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​炬火 Die Fackel 

 ウナギが高いからタレをかけただけの飯が売られていた。

 これにより、せめて雰囲気だけでも味わおうということだが、これと同じように、子供の頃、よくウナギのタレ飯を食べさせられたものだ。ウナギは親が食べて、底に少し残った味の付いた飯を、ありがたく頂けと言われて、ほんとうに感謝して食べたものだった。


 これでは子供の虐待ではないかと言った人がいる。

 けれど、大人なら酷いことだと思うこともできるが、子供には理解できない。児童は性的虐待を受けても意味が解らないというのと同じである。



 こんなタレだけ飯が大学の売店で売られていた。

 なんとも情けないことだが、これも御時勢のためだろう。それでも経済的事情を理解できない学生がいて、ふざけたことだと思うことができないわけだ。それだけ未熟ということだ。

 つまり、若い人ほど自民党支持が多いというのも、これと同じことだろう。自分はウナギを食べておいて、その料金を払わされている人たちはタレがかかった飯だけ食べさせられていて、ウナギを知らないからコケにされているとは気づけずに、食べさせてもらったと感謝しているのだ。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年4月19日
  • 読了時間: 2分

 公民館に新聞を読むため毎日のように来る人がいる。

 この人は見るからに相当高齢の男性で、隠居の身らしい。そして、いつもマスクを付けていない。それで目立つが「文句あるか」という顔を常にして見せる。孤独な老人が注目されたがっているようにも見える。公民館の職員が言うには、マスクの強制に反対だから信念で付けないそうだ。だから注意されても聞かない。しかし黙々と下を向いて新聞を読むだけだから、マスクは必要ではない。それで出入り禁止ではないとのこと。

 それなら結構だろう。


 ところが、マスクをずらして鼻をかいていただけで𠮟つける女性の職員がいた。

 それも、指差してヒステリックにどやす。信念でマスクを付けない人が、喋ったりしないから許容されているのに。マスクをしないで喋っていたならともかく。

 これについて、その上司に訊いてみたら、たまたま何かのきっかけで神経質になっていたらしいと言う。そして、他の健康上の事情からマスクを付けられない人だっているのだから、ちょっとずらして直ぐに戻し喋ったりしていないし混雑するなかでのことでもなかったのをキツイ調子で咎めるのは不適切であると認めた。



 だいたい政府の無策や失政を問題にせずマスクで些細な難癖とは滑稽である。

 かつて戦争でも、軍が滅茶苦茶な作戦で敗北の連続なことを問題にせず、国民に対して非常時だから忍従しろと無関係なことまで咎めていたのだから、その元々からの体質が日本は改まっておらず、その反映の一つということだろう。


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年1月5日
  • 読了時間: 2分

 正月の餅が余ってしまったという人は毎年のようにいる。

 正月じゃなくても、汁粉などいつでも食べればいいのだが、開封してから長く経ち過ぎるとカビが生えることがあるので、去年に買っておいた餅は消費しないといけないということだ。それで前に林家彦六の名言について述べたことがある。


 新年の大喜利で弟子から「どうして餅にカビが生えるのですか」と問われて林家彦六は「早く食わねえからだ」と言って大うけだった。

 けれど、カビが生えることは、他の食品でも食品以外のものでも普通にあって、それは困ることだ。なのに、わざわざ餅というのだから、胞子が付いて養分を吸収してというのではなく、日持ちするとはいえ保存食ではない餅なので「早く食わねえからだ」が正解である。


 それで揚げ餅にする人もいる。

 かつて近所の同級生の家へ何かの用で迎えに行った時、その同級生は揚げ餅を食いながら出てきた。それが美味そうに食っているので、そのことを一緒にいた同級生たちが言ったら、それならと彼のお母さんが追加で作って振舞ってくれた。礼を言って食べたが、余った餅を早く消費したくて揚げ餅にしたそうで、在庫処分できて良かったとのこと。


 

 もともと子供に餅をやったのがお年玉だった。

 それがなぜか現金になったわけだ。前に菓子の詰め合わせを何箱も貰ったので、お裾分けみたいにして何人かに渡したのだが、小さい息子がいる人に歯は生えているかと問うたら煎餅をバリバリ食べているというので、それならと一箱を坊ちゃんにと渡した。

 そのあと、もう少し大きくなったのでお年玉かと知人に言ったら、その奥さんから「お年玉は気にしないでください」と言われた。もちろん遠慮してのことだが、まだ小さいので現金は使えないということと、それなのに千円くらい渡したら、おそらく父親が自分のたばこ代か何かにしてしまうだろう。それも念頭にあってのことだったはずだ。


 とにかく餅は早く食ってしまうことだ。

 
 
 
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