top of page

​炬火 Die Fackel 

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年12月8日
  • 読了時間: 3分

 ボディビルダーで「大男俳優」と言われたデビットブラウズ氏が85歳で死去したとの報道。

 彼が来日したのは十年以上前だった。懐かしい思い出だ。2メートル近い身長であった。



 『スターウォーズ』のダースベイダー役が有名だが、フランケンシュタインの人造人間でも知られている。

 『スターウォーズ』は英国のスタジオで撮影される一方、米国で特撮の場面を作っていた。これは英ポンドと米ドルの価格差のため、英国で撮影すると安上がりだったからだ。英語も通じるし、英国の俳優も出ているし。それで音楽も英国で演奏録音することにしたとジョンウィリアムズが言っていた。ロンドン交響楽団なのは、仲良しのアンドレプレビンがいて頼み易かったから。

 カメラは、当時のプログラムに「撮影は『オーメン』のギルバートテイラー」と載っていて、これは英国を主舞台にしたスリラー映画『オーメン』の撮影が見事だったので、観たジョージルーカスが依頼したということ。

 騎士ケノービ役のアレックギネスは英国の巨匠デビットリーン監督の映画にいつも出ていて、悪役はハマープロの怪奇映画に出ている役者たちだった。ダースベイダーの上司の総督にはフランケンシュタイン博士やヴァンヘルシング教授の役で知られるピーターカッシングであった。

 ジョージルーカスは怪奇映画ファンだったのだ。


 英国のテレビSFドラマで『サンダーバード』と同じ製作の『スペース1999』にも、これらハマープロ怪奇映画の役者たちがゲストの宇宙人役で出ていて、デビットブラウズも宇宙怪物正体ロボットという役で出ていた。

 あとアメコミのヒーローだがイギリスで映画化された『スーパーマン』では、主役のクリストファーリープがクラークケントの時はいいがスーパーマンのタイツ姿だと痩せ過ぎなのでガッチリした体形にするためボディビルをしたさいトレーナーがデビットブラウズだった。それで「スーパーマンを鍛えたのはダースベイダー」と言われた。


 顔がはっきり出ているのは英国が舞台の『時計じかけのオレンジ』で、バーベルで鍛えているマッチョマン役だった。

 どれもセリフらしいセリフの無い体格が買われて出演の役だが、ダースベイダーはセリフがある。しかし、マスク被って喋ると不明瞭になるから後で録音となったさい、別の俳優でアフレコとなってしまった。吹き替えたジェームズアールジョーンズの喋繰りは、もともと迫力があるので有名である。デビットブラウズとしては自分でアフレコするつもりだったが「英国の農夫の訛りがあるからダメだということだったのか」と言っていた。これはレイア姫役のキャリーフィッシャーも、撮影の時に滑稽だったと言っていた。「あの訛りではダースベイダーではなくダースファーマーだ」と。


 アレックギネスは「キングスイングリッシュ」を話していて、ピーターカッシングも英語で、主人公らの話す米語と違うことは聞いていて一応は解る。

 最近ではパソコンなどで「モバイル」というけどこれは英語で、米語だと「モーボ―」みたいに発音すると米国人が言っていたのには驚いたものだった。

 こうした外国語の訛りを意識させられた『スターウォーズ』であったが、訛りでセリフを吹き替えられてしまったデビットブラウズの死去という報であった。


 
 
 

更新日:2021年6月24日

 アカデミー賞ハリウッド映画で、『グッドウィルハンティング』と『ビューティフルマインド』は、どちらも心を病んだ数学の天才が主人公だった。

 ここで違うのは、『ビューティフルマインド』は冷戦時代の話だから数学は花形の学問だったけれど、『グッドウィルハンティング』はずっと後の時代だから数学では教師がせいぜい。


 『ビューティフルマインド』の主人公にはモデルがいて、軍の諜報部に暗号解読を依頼されて頑張ったつもりだったが、それは統合失調症による幻覚であった。後に彼は経済学に応用する理論でノーベル賞に選ばれる。その様子がDVDの特典に付いていて、授賞式で大江健三郎も一緒に映っている。

 『グッドウィルハンティング』では、主人公の才能を見出す数学者が大学で教鞭をとりながら、自分を「栄えあるフィールズ賞を受けて、しがない大学教員」と言っていた。そして主人公は、本当に軍の諜報部から暗号解読などの仕事をしないかとスカウトされるが、戦争の片棒担ぎなんてまっぴらごめんだと拒否する。彼は病気ではなく、里親に虐待されたトラウマから喧嘩などしては警察の世話になっていたが、そのさい社会に懐疑的となって権力にも批判的だったのだ。



