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​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2月24日
  • 読了時間: 2分

 伊藤詩織さんが叩かれている。

 それは彼女の性暴力被害を訴えるドキュメンタリー映画がアカデミー賞の候補になるなど話題になったけれど、そこで要になる防犯カメラの録画の使用が禁忌だということだ。

 しかし自分の被害を訴える証拠である。これに対して加害者が何か文句があるというなら解かる。それによって悪いと非難されているのだから、言いたいことがあれば言う権利もあるだろう。

 しかし元代理人の弁護士が非難する資格はあるのか。法的に問題があるなら、当人に言って対処を求めるべきで、それを公言して騒ぐのはいかがなものか。これは弁護士にも指摘する人がいる。


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 まして野次馬が騒ぐとは。

 これが、もともと加害者側の人たちなら、ここぞとばかりに騒いでむしろ当然のことだ。ところが、そうではなく被害者側だった人たちが便乗して叩いているから奇妙なものである。

 これは彼女が自分の期待した被害者像に合致しない不満から叩いているのだと言う人がいたけれど、その通りではないか。とくに、ただの気の毒な被害者であって欲しかったという人にとっては、被害者が能動的だと利用しにくい。だから気に入らない。

 

 手前味噌だが拙書『防衛医大…』(HP参照)のことでもあった。

 これに対して、医療過誤の問題に関心が強いとか詳しいと自認する人がケチをつける。とくに防衛医大は統一協会系の人に学内講演させていたという部分に。防衛医大を作った中心的な政治家である中曾根康弘首相が自民党の中でも特に統一協会と密接だったことは有名である。あの合同結婚式に祝電を公然と送ったくらいだから。

 この話は防衛医大の設立について語ると当然に出てくることである。そのうえで、そんな所だから良い印象は無かったが、地元には他に大学病院など大きな病院が無かったので仕方なく受診する住民もいたということである。これは他の地域でも、地元で唯一の大きな病院であると、必ず問題になることである。


 それでも気に入らない人はケチをつける。

 そのうち、ある医療過誤被害者団体で中心的な女性は、この人が統一協会の信者ではないかと疑うむきもあったけれど、とにかく何の具体性もなく、ただ自分が気に入らないから削除して出版しなおせと言った。そんなことを言うから、おそらく信者だから言っているのだと疑われるのだが、そうでないとしたら、彼女は自分を偉い人だと信じていて、そんな態度なのだろう。

 とにかく、自分の被害を訴えると「偉い」人たちからバッシングされるのが現実である。


 

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 1月20日
  • 読了時間: 2分

 アメリカの映画監督ヤノット=シュワルツが死去。

 この人がよく知られるようになったのは『ジョーズ2』からだった。公開当時のプログラムによると、シュワルツ監督は『ジョーズ』なんてメガヒット作の続編の監督を依頼されて、信じられなかったそうだ。それくらい彼は苦労人だった。


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 彼は結構な数の映画を監督していた。 

 その中には結構有名な作品もあった。しかし、だいたい彼が本当にやりたい作品とは言えなかったようだ。『燃える昆虫軍団』のようなキワモノのホラー映画もあって、こういう映画が好きな人たちの間では評価されていた。

 しかし、シュワルツが尊敬していたのは、ワイラー、キャプラ、カザン、フォード、などの巨匠たちであった。そうした巨匠たちのような格調高い作風の映画を撮ることができなかったのだ。


 『ジョーズ2』は一応の成功を納めた。

 もちろん。大ヒットした前作には及ばない出来というのが一般的な評価であった。しかし、これは仕方ない。それでもなんとか監督は仕上げたから、それなりに成功した。

 このおかげで、シュワルツは前より発言力を持つことが出来たという。


 『スーパーガール』なんてのもあった。

 これは『スーパーマン』から派生した「スピンオフ作品」だから、続編と同じで話題になることは確実でも、前の作品と比較されて「二匹目のドジョウ」と扱下ろされることも同じであること確実だったから、やりたがる監督は中々いなかったはずだ。

 それで『ジョーズ2』を撮ったシュワルツ監督なら、ということで依頼したのだろう。そう製作者が言っていたり企画書に記述したりの場面が目に浮かぶようだ。


 何か仕事をするさい、こういうことが常にある。それについて解かり易いヤノット=シュワルツ監督であったが、ついに亡くなったということだ。

 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 1月19日
  • 読了時間: 2分

更新日:1月19日

 デビット=リンチ監督が亡くなった。

 その訃報で、よく『エレファントマン』『ツインピークス』の監督が死去と見出しになっていた。出世作とヒット作だったからだ。

 かつて『エレファントマン』が話題になったあと、その前の未公開作『イレイザーヘッド』が公開されて、その不気味さと不条理さに、この監督は何を考えているのかと言った人が少なくなかった。しかし、そこに何とも言えない悲劇性と喜劇性が混ざったような切なさがあった。


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 大作『デューン砂の惑星』は雇われての監督作だった。

 もちろんリンチ監督らしい気持ち悪い描写もあった。最近のリメイクの方が原作の雰囲気に近い。

 そのあと同じ主演者で『ブルーベルベット』を作り、これは傑作と言われた。

 そしてまた同じ主演者で連続テレビドラマ『ツインピークス』を作る。


 『ツインピークス』の放送が目玉商品となりwowwowが経営起動に乗ったといわれた。

 また、地上波放送のさい、これをネタにして同じ出演者をドラマと同じ役柄で出すCМも製作されて放送された。今思うと、それだけ当時の日本には外貨があったということだ。「バブル」の直後という時期である。


 『ワイルドアットハート』は上手くいったと語っていた。

 どういう経緯か、当時の『朝日ジャーナル』でインタビューに答えたリンチ監督は、上手くいったので「天にも昇る気持ち」と言っていた。

 たしかに、最初から最後まで順調という感じの好調な映画だった。


 ローラパーマーは学園祭の女王の美少女だったけど、内面や家庭などから、ある意味でフリークだったので、エレファントマンと同じように死は救済だった、という切ない話であってミステリーでもサスペンスでもないと『ツインピークス』を観ながら感じた思い出がある。

 『ツインピークス』の完結編『ローラパーマー最後の七日間』は、『エレファントマン』と同じで死は救済という結末だったが、そういうのは作品全体を見ていると一部のものであった。


 作品を語っていたら、まだまだ話はあるのだが、それより、話題になった当時のことを訃報によって思い出すことが多い監督である。 

 
 
 
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