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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年6月9日
  • 読了時間: 2分

更新日:2022年6月16日

 ファミレスの『すかいらーく』が5分未満の切り捨て賃金支払いへとの報道。

 賃金の支払いが5分単位から1分単位に変わり、「ガスト」「バーミヤン」などで、切り捨て賃金を支払い、過去2年分を約9万人が対象として、パートらへ16億円になるという。

これは、アルバイトの男性が、団体交渉で支払いを求めてきた結果である。



 ほんの少しだけでも、大勢の従業員の総計となれば、会社としては相当の金額になる。

 しかし、数分をケチって「塵も積もれば山となる」というのはセコイし、会社の経営に決定的な影響というわけではないのだから、頑張っているバート従業員をねぎらうのが当然ではないか。

 それに、この種の外食産業は、他の業種では務まらない無能な正社員を、大勢の学生バイトや主婦パートらが支えているのが実態なのだから。


 かつて、自分が高校~大学でバイトした当時は無茶苦茶だった。

 交渉や闘争によって規制を変更して改善するというレベルの話ではなかった。決められたことを守らないのが当たり前だったのだ。

 例えば、業務に必要不可欠なことは勤務時間として有給にしなければならないのに、必ず着る制服に着替えることなどの準備はもちろん、業務内容の研修ビデオを見せられることが勤務時間外とされていた。こうして準備万端となってからやっとタイムカード押してよく、いつも30分程度の早出のタダ働きから一時間程度のサービス残業なんて、どこのファミレスでも(他の業種でも)常識だった。


 しかし、努力することで世の中が少しは良くなることもある。これはその証左だ。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年4月23日
  • 読了時間: 2分

 岡山地裁が56円の支払い命令。

 これは、JR西日本が、運転手の作業ミスにより回送列車が1分の遅れを出したことで、その1分の分に当たる賃金43円を給与から差し引き、これを不当として運転士が賃金43円と残業代13円、慰謝料200万円などを求めた訴訟を提起した判決だった。


 もともとJR西日本は列車の遅延に神経質であると評判だった。

 それにしても、業務上の過ちがあったとしても罰金や弁償で給与から差し引くことは禁止が基本である。給与は生活がかかっているからだ。少額だからと許していては限が無くなって危険である。


 たった56円で裁判しては手間暇費用を考えたら赤字だ。

 しかし、例えば銀行で、帳簿上1円違っても計算しなおしとなるのは、1円もったいないからではなく、計算違いだから。小銭が入った袋や箱を落として中身ぶちまけてしまって拾い集めて数えたら1円足りないのとは訳が違う。紛失なら、今後は置き場所に気をつけるということで、1円など損失は損失だけど気にするほどではない。

 しかし、帳簿上の違いであれば、たまたま1円だけど原因を放置していたら1億円の違いにもなりえる。それと同じことで、問題は金額ではない。その原因が不当労働行為だから。あとは説明するまでもないだろう。



 しかし理解できない人もいる。

 そんな少額で訴訟なんて意地を張っていて馬鹿げていると言う人がいた。これで思い出したのは、小学生の時に住んでいた家の隣に銀行員が住んでいたことだ。この人が、1円の違いでも残業して計算しなおしという話を自分の母親にしたところ、その意味を理解できない母親は、1円もったいない業界だと言った。無くしたのを探させられるのではなく、計算しなおしさせられると言っているのに。

 そうしたら、弁護士でも解らない人がいた。人権に関わるけれど商売にならないから引き受けないという人はザラにいるが、金額ではなく原因だという意味を理解できない人がいる。ということは自分の母親に学が無かったからではないが、さて原因は何だろうか。


 
 
 

 吉野家の常務が差別発言で解任された。

 「田舎から出てきた右も左も分からない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、(牛丼は)絶対食べない」

 という発言だった。


 これは早稲田大学が催した経営者セミナーのような場での発言だった。

 そこに居合わせた教員たちは何も問題にせず、聴いていた男性の学生には笑っていた人たちもいたけれど、女性の学生が批判して、そこから発言の事実が広く知られたという。そして吉野家は、この重役を解任して完全に会社と縁を切ったと発表した。


 この常務は、よく牛丼を理解していたのだ。

 それを正直に言ってしまっただけ。吉野家の重役の自社製品への愛情のなさに驚いたり怒ったりする人たちは、知らなかったのだろう。ちょうど、たばこ会社の経営者は、バカを宣伝で中毒にして売って儲けていると思っていて自分で吸わないが、これとファーストフードの経営者も同じだ。安い屑肉を習慣的に食べていると依存症になるから、吉野家はマクドナルドのやり方を見習っているということだ。


 アメリカの記録映画『スーパーサイズミー』は、マクドナルドの押し売りを告発していた。

 マクドナルドの経営戦略とは押し売りで、このため肥満になり健康被害を受けたと訴訟を起こした十代の女性もいる。そこで、監督が自らマクドナルドへ行って、奨められるままに買って食べて、どうなるか実験する。

 そして定期的に医師の検査を受けていたら、健康被害がひどく、このままでは危険だとドクターストップがかかる。しかし監督は、肉ばかり食べていたら気持ちが悪くなっていたのに、食べるのを止めたら肉が食べたくなる。依存症であった。

 これを吉野家は見習っているわけだ。



 映画『ファーストフードネイションズ』では牛肉の生産と販売の裏にある危険で汚いからくりがドラマ仕立てで告発されている。

 『風が吹く時』『戦場のメリークリスマス』のジェレミー-トーマス製作で、先ごろ引退したブルース-ウィリスも出ていた。政治的には保守派だったが映画の内容には共感したようだ。

 また、上等な肉は高級レストランに、屑肉はハンバーガーに、という図式が告発されていたけれど、それと同様に日本の牛丼も、品質の悪い肉と米を濃い味のタレで誤魔化して売っている。


 吉野家の常務は、田舎の女性が美味しい料理を知らないという前提で語った。

 これは女性蔑視なだけでなく、地方の人の味覚をバカにしているとも指摘された。東北や北陸の米所で生まれ育った人は、不味いどんぶり飯を中毒になるほど食べるなんてあり得ないということだ。米山隆一議員(もと新潟県知事)も、それを言っていた。


 おそらく吉野家は、地方といっても埼玉県民などを念頭に置いているのだろう。

 例の映画化された漫画の作者も新潟県出身だが、このマンガの名セリフ「埼玉県民には、その辺に生えている草でも食わせておけ」は、実際に埼玉県民に相当な言葉だ。

 なぜなら、食肉業界の問題にしても「多国籍企業が環境破壊なんて理屈は俺には解らん。俺に解るのは、おかげで美味しい牛肉を安く食べられること」とか平気で嘯く人ばかり。あるいは「大企業を批判するのはアカだ」とか。こんな人が埼玉県には多い。日高屋ラーメン、衣料品しまむら、安かろう悪かろうチェーン店の双璧は埼玉県の会社である。

 実際、東北から埼玉県の親戚の家に来たら、ご飯が不味いので驚くが、その意味が埼玉県民には理解できない。


 
 
 
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