 この、数学やっても教師くらいしか仕事が無いというのは、宇宙論のホーキング博士も学校の先生から言われたことがあるそうだ。

 

 そして、自分の出た高校の若い数学教師は、田舎の国立大学を出て高校教師になり、自己保身のことばかりの最低男だった。自分の数学担当ではなかったが、生徒会の顧問だったので、自分は生徒会役員だったから、ついでに数学のことを質問したことが何度もあるけれど、まったく教えてくれなかった。なぜなら、自分の数学担当は学年主任でもある年配の教師で、その授業で解らなかったから他の数学の先生に教わって解ったとなると、先輩教師の顔を潰したことになってしまうと勝手に配慮していたからだ。その年配の数学担当教師は、そんなことで顔を潰されたと思うような狭量な人ではなかったし、他の数学の教師は、訊けば教えてくれた。

 この調子だから、生徒会活動でも、何から何まで頭ごなしにダメだと弾圧し「軽率にやっては一時的に盛り上がるだけで後に禍根を残す」と言うが、これは「お前らは卒業すれば関係ないが、こちとら教師稼業を続けて行かないといけない立場なんだ」の意味であった。


 今思うと、あの時、退学届を書いておいて、生徒会室で糞数学教師を殴ってから校長室に行って届を出して出ていけばよかったが、なんでその覇気が無かったのか、情けない限りである。

 できることなら、タイムマシンで戻って『バックトゥザフューチャー』というより『ターミネーター』みたいに教師を殺しに行きたい。そう思って悔やむより、あの時に啖呵きっておくべきだった。青春は二度と帰らない。



 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年11月29日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年6月24日

 犯罪への対応で、警察や政府を批判すると「被害者のことも考えろ」と怒る人たちがいるものだ。前にTwitterで、悪ふざけではなく善意で言っていた顕名で顔写真付きアカウントがあった。

 このような人には、犯罪への対応をすること、被害者を救済すること、やり方が適切であるか否か、これらは別の問題であることが理解できないのだ。


 例えば映画『時計じかけのオレンジ』に描かれている図式。

 犯罪に遭った作家は、妻が死んで、自らは車椅子生活となったが、しかし犯罪対策で支持を集める政府に批判的である。その対策とは、薬物で洗脳したり暴力警官を増やしたりと、どれも危ない手法なので。また内務大臣は「犯罪者の更生に予算を増やせない。刑務所を満員にするのは政治犯であるべきだから」と嘯く。上品そうな爺さんだがファシストそのもの。こんな人が犯罪対策の総責任者なのだ。



 こんな政権に反対している小説家の自宅は、庭付き一戸建と立派で、室内も上品な感じだ。広い部屋には書棚が整列していて本がたくさん並んでいる。彼が仕事に専念できるように、妻は身の回りのことをすべてこなしていたとも言う。

 これに対して、加害者は「団地の不良」である。富裕そうな家に押し入る一方で、自分たちより下層にいるホームレスに暴行して面白がる。公営の集合住宅に両親と住んでいて、その地域はゴミが散乱しているし、建物の中も共有部分は散らかって落書きもあり、エレベーター故障も放置されている。家賃は安そうだが、それでも夫妻は共稼ぎで、不真面目な息子を心配していたら遂に事件を起こして刑務所に入れられるけれど、すると息子の部屋を間貸しして家賃を取っている。室内は整頓されているが、調度品など上品とは言えず、書棚も無い。いかにも蒙昧そうな低所得者に見える。

 おそらく、この両親のような人たちが、政府を短絡的に支持しているのだろう。その後の展開で両親が政府に従順な対応をしていることから明らかだ。


 これは昔から今まで同じである。よく政府に苦しめられている人たちが、その蒙昧さから政府を支持し、むしろ政府の犠牲者にならずにいる人たちが、その才覚から政府を批判している。

 これを解らない人がいるのを、よくTwitterで見かける。「こんな内閣なのに何故この高支持率なのか。庶民は馬鹿か」と言うけれど、何故かというと馬鹿だからなのだ。

 
 
 
  • twitter

©2020 by 井上靜。Wix.com で作成されました。

bottom of page