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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2021年1月15日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年6月24日

 先日、『ウルトラマン』の「スーツアクター」として知られる古谷敏さんがインタビューに答えていたが、手足の長い長身という体形を買われてのことだけど、俳優なのに顔を隠すのだから最初は気乗りしなかったという話をしていた。

 そんな彼は、もともと石原裕次郎にあこがれて芸能界入りしたそうで、このことは何十年も前に新聞記事に出ていた。その記事によると、後に俳優を辞めてイベント会社を経営していた。なぜなら、芸能に関心があって芸能界入りしたけれど、芸能人をしているような人たちと気が合わなかったから、と言っていた。

 ちなみに石原裕次郎は、スターだったのに「芸能は男が一生を捧げる仕事ではない」と言って事業の経営者を志向していたそうだ。


 また、会社経営といえば、同じ円谷プロの『ウルトラセブン』『マイティジャック』で共演していた今は亡き南廣もやっていた。

 彼の場合、芸能人として収入は十分だったが、娘を有名私立女子校(白百合と彼は言っていた)に入れようと思ったら、親が芸能人じゃまずいので会社経営ということにするためだそうだ。親の職業で差別する学校に入れて本当に子供のためになるかは別の問題として、それだけ芸人は社会的地位が低く、そうなると集まる人たちも不真面目な人が多くなるということだ。だから真面目な人が芸能界に入れば周囲と気が合わなくて当然ともいえる。


 今、コロナウイルス新型肺炎のため音楽などの芸能関係者は困っているが、政府は冷淡である。やはり冷淡どころか迫害されているのが飲食業である。飲酒店ばかりが感染の原因じゃないのに、なんで政府は飲食業ばかり目の敵にするのか。

 それは社会的地位が低いからだ。例えば、アパートを借りに不動産屋に行った時だって、飲食業と言うと嫌な顔される。特に水商売に対する差別の意識は強いが、そうでなくても偏見がある。自分は店員も店主も経験があるから、実際に体験している。



 あの『開成高校生殺害事件』の親も飲食店の経営者だった。

 父親に殺害された生徒が通う超有名進学校の開成は、麻布に比べると下町にあり親の平均所得は比較的低めだが、それでも有名私立校だから、生徒の親たちには医師とか弁護士とか社長とかが多かった。

 そこで、本当は大衆酒場を経営しているのに、教師に対してレストランを経営していると見栄をはっていた父親は、息子から軽蔑されていた。しかも、無理して有名私立学校に入れられたが勉強に付いていけなくて悩む息子は、父親に暴力をふるう。すると親は息子を精神科に連れて行き、その医者が藪医者だったこともあり、さらに息子は悪化して、ついに父親は息子を絞殺してしまう。


 これは高校の同級生だが、偏差値が低くて学費が高く全く勉強しなくても卒業させてくれる私大に入った人がいる。

 彼はバイトせずに親の金で生活して大学に通い車に乗り酒を飲み、飲食店では従業員に横柄な口をきき、あまりにひどいので同級生に注意されると「こっちは客なんだよ。店員は客に絶対服従だ。お前だってバイトしてるから解るだろう」と。

 こんな彼と同じだから自民党も飲食店を見下すのだ。しかも今では二世どころか三世とか四世とかの国会議員だ。むしろ当然のこと。


 このように、社会には序列があり、日本は未だに身分社会のままなのだ。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年12月23日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年6月24日

 小池都知事が、小中学生に対し、医療関係者へ年賀状を出して感謝の気持ちを表明するよう呼びかけるので、いいかげんにしろと怒りの声があがっている。


 そもそも東京都は、小池都知事が満員電車対策を公約として掲げていたのに全く実現できていないどころか、その気が全く無かったとしか思えない実態で、これでは感染拡大が防げないのだが、これを誤魔化すために小中学生を利用しているのだろう。なんとかなっていて、これは医療関係者の努力の御陰様であり、だから子供たちが感謝している、ということにする。

 これは元々、伝統的に行われてきた日本の悪習だ。


 「給食のおばさん、いつもおいしい給食ありがとう」

 という作文を書くよう小学校で強要されたことを記憶している人は多いだろう。死にそうに不味いのに。調理がなってないので味が滅茶苦茶というだけでなく、実際に命に危険があるような食品添加物が使われていたり、品質劣悪なものを在庫処分で使用したりで、前に下痢したと言っても残すなと強制されてまた腹を壊す。そういうことが普通だった。

 もちろん、働いている人たちへの敬意や労いはよいが、空々しい嘘の美辞麗句ではむしろ失礼だし、ほんとうであっても退屈で、むしろ迷惑なのが本音だ。従業員の現実としては、仕事が大変なら子供の作文なんかより給料を増やしてほしいはずだ。それをしないで、大変でしょうから励みになるように子供たちに感謝の作文を書かせたから読みなさいというのは不真面目どころか侮辱というべき水準だ。


 こんなことが、日本では伝統的に行われてきた。他にも実例をあげたらきりがないほどたくさんある。

 つまり、こういう悪ふざけは小池百合子都知事が最近になって始めたのではなく、昔から横行していたのだ。


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年12月13日
  • 読了時間: 2分

 80年代に、戦前を知っている世代の人が「戦前は政府や軍部にとって都合が良くないことを言うと警察や憲兵が弾圧したけれど、それが戦後は無くなったものの企業が金で黙らせるようになった」と言っていた。

 しかし今の日本は、また公権力が堂々と弾圧するようになった。裁判の実態など酷いものであることは、少しでも関心がある人にとっては常識のはずだ。


 もちろん、具体的に対立がある場合なら、一昔前から公権力による公然とした弾圧があった。

 例えば、かつて防衛医大裁判の当時、国の代理人をしている元高裁判事の弁護士が、証人の医師に失礼な態度をとって反感を買ってしまったので、法廷で証言されてしまう前に原告を逮捕するよう警察に働きかけていたが、これは具体的な対立のうえ権力側に失態があって焦ったからであると容易に解る。

 また、世話になっている出版社には、かつて警察を批判する本を出したので嫌がらせで家宅捜索された会社があるし、他にも警察の天下り先を告発したら社長が逮捕された会社がある。これらは、やはり具体的な対立があったから弾圧を受けたというべきことだ。


 ところが最近では、こうした具体性のある動機に欠ける弾圧が起きている。

 そうなっているのは、黙らせるための金が無くなって来たということではないか。そんな日本とは逆に、中国は昔と違って金で黙らせるようになっていることが香港など見れば解る。

 つまり、日本は戦前に逆戻りしていて、これは自由が無いということだけでなく、金が無いということでもあり、金が無くなったから自由も無いという無様な状態に至っているとしか考えられない。

 
 
 
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