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​炬火 Die Fackel 

更新日:2022年7月3日

 『ベストガイ』なんていう映画があった。

 これは『トップガン』の真似をして作られた宣伝映画で、公開当時、防衛医大で知り合った自衛隊のパイロットが、F15は本物を撮影しているから迫力があるけれど内容はつまらないと言っていた。


 この人は高校を中退して就職を探していた当時、暑い日にバスを待っていたら近くの駐屯地のおじさんに声をかけられ、まだバスが来るまで時間があるから熱中症にならないよう日陰に来て待ちなさいと親切に言ってもらい、自衛隊の施設の中で麦茶まで飲ませてもらったのだけど、そのさい就職先を探している最中だと話してしまったため、入隊申込書を出されて書けと少々強引に言われたから「麦茶に釣られて入隊した」と言っていた。


 ただ、最初はそういう勧誘をされた使い捨て用の隊員だったけれど、パイロットの資質があると判り操縦の仕事をするようになったそうだ。大空に憧れて入隊したけれど適性ナシと撥ねられる人が多い一方で、こんな人がいる。これは努力ではなく元々の才能らしい。

 そして『ベストガイ』は、人気俳優の織田裕二ふんする主人公が、操縦士としての実力によって防大卒のエリートに対抗して意欲を燃やしたりするから、そんなのはドラマがステレオタイプでアホらしいと、本物の叩き上げパイロットである彼は言っていた。


 ところで、ずいぶんと後になって『トップガン』の続編が作られた。

 この宣伝キャンペーンで、韓国には出演する男優が三人か四人で訪問して派手な感じだったが、日本に来たのは主演のトムクルーズと製作者だけだった。トムクルーズのファンの女性はイベントに押しかけたが地味な感じで、それだけ日本の配給会社は金が無いのか、それとも最近の日本は洋画の人気が低迷して邦画の観客が圧倒的になっているから、その影響かと指摘されている。


 もっと盛り上げるなら、共演のジェニファーコネリーを呼べば日本の映画ファンは悦んだはずだ。

 今では演技派女優・アカデミー賞スターだが、かつてトップガン一作目の当時はアイドルとして大人気だった。天皇が皇太子のときファンを公言するブルックシールズとともに、ジェニファーコネリーは化粧品の宣伝に出て、眉毛を太く描くのを大流行させた。

 ちょうど、中森明菜や小泉今日子がわが青春のアイドルで今も好きだが妻には内緒という人がいるのと同じで、今も人気がある。

 そういうことを、最近の配給会社の人たちは知らないのかもしれない。



 日本で出た写真集。

 資生堂パーキージーンの宣伝に出ていたものが中心。

 自宅の書棚にあるのを見た女性に、「後生大事に持っているとは、このことね」と言われたことがある。

 下は中身の一部。




 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年6月6日
  • 読了時間: 3分

 プロ野球の落合博満監督が選手だった当時のこと。

 高校生活の思い出を語る中、彼は映画館の入場料のため授業料を使いこんでしまい後で言い訳するはめになったと語っていた。熱心に観ていたのはジョン-ウエイン主演の西部劇だったが、ミュージカルの『マイフェアレディ』が当時ヒットしていて、これは面白くて気に入ってしまい何度も映画館に行きその度に入場料を払って繰り返し観たと語っていた。


 それくらい大好評だった『マイフェアレディ』で、主人公が唄う場面はマーニ-ニクソンという歌手が吹き替えている部分があった。

 まずオードリー-ヘップバーンが自分で唄い、その録音に合わせて演技しての撮影だったが、そのあとマーニ-ニクソンが映像を見ると同時に片耳にヘッドホンを付けて、オードリー-ヘップバーンの姿を見て歌を聴きながら唄った。

 その残っている音源を聴くとオードリー-ヘップバーンもきちんと唄っていて、これを使用しても問題は無かったが、マーニ-ニクソンの歌唱はさすが本職の表現力があった。これがオードリー-ヘップバーンは好演していたのにアカデミー賞の候補にならなかった一因と言われている。


 

 マーニ-ニクソンは他にも『王様と私』など人気作の吹き替えを色々と担当していた。

 彼女は美声で表現力があるだけでなく演者に調子を合わせ、まるで女優当人が唄っているように聴かせるのが上手で、吹き替えだと気づかないし、吹き替えだと知っても映画毎に別の歌手が吹き替えていると思ってしまうくらいだった。

