れて言った。そうだけど、説明するまでもないことを説明して、しかも理解してもらえないから困るのだ。いくらなんでも値引き率が大きすぎると言う。

 これは購入が多いどころか桁違いだから、購入が多ければ値引きの率も上がる「累進リベート」である。この数値は、会社の買い付け人とかバイヤーとか言われる専門の担当者が交渉するから、上手くまとまれば更に大きくなる。これに縁が無い小規模な個人商店のオヤジは知らないうえ、数字を示して説明しても理解できないのだ。


 この時、中学の同級生の父親が店の経営を失敗したことを思い出した。

 彼の父親は、地元の商店街で焼肉の食べ放題を謳った店を開業したが、最初は話題になって客が来たものの、すぐに破綻してしまった。

 だいたい、食べ放題の店はチェーン店ばかりで、先述したようなやり方で材料費を安くしている。これと同じことを個人経営の一店だけでは不可能である。

 また、開業資金だけではなく運転資金も充分でなければ、始めた当初は赤字だから、それを持ち堪えることができない。なのに「脱サラ」で商売を始める人には余裕がなく、とりあえず開店さえできれば「見切り発車」して後は何とかなるという漠然とした感覚でいる。だから開いて一年と持たない店が圧倒的多数なのだ。



 その店を破綻させた主な客とは、息子が通う中学校の同級生たちだった。

 ただでさえ中学生の男子は食欲旺盛だが、そのうえ部活やっている連中で、特に大柄な柔道部の生徒たちが、連日のように押しかけては食べ放題した。あっという間に冷蔵庫は空になる。売り切れのうえ支払いは少しだけの定額。これに店の主が焦って醜態をさらしていた様子を、柔道部の連中は学校で笑いながら話していた。

 こうして息子は恥ずかしい思いをした。また親の商売の破綻により進学するつもりだった私立高校には入れなくなり、受かっていたのを辞退して、二次募集していた公立高校に進学した。偏差値的には非常に割が悪い進学である。それで二重に恥ずかしい思いをしたというより無様とか惨めとか言うべきほどの姿だった。


 あの時は、彼の父さん何て愚かなのだろうと思ったが、後から勤務した会社の誤発送をきっかけにして、そんな人はザラにいると知ったのだった。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年8月4日
  • 読了時間: 2分

 健康保険税の今年最初の納付期限が来たので渋々払った。

 これは割が悪い保険で、元は農家のために作られたものだと言われている。勤務先の保険が無いからだ。そこから更に他の職業の人も対象になり、今では高齢化のため出て行く方が多くて破綻状態である。


 だから、コロナウイルス感染で死亡率が高い高齢者に薬が行き渡らないのは、政府の失政のようでいて、実は高齢者が死ぬように誘導しているのではないかと疑う人がいて、多分そうだろうと思っている人もいる。

 それは確かめようがないけれど、高齢者さえ減ってくれたら解決というのは数字から見ると明らかである。


 もともと国民皆保険制度は国民のためではなく業界のためで、最初からやるべきではなかったのだから、今はもっと有害無益なので廃止するべきである。

 そうとは知らず、ありがたい制度だとか、守っていくべきとか、のんきに言っている人たちが多数派のようである。

 それにしても、困窮者に給付金とか手間のかかることをするくらいなら、所得が少ない人は納付免除とやったほうが合理的だろう。そうしないのは、まず事務手続きする業者が「中抜き」しているという疑惑があり、それ以前に国民皆保険そのものが利権のためであるから、他は後回しにしても金は絶対に最優先で取ると決めているからだろう。


 こんな国民健康保険ではなく、本を出したことがある人という条件で加入できる定額の健康保険があるから、そちらにしようか、しかし収入が減った場合に損である、と迷っている知人がいる。

 それくらい印税や原稿料の割合が多い人なら、悩むだろう。しかし、これは自分がそうだけれど、恒常的に入る書籍の売上を投資に回して増やしている者は、それを申告して有利になるなら税の還付を選ぶけれど、そうしたら健康保険税が正に「バーン」というような感じで跳ね上がることもあるから、そうしないで、つまり所得税で損しても保険税よりはマシという選択をする。



 そして投資のことだけれど、やっている人は直接だが、そうでなくても情報として知っている人もいるとおり、最近は投資の配当が多い。

 これが不可解なのは、コロナウイルス伝染病問題で経済が悪化しているのに、だからこそ不自然なことをして価格を支えていて、そんなことをして大丈夫なのか、ということだ。振り込みがあるたびに複雑な気持ちになる。


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年7月25日
  • 読了時間: 2分

 「そんなクソなピアノの発表会なんかどうでもいいでしょう。五輪に比べれば」

そう言い放ったが、問題になってしまった。

 「アホとかクソという言葉を使ったのは、番組の雰囲気に甘えた極めて不適切な発言でした。不快に思われた方々に心からお詫び申し上げます」

 五輪組織委また謝罪の御粗末。


 この夏野剛という人は慶応大学特別招聘教授かつKADOKAWAの社長で、同社はオリンピックのスポンサーだ。

 そもそも、スポンサーが出るだけでも公私混同だ。しかし、もともと公共電波上で自らの商売に都合が良い政策を支持の発言する違法行為ですら横行してきたくらいだ。これは今だと五輪で色々と指摘されているが、元は小泉内閣下の郵政民営化でヤマト運輸社長が『ニュースステーション』でやらかしたテレビ朝日の犯罪が元祖的である。



 このテレビ番組で、夏野という人の紹介テロップは、肩書とともに「屈指のワイン通」とも書いてあった。

 それで、おそらく酔っぱらって出演していたのではないか。あれはシラフじゃ不可能な汚らしい態度と口調と言葉づかいだったから。


 それにしても、テレビ出演して汚い言葉で心無い発言を放ち謝罪する羽目になった夏野なんて人には、一瞬、不可解だった。

 こうした、分別盛りの年齢で社会的地位もある人が、なんでこうなのか、と。それで直ぐに思った。きっと、苦労をしながら年齢を重ねたのではなく狡猾な処世術を駆使して上昇してきた人なのだろう。だから、だろう。


 
 
 
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