小泉今日子はホラー映画ファンを公言していた。
彼女がアイドル歌手として最盛期だった当時、ホラー映画が流行していたが、小泉今日子は『エルム街の悪夢』などが気に入っていたそうだ。
たしかに『エルム街の悪夢』は大好評だった。
ジョニーデップのデビュー作でもある。あのロバートイングランドが演じる殺人鬼フレディが話題だったが、それに追われる主人公の恋人役であった。悪夢の中で斬り付けられて目が覚めたら本当に傷ついていたと言っても信じてもらえないという場面である。
またジョージAロメロ監督のゾンビ映画の完結編も公開されていた。
ところが、それを勝手に別の映画のシリーズみたいに日本の配給会社が邦題をつけていた。サムライミ監督の低予算ヒット出世作『死霊のはらわた』に倣って『死霊のえじき』としていた。映画ファンの間では不評な邦題であった。
それはともかく、これらホラー映画について取り上げたテレビ番組に、小泉今日子は出ていた。そして『死霊のえじき』の予告編に出て来る冒頭の場面について、小泉今日子がテレビでこう表現したのだった。
「壁から手がクソいっぱい出て来る」
たしかにそういう場面で、実に的確な表現であった。
ただ「女の子が」「アイドルが」「そんな言葉づかいしては駄目だ」などとも言われた。
最近は社会について発言することで話題の小泉今日子である。
それも特に社会派とか政治的とかいうことでは無いのに、変に言う人たちがいる。それを当人も奇妙なことであるように言っていた。そこで悪口にされても反って熱が入る性格だという意味のことも言っていた。
ようするに、何でも率直に語る小泉今日子で、それが彼女の良いところだと、むかしから言われて人気だったのだ。だから今の政治経済についても、醜いことが「クソいっぱい」ということなのだろう。
ちょっと、そのことを色々なことから思い出したのだった。