 彼女は八十歳代の後半まで比較的長生きし、その訃報では「吹替の名歌手マーニ-ニクソン死去」と日本でも報じられていて、映画ファンたちがブログで語っていた。


 では、ここからは他の映画ファンが語っていない話である。

 SF映画『エイリアン』の日本公開当時のプログラムで、スタッフ・キャストの紹介の中、音楽ジェリー-ゴールドスミスの項目で、「妻は『マイフェアレディ』などの吹き替えで知られるマーニ-ニクソン」と記載されていた。

 これはジェリー-ゴールドスミスではなくアーネスト-ゴールドのことだ。同じくアカデミー賞の作曲家である。ゴールドの方がマーニ-ニクソンと夫婦だったことがあり、子供を三人設けている。

 

 ジェリー-ゴールドスミスの配偶者も歌手であるし、彼が音楽を作曲した西部劇『夕日と挽歌』の主題歌を唄っているエレン-スミスはゴールドスミスを縮めてスミスと名乗っている実の娘であった。

 そのうえゴールドとゴールドスミスだから勘違いしたのだろう。どちらもユダヤ系の姓で、ゴールドがアカデミー賞の『栄光への脱出』はイスラエルに逃れようとするユダヤ人の話だし、当時ゴールドスミスはユダヤ人虐殺を扱ったテレビドラマ『QB7』の音楽でエミー賞を受けていた。

 それらから勘違いしたのではないかと考えられるが、時々あるプログラムの間違い記述にしても酷い方だったのではないか。


 
 
 
  • 執筆者の写真: 井上靜
    井上靜
  • 2022年6月2日
  • 読了時間: 2分

 今、映画界の暴力と差別が問題になっている。

 そのさい、例えば監督が女性にセクハラしていても、作品の価値は別だと主張する人もいて、これに対しては、仕事と別の私生活が悪い場合と、仕事に関わっている場合とは一緒くたにできないという指摘が出ている。


 そのなかで、やり玉に挙げられているのが「米在住の映画評論家」町山智浩氏である。

 彼はよく日本の政府を批判しているが、それは表面的で、決してリベラル派ではないという評価がある。もちろん、彼は露骨な反共タカ派であることが発言の数々から明らかであるが、そもそもリベラル派にとってそれは普通のことだ。ここで問題になっているのは女性に対するあからさまな蔑視発言であり、こういうことは政治性ではなく人柄が原因である。


 ただ、彼の世界情勢に対する発言から、彼の女性蔑視が人間性の問題であることは推察できる。

 例えば、ロシアの軍艦モスクワが火災で沈没した事件についての彼の発言である。ウクライナ軍が攻撃したと発表し、その戦果であると言うのに対してロシア軍は未確認であるとしながら、一方で報復攻撃と見られる軍事行動をした。この意味が彼には解らなかった。そうSNSで公言していた。

 実際にどういうことだったのか不明だが、少なくとも相手はやったと言うのだから、それならやり返してもお互い様になる。こういうことは子供の喧嘩と、ほとんど同じだ。

 自分が中学生のとき同じ組に、よく「あいつのことをぶん殴ってやったぜ」と言いふらしては侮辱したつもりの奴がいた。この被害に自分も遇ったので、怒って一方的に殴ったら、そいつは「一方的に暴力をふるわれた」と教師などに訴えたけれど、「嘘をつくな、先に殴ったのはオマエだからオマエが悪い。少なくとも、お互い様じゃないか」と言われて、逆に非難されてしまった。

 こういうことが、おそらく少年時代に喧嘩したことがないため、彼には理解できなかったのだろう。



 また、彼としては、やられたことが悔しいので認めたくないとしか解釈できないのだろう。

 しかし、現実に歴史のなかでアメリカやロシアなど大国がしてきたことは、逆に、やられたことを針小棒大に言って、これを口実にしてやり返すのが常である。

 ところが、殴られても殴り返せず泣き面になりながら「痛くないもん」と言うのが精一杯のいじめられっ子だった人には解らないものだ。 

 

 そして、そういう人の中には、自分より弱い者をいじめるようになる奴がいるもので、それが大人になると、よく、女性差別する男性となるものだ。彼もその類の人なのだろう。


 
 
 
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