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『ベルばら』の封建制度批判

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 3月1日
  • 読了時間: 3分

 『ベルサイユのばら』が、また話題だ。



 これで改めて原作の漫画を読んだ人が、主人公のオスカルは六人姉妹の末っ子だから姉が五人もいることに気づいたという。つまり、女の子ばかりで跡取り息子がいないから、苦肉の策で末娘を男だということにしてしまったわけだ。それで軍隊に入り指揮官にもなる。

 ところが、六人目は男の子だったのが大騒ぎになった。


 それは韓国でのこと。

 九十年代だったか。子供が六人で、親の所得が少ないから「貧乏の子だくさん」だった。それで五人の女の子たちが服毒自殺を図った。殺鼠剤か何かを使ったが死なず、未遂に終わった。これがマスコミに取り上げられると、韓国中から同情のお金が送られてきた。しかし母親は憐れまれるのを嫌がり、貧乏をひけめに感じないよう子供たちには強く言い聞かせていると言って反発していた。

 しかし、どうして貧乏なのに六人も子供を作ったのかと疑問を呈された。


 女の子が五人のあと六番目は男の子だった。

 その父親は、女の子ばかり生まれるので、男の子が生まれるまで何人でも子供を作ろうと思った、と言っていた。それでやっと男の子が生まれ、両親は大喜びで息子ばかり可愛がるから、その姉たちは、一番目と二番目の姉が相談して、妹たちに皆で死のうと言った。両親にとって意味があるのは弟だけで、自分たちは邪魔だから。

 このことが判ると、また大問題になった。韓国社会に根強い男尊女卑が悲劇の原因だった、ということで。


 『ベルばら』は封建制度批判だった。

 それで革命がおきて身分制度などなくなり、そのきっかけになったバスチュー牢獄襲撃事件にオスカルの指揮する部隊も手を貸して、窮地の牢獄側が指揮官を狙い撃ちしたのでオスカルは絶命するという最後であった。

 ところが革命があっても跡取り息子にこだわったのが中国だった。人口抑制のため「一人っ子政策」をとっていたら、女の子だと判ると妊娠中絶してしまう家庭があった。これで人口の男女比が不均衡になってしまった。跡取り息子ができても嫁の来手がないのでは困る。そして女の子のいる両親に、お宅の娘をうちの嫁にと札束を積み上げる。人民元に印刷されている毛沢東が生きていたら、どう思っただろうか。


 一人っ子政策は少子高齢化になるので中国は止めた。

 そして政府が、女の子に婿のほうが大勢の候補者から選べるから良いし、女の子の方が可愛いという趣旨の広報をしていた。だからディズニーの『ムーラン』の実写版に、中国政府は強力したのだろうか。ムーランもオスカルのように男装して軍隊に入るが。

 それはともかく、今時の日本では、跡取り息子にこだわるのはあの「やんごとなき」家くらいではないか。そして深刻なのは少子化と人手不足だろう。あのイーロンマスクも指摘していた。

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