- 井上靜

- 2022年5月19日
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『フォレストガンプ』というハリウッド映画がある。
かつて大ヒットしたが、それから結構な時が経過している。94年の公開だったはずだ。これが公民館の無料上映会にかかっていたので観に行った。

この映画が公開された当時、話題の映画の一つとしてテレビ番組に取り上げられていた。
このとき、司会の俳優-山城新伍は、もう一つの話題作『告発』と比較して語っていた。どちらも「ヒューマンドラマ」と定義されていたからだ。
そのハリウッド映画『告発』は、若い新人の弁護士(クリスチャン-スレイター)が、刑務所で残酷な副所長(ゲーリー-オールドマン)から虐待を受け続ける囚人(ケビン-ベーコン)を助けようと尽力する実話の映画化であった。
少年時代に万引きをしただけなのに、成人した今も刑務所にいる囚人。貧しくて金が無く、妹のためという事情だった。それが凶悪犯と一緒にされ、刑務所で日常的に暴力を振るわれている。
主人公は義憤に駆られて懸命の弁護活動をはじめ、その告発が社会を揺るがす。この結果、まだ若いのに見事だと称賛を受けて騒がれた主人公は、この事件の御陰で自分はプロ野球ファンになったと言う。あまり関心が無かったけれど、囚人がプロ野球のことを聞きたがるから、面会の度に語って聞かせていた。それで自分もファンになったということであり、謙遜しているだけでなく本当だと言う。

この映画『告発』を観て山城新伍は、映画館の入場料を三倍くらい払っても良い内容だと言った。
一方、ほんとうに5000円で観てもよいと思う『告発』に対して、『フォレストガンプ』はレンタルビデオの旧作350円でちょうどいい映画だと言った。しっかり作っているから観ている間は退屈しないのでヒットしたのだろうけれど、観終わった後にも心に残るとかいう内容ではないからだ。
すると、同席している映画解説者の女性(誰かは失念)が言った。
『フォレストガンプ』は「いかがわしい映画ですよね」
コメディなのにヒューマンドラマに仕立てていて、そこに悪意が潜んでいるような内容だということは、その当時から言う人が他にもいた。(この話題は次回に続く)


