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「映画評論家」増渕健のデタラメ

  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2020年9月17日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年6月24日

 増渕健という映画雑誌編集者~映画批評家は、戦争映画大好きマッチョ願望映画大好きで、反戦映画大嫌い抒情性映画大嫌いだった。

 それは勝手だが、嘘はいけない。山本薩男や今井正が、戦時中に戦意高揚映画を撮り、戦後は資本家批判など社会派映画を撮る変節をし、これについて彼らは自分の言葉で何も語っていないとし「知らん顔の半兵衛とはこのことである」と罵っていたが、事実に反している。

 おそらく、山本薩男と今井正は主に『赤旗』の紙上で語っていたから、増渕は知らなかったのだろうが、知らなかったでは済まされないし、彼らが語っていたことは単行本にまとめられてもいるから、知らないわけがない。


 もともと、映画評論家はウケ狙いで言い散らす傾向があるから、変なことを書いたりするのは増渕健に限らない。

 ところで、かつて日本映画監督協会の祝賀会に出たさい、映画人の戦争協力について話題に出ていた。すると、山本薩男と今井正に対する誤解と偏見が多いことに気づかされた。社会派映画の巨匠といわれているが、それは娯楽性も満たした面白い映画に仕上げるからで、これと戦意高揚映画も同じだった。後に観た人たちも、戦意高揚というよりただの活劇だと言う。そのあたりを取り違えているのだ。


 それにしても、黒澤明らも同様な「転向」をしているのに、エンターテインメント路線だから責められず、戦後になって少ない機会を捉え社会派映画を撮っただけで山本薩男と今井正が昔のことで責められているのは、実に不当な扱いである。

 なんてことはない、社会派映画が嫌いなだけだろう。それなら映画そのものを批判すればいいし、解らないなら黙っていることだ。




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